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無能と追放された陰陽師の俺が、古代神族の力で成り上がる  作者: アイザワ


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影の正体

楓の町に戻った蒼真たちは、すぐに支部に向かった。

「影の化け物……ですか」

橘は蒼真の報告を聞いて、顔をしかめた。

「物理攻撃が効かず、霊力を喰らう……厄介ですね」

「ええ。しかも、巫女の浄化の光には弱いようです」

蒼真は朝霧を見た。

「朝霧がいなければ、危なかった」

「いえ、私はただ……」

朝霧は恥ずかしそうに俯いた。

「橘さん、他の二人の消息は?」

白金が尋ねた。

「今、別の陰陽師に調査させています」

橘は地図を見つめた。

「おそらく、同じような状況でしょう」

「三人の陰陽師を喰らった……」

蒼真は考え込んだ。

「それだけの霊力を集めて、何をしようとしているんだ?」

「分かりませんが、良いことではないでしょう」

橘は立ち上がった。

「今夜、支部の精鋭を集めて、町の警備を強化します」

「待ってください」

白金が手を上げた。

「それは危険です」

「どういうことですか?」

「あの影は、陰陽師を狙っています」

白金は真剣な顔で言った。

「大勢の陰陽師を集めれば、格好の餌場になります」

「では、どうすれば……」

「囮です」

蒼真が言った。

「囮?」

「ああ。俺が囮になって、影をおびき出す」

「危険すぎます!」

橘が反対した。

「あなた一人では――」

「一人じゃありません」

白金が蒼真の隣に立った。

「私がいます」

「私も!」

朝霧も立ち上がった。

「三人なら、大丈夫です」

橘は三人を見た。

若く、経験も浅い。だが、その目には強い決意があった。

「……分かりました」

橘は深く息をついた。

「ただし、条件があります」

「条件?」

「私も、同行させてください」

「え?」

「副支部長として、部下を見殺しにはできません」

橘は腰の剣に手を置いた。

「それに、私も少しは役に立てるはずです」

蒼真は橘を見つめた。

その目には、偽りがなかった。

「……分かりました。よろしくお願いします」

「こちらこそ」

橘は蒼真に手を差し出した。

蒼真はその手を握った。

その夜。

蒼真たち四人は、町の外れの廃屋にいた。

「ここなら、人目につかない」

橘が周囲を確認する。

「影が現れるなら、ここだろう」

蒼真は屋根の上に立ち、月を見上げた。

満月が、夜空に浮かんでいる。

「来るか……」

蒼真は警戒を緩めない。

白金と朝霧は、廃屋の中で待機している。橘は裏口を守っている。

時間が過ぎていく。

一時間、二時間――

「来ないのか……?」

蒼真が焦れ始めたとき。

「クククク……」

あの不気味な笑い声が、夜に響いた。

「いたな!」

蒼真は声のする方を見た。

廃屋の前に、影が立っていた。

「ヨク来タナ、陰陽師」

影は蒼真を見上げた。

「貴様ノ霊力、美味ソウダ」

「食えるものなら、食ってみろ」

蒼真は屋根から飛び降りた。

「白金! 朝霧! 橘さん!」

「はい!」

三人が一斉に飛び出した。

「包囲したぞ」

橘が剣を構える。

「観念しろ」

「包囲? クックック……」

影は笑った。

「我ヲ包囲デキルト思ッテイルノカ?」

影の身体が、突然膨れ上がった。

そして――

分裂した。

「なに!?」

一体だった影が、四体に増えた。

「マズイ……!」

白金が叫んだ。

四体の影が、それぞれ別の方向に散った。

「逃がすか!」

蒼真が一体を追いかける。

だが、影は素早く、すぐに見失ってしまった。

「くそ……!」

蒼真が舌打ちした時――

「キャアアア!」

朝霧の悲鳴が聞こえた。

「朝霧!」

蒼真が駆けつけると、朝霧が影に襲われていた。

「浄化の……光……!」

朝霧が必死に光を放つが、さっきよりも弱い。

「疲レテイルナ。モウ力ガ残ッテイナイ」

影が朝霧の首を掴んだ。

「イタダキマス」

「させるか!」

蒼真が影に斬りかかる。

刃はすり抜けるが、構わず斬り続けた。

「無駄ダト――」

「銀月!」

蒼真が叫ぶと、空気が震えた。

『呼んだか、我が主よ』

銀月が姿を現した。

白銀の毛並みが月光を受けて輝き、角からは神聖な力が溢れている。

「神獣……!?」

影が驚愕した。

「銀月、あの影に光を!」

『心得た』

銀月の角が光り始めた。

そして――

「■■■(神光照射)!」

銀月の角から、眩い光線が放たれた。

「ギャアアアァァ!」

影が悲鳴を上げる。

神獣の光は、巫女の浄化とは比べものにならないほど強力だった。

「今だ! 白金!」

『はい!』

白金が影の足元を凍らせた。

動きを封じられた影に、蒼真が霊力を込めた拳を叩き込む。

「うおおおぉぉ!」

ドォン!

影の身体が砕け散った。

「やった……のか……?」

蒼真が息を整える。

だが――

「クックック……マダマダ……」

砕けた影が、再び集まり始めた。

「嘘だろ……」

「我ハ影。実体ヲ持タヌ存在」

影は元の姿に戻った。

「貴様ラデハ、我ヲ倒セヌ」

「くそ……」

蒼真は歯噛みした。

どうすればいい? どうやって倒せば――

その時。

「蒼真様」

白金が蒼真の耳元で囁いた。

「影には、必ず核があります」

「核?」

「はい。それを破壊すれば、影も消滅します」

「核は、どこだ?」

「分かりません。でも――」

白金は影を見つめた。

「おそらく、本体から離れた場所にあるはずです」

「本体から離れた……」

蒼真は周囲を見回した。

廃屋、木々、岩――

そして、気づいた。

廃屋の地下に、わずかに妖気を感じる。

「まさか……」

「蒼真様?」

「白金、朝霧、橘さん! あの影の注意を引きつけてくれ!」

「え? でも……」

「いいから! 俺を信じろ!」

蒼真は廃屋に駆け込んだ。

中は暗く、荒れ果てている。

だが、確かに感じる。地下から湧き上がる妖気を。

「ここか……!」

蒼真は床板を剥がした。

地下への階段がある。

迷わず降りていくと――

そこには、黒い水晶のようなものが浮いていた。

「これが、核……!」

蒼真は短刀を構えた。

だが、その瞬間――

「気ヅカレタカ……」

背後に影が現れた。

「本体ヲ見ツケルトハ……流石ダ」

影が蒼真の首に手をかける。

「ダガ、遅イ」

首が締まる。呼吸ができない。

「蒼真様!」

白金の声が聞こえる。

だが、間に合わない――

(いや、まだだ……!)

蒼真は最後の力を振り絞った。

右手の痣が、激しく光る。

「■■■■■(我、神殺しの名において命ず)!」

古代の言葉が、蒼真の口から溢れた。

「■■■(闇を断つ刃よ、顕現せよ)!」

蒼真の短刀が、黄金の剣へと変化した。

そして――

「滅びろぉぉぉ!」

蒼真は剣を、黒い水晶に突き刺した。

バキィィィン!

水晶が砕け散る。

「ギャアアアアアァァァァ!」

影の悲鳴が、地下に響き渡った。

影の身体が消滅していく。

「馬鹿ナ……我ガ……敗レル……ダト……?」

影は最後の言葉を残して、完全に消え去った。

静寂が訪れた。

「はぁ……はぁ……」

蒼真は膝をついた。

全身の力が抜けていく。

「蒼真様!」

白金と朝霧が駆け下りてきた。

「大丈夫ですか!?」

「ああ……何とか……」

蒼真は二人に支えられて立ち上がった。

「影は……消えたのか?」

「はい。もう、妖気を感じません」

白金が頷いた。

「やったんですね……」

朝霧は涙を流していた。

「蒼真様、すごいです……」

「お前たちのおかげだ」

蒼真は二人の頭を撫でた。

「ありがとう」

橘も地下に降りてきた。

「お見事でした」

橘は深く頭を下げた。

「あなた方のおかげで、町は救われました」

「いえ、まだです」

蒼真は立ち上がった。

「他にも、影がいるかもしれない」

「そうですね。警戒は続けましょう」

四人は地上に戻った。

夜明けが近づいていた。

長い夜が、ようやく終わろうとしていた。

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