41 10年後。三勢力の一角sideローズ
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41 10年後。三勢力の一角sideローズ
魔導アース世界は10年の歳月が経過した。
ホーリーナイト神聖国聖夜城――。
深緑の髪色をした女王ローズは考え深げに顎に手をやり玉座で思案していた。
属国であったウォーター連邦が独立して超大国に伸し上がってしまった。
我が息子ルイスとハイエルフの王女フリーダの間に出来た孫を育てるのに苦戦している間にである。
ローズは孫息子を引き取って育ててみて辟易としていた。
剣神となって成長した娘ミアの幼少期のような我儘王子様でローズは悲鳴を上げそうだった。
しかもフリーダそっくりの超美麗な見た目でローズは日々発狂している。
本当に真面目なルイスの子なのかと猜疑の眼を向けたが、その心配は杞憂であった。
何故ならばルイスと同様に聖なるドラゴンに変身できるのだ。
エルフ国王女フリーダの血も引いているのならば、最強の人物になれるかもしれない。
孫息子ライオネルは我儘だが、才覚は一級品。
武芸も学問も全て完璧にこなす超天才の神童だった。
一を聞いて千を知る凄まじい神の子と呼ばれている。
しかもハイエルフという種族は連綿と祖先の記憶を引き継いでいるからその知識は膨大。
ライオネルは何れ覇王となるだろうとローズは予見していた。
その為にはしっかりと厳しく教育しなければならない。
ルイスは我儘な息子を見捨てて出奔してしまった。
旅を続けて属国から抜け出した制裁として女王フクダの首を取りに行くと息巻いているらしい。
今日も我儘王子の面倒を見ないといけないのかとローズは心労が祟っていた。
最近、どうも疲れやすくなったローズは栄養ドリンクにはまっている。
献上された栄養ドリンクを一気に飲み干すと、ローズはライオネルの部屋へと向かった。
ライオネルは聖夜城の離れにあった。
王族らしい煌びやかな部屋である。
「いらっしゃい。おばあ様」
ライオネルは挨拶はするが、一礼をしなかった。
著しく礼を欠く行為であり、ローズは眉間にしわを寄せた。
――小童め……私を愚弄しおって! フリーダに瓜二つだからムカつく。
ローズはこの年になって激情を抑えるすべを身に着けた。
だから穏やかな表情を形作って、にこやかに挨拶しようと、
「出迎え御苦労、ライオネル。
今日の模擬戦の相手に打ってつけの人物を用意しましたよ」
ローズは徹底的にライオネルの自信を打ち砕くために選りすぐった最強の人物を用意した。
魔導アース有数の武人、戦神。
永久不滅の戦の神様と呼ばれる人物である。
今度という今度はライオネルも発狂するに違いない。
扉がガシャーンと開いて、闇のオーラを全開にした屈強な人物が姿を現した。
漆黒の出で立ちにその両目には移植した究極魔導眼を爛々と輝かせていた。
数千年前、魔導騎将ブレイクを倒して手に入れた戦利品だという。
「我は最強の武人、戦神……全てを超越せしもの」
厳かな佇まいは歴戦の強者に相違なかった。
「初めまして、戦神。私の名はライオネルだ。
お前の噂は聞いている。だが、そうだな。二割の力だけで倒せてしまう。
これ以上の加減は出来ない。始めるぞ」
「小癪な」
戦神は不快感を露わにして武器生成スキルで魔導神剣を生成。
黒い刀身の魔剣を手にした戦神は凄まじい踏み込みからの一閃。
「何!?」
ライオネルは片手で掴んでバキッと魔導神剣を折った。
ハイエルフの出鱈目な握力にローズは呆気にとられた。
「馬鹿な!?」
「お返しだ」
ライオネルは手刀で神速のかまいたち……斬撃の刃を飛ばして戦神を切り刻んでしまった。
表情を何一つ変えないライオネルにローズは驚きを隠せなかった。
素手で剣技を披露するなど、やはりフリーダの子だと確信を深めた。
「ぎゃあああああー!」
戦神は発狂して仰向けに倒れて、怯えていた。
自分が最強と思っていたものほど、その自信を崩されると脆いのだ。
そう言いたそうな面持ちでライオネルは見下ろし、いや見下していた。
「期待はずれだったな。もう興味は無い」
興味は無いとか言われて戦神は更に怯え、狼狽えていた。
ローズも心の中で発狂していた。
我儘で生意気な孫をちょっと怖がらせるために用意した駒だったのにこのざまだ。
しかもライオネルは再生スキルがあるので命を取られることはないと判断したためだ。
よもや、13歳の小童に魔導アース有数の武人を倒せる力があるとは誤算だった。
この我儘王子にはもっと試練を与えないといけないと思い、ローズは思い悩むのであった。




