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無能と追放された陰陽師の俺が、古代神族の力で成り上がる  作者: アイザワ


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炎の少年

炎龍の火炎が、蒼真に襲いかかる。

「はっ!」

蒼真は霊力を足に込めて跳躍した。

火炎をかわし、少年に肉薄する。

「速い!」

少年は驚いたが、すぐに反応した。

「だが、甘い!」

少年の拳に炎が纏われ、蒼真に向かって放たれる。

ドガッ!

二人の拳がぶつかり合った。

衝撃波が広がり、周囲の草が靡く。

「やるな……!」

少年が笑った。

「噂通りだ!」

「お前も、な!」

蒼真は距離を取った。

少年の実力は本物だ。炎の扱いに長けており、式神との連携も見事。

「銀月!」

『呼んだか、我が主よ』

銀月が姿を現した。

「神獣……!」

少年の目が輝いた。

「本当に契約してるのか!」

「ああ。銀月、あの炎龍を!」

『心得た』

銀月が角から光を放った。

炎龍がひるむ。

「炎龍! 負けるな!」

少年が叫ぶと、炎龍は再び立ち向かってきた。

神獣と式神の激突。

銀月の神聖な力と、炎龍の猛炎が衝突し、爆発を起こす。

「すごい……」

朝霧が呟いた。

「どちらも、本気です……」

白金は二人を見つめていた。

だが、その表情には心配の色はない。

むしろ、微笑んでいた。

「白金様?」

「ああ、大丈夫ですよ」

白金は朝霧に言った。

「あの二人、楽しんでいます」

「楽しんでる……?」

朝霧は戦いを見た。

確かに、蒼真も少年も、笑顔だった。

十分後。

二人は同時に地面に倒れ込んだ。

「はぁ……はぁ……」

「げほっ……げほっ……」

互いに疲れ果て、動けない。

「参った……お前、強いな……」

少年が笑った。

「お前もな」

蒼真も笑い返した。

「で、満足したか?」

「ああ、満足した」

少年は起き上がった。

「お前の実力、本物だ」

少年は蒼真に手を差し伸べた。

「悪かったな、いきなり襲って」

「いや、いい」

蒼真はその手を取った。

「久しぶりに、楽しかった」

二人は握手を交わした。

白金と朝霧が駆け寄ってくる。

「蒼真様、大丈夫ですか!?」

「ああ、問題ない」

蒼真は少年を見た。

「ところで、名前を聞いてなかったな」

「ああ、そうだった」

少年は胸を張った。

「俺は刹那。流浪の陰陽師だ」

「流浪……俺と同じか」

「ああ。俺も訳あって、家を出てな」

刹那は少し寂しそうに笑った。

「一人で旅をしてる」

「一人で……」

蒼真は刹那を見た。

まだ若い。十五、六歳で一人旅とは、何か深い事情があるのだろう。

「なあ、刹那」

「ん?」

「俺たちと一緒に来ないか?」

「え?」

刹那は驚いた。

「俺たちは、水鏡の都に向かってる」

蒼真は刹那の肩に手を置いた。

「お前、強い。仲間になってほしい」

刹那は目を見開いた。

そして、顔を赤くして俯いた。

「お、俺を……仲間に……?」

「ああ」

「……いいのか? 俺みたいな奴が」

刹那の声が震えた。

「俺、家を追い出されたんだ」

刹那は拳を握った。

「兄貴と喧嘩して、家を飛び出した」

「それからずっと、一人で……」

刹那の目に、涙が浮かんだ。

「寂しかった……本当に、寂しかった……」

蒼真は刹那の頭を撫でた。

「分かるよ。俺も、追放されたから」

「え……?」

「俺も、家族から追い出された」

蒼真は自分の胸を叩いた。

「無能だって言われて、捨てられた」

「お前も……」

「ああ。だから、分かる」

蒼真は刹那を見つめた。

「一人の寂しさも、誰かと一緒にいたい気持ちも」

「だから、来いよ。一緒に旅しよう」

刹那は涙を流しながら、何度も頷いた。

「ああ……ああ! 行く! 一緒に行く!」

「よし」

蒼真は刹那を抱きしめた。

「これから、よろしくな」

「ああ……よろしく……」

白金と朝霧も、嬉しそうに笑っていた。

「また、仲間が増えましたね」

「はい。賑やかになります」

こうして、蒼真の仲間は四人になった。

蒼真、白金、朝霧、そして刹那。

小さなパーティは、確実に大きくなっていく。

その夜。

一行は野宿をすることにした。

焚き火を囲んで、皆で話をしている。

「刹那、お前の家はどこなんだ?」

蒼真が聞くと、刹那は焚き火を見つめた。

「西の方だ。『火焔神社』っていう、炎系の陰陽師の家系」

「火焔神社……聞いたことあります」

朝霧が言った。

「確か、四大神社に次ぐ名門ですよね」

「ああ」

刹那は苦笑した。

「だからこそ、プレッシャーが凄くてな」

刹那は膝を抱えた。

「兄貴は優秀で、みんなから期待されてた」

「でも俺は、兄貴の影に隠れて……」

「それで、喧嘩を?」

「ああ。兄貴に『お前は才能がない』って言われて、カッとなって……」

刹那は拳を握った。

「今思えば、馬鹿だった。家族を捨てるなんて」

「後悔してるのか?」

「……ああ」

刹那は正直に答えた。

「でも、今更戻れない」

「なら」

蒼真は刹那の肩を叩いた。

「いつか、胸を張って戻れるくらい、強くなればいい」

「強く……」

「ああ。俺もそうするつもりだ」

蒼真は夜空を見上げた。

「いつか、一族の前に立って、証明してやる」

「俺が無能じゃないって」

刹那は蒼真を見た。

その目には、強い決意があった。

「……ああ。そうだな」

刹那も空を見上げた。

「俺も、いつか兄貴を超えてやる」

二人は拳を合わせた。

「一緒に、強くなろう」

「ああ!」

白金と朝霧は、二人の姿を見て微笑んだ。

「いいコンビになりそうですね」

「はい。きっと」

焚き火がパチパチと音を立てる。

夜は更けていくが、彼らの心は温かかった。

仲間がいる。それだけで、どんな困難も乗り越えられる。

蒼真たちの絆は、確実に深まっていく。

そして――

遠くの森の中で、一人の人影が蒼真たちを見ていた。

「あれが、噂の蒼真か……」

人影は冷たい笑みを浮かべた。

「面白い。どこまで強くなるか、見せてもらおう」

人影は闇に消えた。

蒼真たちは、まだ知らない。

自分たちが、大きな陰謀に巻き込まれようとしていることを。

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