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36 フリーダ無双2sideフリーダ

 36 フリーダ無双2sideフリーダ



 フリーダは使える駒を手に入れて御満悦だった。

 水神スイ……魔導眼を持つ青年。

 魔導眼を持ち、それなりの実力を持っているのであろうことは十二分に伺える。

 フリーダは水神スイを護衛とする事に何の懸念も持たなかった。

 水神スイは永久王朝を築くのに文字通り使える駒にすぎない。

 フリーダはこのウォーター連邦を水神スイを使って制圧し、永久王朝を築く。


 ――水神スイ、気に入った。せいぜい励め。


 フリーダはそう思い、その場で苦笑した。


「何故、笑う?」


 スイが訝しる。


「私は運命の人と出会ったようですね」


「何と……」

「いえ、何でもありません。ぜひ、ご一緒お願いします」


 フリーダはいつになく調子に乗っていた。

 更なるパワーアップを果たし、魔導眼を手に入れ、順風満帆。

 一時は全てを失ったが、ここから水神スイを使い、永久王朝を築く計画が始まるのだ。

 二人は食事を共にし、この先のプランを練った。


「フリーダさん、ハイエルフの君ならば知っているとは思うが、このウォーター大陸は最弱な大陸だと言われている。俺もこの大陸の出身だが、最近、A級の魔物が突如として沸いてきた。それに国は悩まされている。しかも国の情勢がことさら悪い。

 ウォーター連邦は独裁国家だ。そもそも、この国は王政ではない。

 選ばれた人間が国の舵取りをするのだが、今の指導者はまるで王のように君臨している。

 富裕層ばかり優遇する政策。格差が広がっている最悪な情勢だ。

 俺はこの国に革命を起こすために派遣された。そう……水神スイ。

 神皇国の六大天魔将だ。偉大なる神皇女様が遣わしたのだ」


 ジョッキに注がれた酒をグイっと飲んで水神スイは言葉を放った。

 それに耳を傾けたフリーダは素直にヤバいと思った。

 神皇女は自分を遠く離れた地より、見張っている。

 神皇女の魔導眼に覗かれていると知ってフリーダは困惑して大焦りだった。

 水神スイ……もしも、この御仁に自分が神皇女を裏切っていることがバレたら終わりだ。

 だけど、スイを洗脳して言う事を効かせるのは無理だと思った。

 自分も強大になったと思うのだが、スイもまた強大なのは推して測れよう。

 六大天魔将の一人だったとは大きな誤算だった。

 フリーダはジョッキに注がれた酒を飲み干すスイを見て、自分も紅茶に手を付けた。

 自分も酒をグイっといきたかったが、可愛さをアピールするためだけに紅茶を注文していたのだ。


 ――成程な。ムカつく話だ。人間の分際で独裁者を気取るとは。


 フリーダは一考してスイに積極的に協力しようと思った。

 そんな独裁国家など潰して見せようと方針転換をした。

 胸糞悪い話だが、スイは見どころのある御仁だからだ。


「成程ですね。分かりました。私と冒険者登録をしてパーティを組みましょう。

 私もハイエルフの端くれ。人間には後れを取りません」


 フリーダはにこやかに笑顔を取り繕って、スイの手を取り、二人は冒険者組合へと向かった。

 スイの顔を見るとまんざらではない顔をしているのが、不思議だった。

 人間の分際で自分に恋をするなど、おこがましいとフリーダは思った。

 だが、ここまで見所のある人間は初めてだった。

 ルイスは最初は優しかったが、次第にフリーダを疎ましく思いだしたのが、見て取れたから嫌だったのだ。

 しかし、目の前のスイは違う。

 本当に弱い者の味方だと言う事が容易に汲み取れたのだから。

 料理屋を出て町の中央にある冒険者組合に立ち寄った。

 受付の女性の前に立ったフリーダとスイは手続き登録を始めた。


「私の冒険者ランクをSランクにしてください。お願いいたします」


 フリーダは受付女に開口一番で我儘を言った。

 受付女は衝撃を受けた面持ちをして驚きを露にしている。

 何故ならば、フリーダの見た目からして只の小娘にしか見えなかったからだ。


「いえ、フリーダさん、最初は皆D級から始めるのが習わしです」


 ここでフリーダは魔導眼を発動。

 フリーダの左目が鮮やかな紅みを帯びて、輝きを放つ。

 魔導眼による洗脳により、受付女は思考停止したように瞳が虚ろになる。


「分かりました。フリーダ様のランクをS級で登録いたします」


 それを見たフリーダはほくそ笑んで、満足してS級で登録した。


「フリーダ、何という女だ……いや、何でもない。この小娘」


 一部始終を見届けた水神スイは呆然と立ち尽くしてボソリと言葉を濁した。

 こうして冒険者パーティを組んだ二人はいよいよ独裁国家を潰すための旅に出たのだった。

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