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5 アルフォード公爵家

久しぶりに投稿します。

よろしくお願いいたします。

 5 アルフォード公爵家



 ホーリーナイト神聖国は人類の希望の象徴である聖女が誕生する国である。

 そして当代の聖女ミラベルは歴代最強と誉れ高いと皆が口をそろえて言うほどであった。

 首都のアラスターは王の名を冠し、聖なる癒しの魔法がかけられている。

 当代の王アラスターは民の事を思いやり、善き王であり善政を敷いている。


 そんな神聖国にやってきたまだ幼いトムと長身痩躯の優男、戦神。

 漆黒の髪色に永遠なる真紅の輝きを放つ魔眼を常時開眼している。

 トムは門を守る守衛に礼を取り、首都に入るトム一行。

 守衛に聞いたが、トムの母、カトリーナの実家であるアルファード家は公爵家という。

 公爵家と言えば王家に連なる家だとトムでも分かる。

 だが、トムは緊張はしなかった。

 それは魔眼を開眼したという確かな自信。

 そして曲がりなりにも自分はあの大魔王の第一形態を圧倒する力を持つ。

 未だ父であるアレクには及ばずともそれなりに強いのだ。

 それに自分には仲間がいる。

 戦神……戦いの神を冠するこの男は魔王と戦ったことがある手練れ。


「緊張しますか?」


 戦神が渇いた笑みで問う。


「まさか。僕は魔眼を持つ崇高なる魔族の末裔……平気だ」


 トムは魔眼を手にして完全に己の心を支配していた。

 勇者として人類の希望であった幼馴染ライラを失った絶望……絶望がトムを逆に強くしていた。

 母カトリーナの実家のアルフォード公爵家は王城の前に在った。

 まだ見ぬ親族に会うのは気が重い。

 緊張はしてないが、どう扱われるのか若干の不安があった。


 ――ビクビクするな! 僕は氷神の第一形態を圧倒したのだぞ!


 そう自分に言い聞かせて、アルフォード公爵家の門を叩いた。

 アルファード公爵家の屋敷は騒然となった。

 亡くなったアルファード公爵家の長女、カトリーナの長男が突然現れたからである。


「ようこそお出でくださりましたトム様」


「トム様! ようこそ!」


「トム様!」


 あれよと言う間に使用人たちが応接間に通された。

 厳格そうな屋敷の主が姿を現した。

 ほうれい線が刻まれ、鋭い目をしている。

 トムは警戒した。


「初めましてトム。私はアルフォード公爵家当主クリストファーだ。

 私の隣にいるのは妻のレイラ」


「レイラです。ようこそ。一目で分かりましたよ。娘の子だとね」


 夫人は穏やかな笑みを浮かべる。

 思ったより好印象のようだ。

 トムの警戒が和らいだ。


「初めまして。『魔将』アレクサンダーの長男、トムと申します。

 隣にいるのが、僕の配下『戦神』です」


「………」


 戦神は値踏みするように夫妻を伺う。

 クリス夫妻はかなり驚いている様子だ。

 それもそうだ。10歳の幼子が魔眼を持ち、底知れない佇まいを見せる歴戦の強者を従えているからだ。

 トムでも戦神のヤバさが分かる。長年生きてきた老齢の夫妻ならば尚更だ。


「いや、驚いた。

 娘は亡くなったと聞いたが、あの世界でも三本の指に入る最強の手練れ、アレクとの間に子を設けていたとは。

 私の孫……トムは魔眼を持つ。あの伝説の最強の眼を持つとは……。

 それに傍らの御仁は伝説上の存在である戦いの神と伝え聞く『戦神』。それを従える等、傑物の中の傑物だ」


 トムの祖父、クリスは驚愕の色を崩さない。


「お話しします。全てを……」


 トムは事の顛末を夫妻に聞かせた。

 大魔王コールドの分身がフクロウ村を襲った事。

 第一形態をトムは圧倒したこと。

 力を開放した大魔王に聖騎士団と勇者として覚醒した幼馴染が倒されたこと。

 村は壊滅し、アレクは行方知れず。

 戦神と共にやってきたこと。

 全てをトムは洗いざらい話した。

 夫妻はまたも驚愕し続けていた。


「とにかく、良くここまで来た。

 明日、共に王城で陛下に拝謁しよう。英明なる陛下に相談することだ。

 当代の王である陛下は優れた御仁だ。今日は我が家で休みなさい」


 クリスは打って変わって朗らかな好好爺の顔になる。


「はい」


 トムは素直に頷いたが、戦神は何か考えている様子だった。


「………」


 トムと戦神はアルファード公爵家で一夜を明かした。

 翌日にホーリーナイト王国国王アラスターに拝謁することになった。

今回はここまで。

話が動き出します。

読んでくださりありがとうございます。

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