3.魔女
アサコちゃんが次なる魔法を考えていると、部屋の窓を何かがコツコツとたたく音がしました。
「何かしら」
アサコちゃんが窓を開けたとたん、何かがつむじ風のように部屋のなかへ入ってきました。見るとそこには、いつの間にか、妙な姿の人物が立っています。
「あなた、誰」
「あたしは魔女だよ」
アサコちゃんがびっくりしたのは言うまでもありません。この世に魔女なんていうものがいるなんて、あまりにも信じがたいことだからです。魔女は言います。
「あんたのことはカエルから聞いているよ。それでずっと、のぞき見させてもらっていたんだけどね、あんたは見どころがあるよ」
「見どころって」
「つまり本物の魔女になる素質があるっていうことさ。あんたの魔法のかけ方にはセンスがあるよ。あたしゃ、すっかり気に入ったね」
魔女は話を続けます。
「じつはね、あたしの娘が魔女の仕事はつがない、なんて言い出したのさ。つい昨日のことだよ。それで、いいアトツギはいないかと探しはじめたときに、あんたのことをカエルから聞いたっていうわけさ。それで、どんなものかと見てみれば、ほれぼれするような魔法の使い方をしている。いやもう、あんたの魔法にはウットリしちまうよ」
アサコちゃんは正直に言いました。
「あたし、魔女になんか、なりたくありません」
「そうはいかないよ。あたしはもう決めたんだ」
魔女はアサコちゃんの机の上にあるノートを見つけました。
「ふーん、これがあんたの魔法のノートだね。ちょっと借りるよ」
魔女はそう言うと何やらノートに書きはじめました。アサコちゃんがききました。
「何を書いているの」
「ふふふ。あんたを本物の魔女にしてしまう言葉だよ。呪文っていうやつだよ」
「やめて。そんなもの、書かないで」
アサコちゃんがノートを見ると、そこには赤い色で見たことのない文字がたくさん書いてありました。そのとたんのことです。アサコちゃんは魔女の呪文を見たとたん、体がどんどんちぢんで、ついにはポケットに入ってしまうほど小さくなってしまったのです。魔女が言います。
「あんたは一人前の魔女にならないかぎり、もとの大きさには戻れないよ。この呪文はそのくらい強力なんだ」
「なんですって」
「おとなしくあたしの家に来るしかないね」
魔女はアサコちゃんを自分のポケットに入れると、またしても、つむじ風のようになって窓の外へ飛び出していきました。




