表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/50

7 剣神クリフォード

 7 剣神クリフォード



 トムは翌日、公爵の位を賜り、学園に編入した。

 学園は貴族と平民の垣根のない校風を謳っており、様々な種族、階級の人間が通っている。

 ちなみに全寮制だ。

 トムは白を基調とした制服を着て、勉学にいそしむ毎日だった。

 トムの男子寮には貴族、平民、獣人族、エルフ、ドワーフ、魔族までいた。

 ホーリーナイト神聖国は魔族に排他的であった。

 しかし、当代の王アラスターが魔族を差別なく受け入れるようにしたので我が物顔でいる。

 トムのルームメイトは勿論、戦神である。

 トムと戦神は模擬戦闘訓練の授業に赴いてきた。

 他の生徒たちにとってはトムの実力のお手並み拝見である。


「これより、校庭で模擬戦闘訓練を行います! 『魔眼』トムと『剣神』クリフォード前へ!」


 講師が二人の名前を呼ぶと、周りからざわめきが起こった。


「魔眼を持つトム様と当代最強の剣士であるクリフォードさんの対決だ!」


「どっちが勝つんだ!?」


「クリフォードさんは学園最強でもある!」


 外野が遠巻きにして、どちらが勝つか固唾をのんで見守っている。

 トムは目の前で相対するクリフォードを眺めた。

 剣神クリフォード……当代最強の剣士。

 学園でも最強との呼び声も高い。

 最初から強敵と戦うとは運がないと言える。

 クリフォードの佇まいは底知れなく、歴戦の戦士を匂わせる。

 それに耳が長く肌が異常に白い。

 この特徴は希少な種族であるハイエルフか……。

 ハイエルフはもう絶滅危惧種として名高い。

 同じく希少種上位魔族の血を引いている自分と同類。


「始め!」


 講師が合図をするとクリフォードが剣を抜いて構える。隙が全く無い。

 先手必勝とばかりにトムは右手を翳す。


「邪悪なる不死鳥!」


 氷神第一形態を圧倒したトムの必殺技。

 不死鳥をかたどった黒煙がクリフォードに迫る。


「温い!」


 クリフォードは不死鳥の黒煙を切り裂き、鋭い踏み込みでトムの間合いへと入る。


「!?」


 しかし、トムの魔眼はクリフォードの動きが読めている。


 ――見える! これが魔眼の先読み能力。


 そして魔眼を開眼したトムの身体能力は大幅に引き上げられている。


「神速の剣戟!」


 クリフォードの剣速が増す。凄まじい速度で迫る剣戟。

 だが、トムの魔眼はクリフォードの動きを完璧に捉えていた。

 トムは右手でクリフォードの剣を片手で掴み、バキッと砕いた。

 氷神がやっていた真似である。

 身体能力が大幅に引き上げられた今ならば出来ると思ったのだ。


「何!? 馬鹿な……?」


 クリフォードは得物を折られて狼狽する。


「お返しだ!」


 今度は闘気を纏わせた蹴りをクリフォードの腹に放つ。

 魔眼による身体能力の引き上げに加えての闘気の纏わせなので相当な威力の筈だ。

 クリフォードはトムの蹴りの一撃を受けて悶絶。

 敢え無く崩れ落ちた。


「勝者トム!」


 講師がトムの勝ちと判定した。

 途端に周りは歓声に包まれた。

 トムの強さは学園中に轟くことになる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ