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アサコちゃんの魔法の夜  作者: ♪西谷武♪の小説世界 ♫


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5.魔女の娘・ハイネ

「着いたよ」

 魔女が言いました。どうやら魔女の家に到着したようです。夜の森のなかなので、アサコちゃんには暗くてほとんど何も見えません。アサコちゃんが言いました。

「真っ暗だわ。今夜は月も出ていないのね」

 魔女が言います。

「今、明かりをつけるから待っていな」

 魔女が「明かりよ、ともれ」と言ったときでした。魔女の家のなかがパッと明るくなりました。

「戸締まりをして出てきたからね、今、入り口の扉には、なかからカギがかかっているんだ。さて、そこでさっそく、あんたには魔女になるための修行の第一歩として、やってもらいたいことがあるんだ」

 魔女はそう言うと、小さなアサコちゃんを手のひらに乗せて扉のカギ穴に近づけます。

「このカギ穴から息を吹きこんで、カギを開けるんだよ。あんたならできるはずだよ」

「えっ、アサコにそんなことができるかしら」

 アサコちゃんは信じられないながらも、カギ穴から思いっきり、息を吹きこみました。するとカチャリと音がして、カギが開いたのです。魔女は言いました。

「さすが、あたしが見込んだだけのことはあるよ。一発でカギを開けちまったね」

 魔女はふたたびアサコちゃんをポケットに入れると、入り口の扉を開けて家のなかに入っていきました。

 そこはとても小さな家でした。小屋と言ったほうがしっくりくるかもしれません。その小屋のなかには一羽のカラスがいるだけで、あとは何もいません。魔女の娘だという人も、姿が見えません。どこかへ出かけているのでしょうか。アサコちゃんはききました。

「ねえ、魔女さん。あなたの娘さんというのはどこに行っているの」

「どこにも行きやしないよ。そこにいるよ。ほれ」

 魔女はそう言ってから、何やら、口のなかでゴニョゴニョ呪文を唱えました。すると、カラスだと思っていた鳥が女の子に変身したのです。カラスだった女の子は「ほうっ」とひと息ついてから魔女に言いました。

「お母さん、出かけるたびにあたしをカラスにして家に閉じこめるのはやめてって言ったでしょ」

「おや、でも、おまえは魔女の仕事をつぐ気はないんだろ? いつ逃げだすか、わかったものじゃないからね。カラスにして家に閉じこめておけば安心だ」

 魔女はアサコちゃんに自分の娘を紹介します。

「こいつがあたしのひとり娘のハイネだよ。あんたと同じでセンスのある魔法のかけ方をするんだよ。ところが昨日、突然、魔女のアトはつがない、なんて言いだしたんだ。それからさ。あたしはハイネをカラスにしちまって、そのあいだにあんたを立派な魔女にすればいいんだって思ったのさ」

 すると魔女の娘・ハイネが言いました。

「お母さん、誰か連れてきたのね」

「そうさ。おまえの代わりに魔女の仕事をひきついでくれる女の子が、人間界にいたのさ」

 そこでアサコちゃんは言いました。

「あたし、魔女にはなりたくありません。家に帰してください」

 魔女が言います。

「あんたが家に帰る方法はふたつにひとつ、あんたが一人前の魔女になるか、娘のハイネが立派な魔女になるかしかないんだよ」

「そんなの勝手だわ」

 アサコちゃんが言ったときでした。魔女の娘・ハイネはじっと、何かを考えるようにアサコちゃんのことを見つめたのでした。



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