なろう作家、シュプレヒコール
今夜はよろしくお願いします。
「クソッ!」
男は怒っていた。
猛烈に怒っていた。
何故怒っているのか。
「なんで俺の作品が受賞しなかったんだよ!」
男は物書きであった。と言ってもネットの小説投稿サイトに投稿しているしがないしがない自称小説家だが。
先日男はそのサイトのコンテストに自身の最高傑作を送ったようだった。
結果はというと……。
「……んでこんなクソな作品が金賞なんだよ!」
見ての通りである。
「俺は……完璧だったはずだァ。文法もしっかり押さえていたし、さらに語彙だって……」
愚痴は続く。
「俺ァ異世界蔓延るこのサイトに、革命を下す筈なのに……」
暫し部屋が静まり返る。
次の瞬間、
「なんでだよおおお!!」
急に絶叫し錯乱状態になる。
煩く喚いていたら、階下から大声で
「うっさいよ!」
と母親 (だろうか)に怒られてしまった。
「わーってるよ、クソババア!」
男は口汚く返事をした。
それから、無駄のない動きで素早くパソコンに向き直り、また一人愚痴を言い始めた。
誰も居ない画面に向かって。
とめどなく。
永遠に。
今日も今日とて仄青い光だけが締め切った暗い部屋と男の顔を照らしていたーー。
読んでいただきありがとうございました。
こんなことがよくありますね。この人みたいに怒りはしないけど落胆はします。
他の作品も書いているのでそちらもどうぞ。




