35 フリーダ無双sideフリーダ
頑張ります。
35 フリーダ無双sideフリーダ
目覚めたフリーダは世界最弱の大陸と言われるウォーター大陸にいた。
フリーダはゆっくりと目を覚まして立ち上がり、辺りを見回し、ウォーター大陸の外れにいる事を悟った。
フリーダの地形把握スキルを使えば、そんな事、いともたやすく造作もなかった。
「はははーッ! 良いぞ! エネルギーが満ちていく。
私は勇者イアンに敗れた事により、更なるパワーアップを果たしたのだ。
ここは世界最弱の大陸の外れか……この私が世界を支配する礎をここで築いてやろう。
最早、今の私は神皇女様……いや、神皇女の奴よりも遥かに強い!」
高笑いするフリーダの身体から凄まじい闘気が溢れていく。
闘気を自在に操るフリーダの力は以前より、遥かに強大となっていた。
元々、ハイエルフの生命力に加え、闘気の力、そして神皇女よりも強力とされる青い衝撃。
世界を支配出来ぬ道理はない。
「このように闘気を青い衝撃に乗せれば……」
フリーダの掌から放たれる闘気を帯びた青い衝撃が大岩に直撃する。
ドッカン!
大岩が瞬く間に粉砕し、土煙をあげる。
「我ながら何たる威力だ。この世界はこのフリーダ様のものだ」
フリーダは超次元の強さを手に入れ、ご満悦だった。
ローズ、神皇女、氷神、ミア、勇者ライラ、ムカつく連中だった。
だが、最早自分の方が圧倒的に強い存在なのだから、そこまで恨みはない。
フリーダはとにかく地形把握スキルを用いて近隣の町を目指した。
まずは情報収集をせねばなるまい、と野望剝き出しだった。
「……と、その前に左目に何か違和感を感じる」
フリーダは左目に違和感を感じ、水たまりに映った自分の顔を見た。
――これは魔導眼! これは思わぬ拾い物だ。
神皇女の奴……この私に魔導眼をプレゼントしてくれるとはな。
これで私は完全無欠にして最強のハイエルフの王だ!
フリーダは念願だった魔導眼を手に入れて些か調子に乗っていた。
弱い小娘の振りをして町で情報収集を行うというのに魔導眼を持つのは大きな誤算だった。
――まあ良い。私の演技力にかかれば……。
多分、滅茶苦茶嫉妬されるのは当然だが、それも当然。
魔導眼こそが最強の力だと信じている。
魔導眼頼りのミアは魔導眼無しならば只の小娘にすぎないのだから。
それだけ魔導眼持ちが嫉妬されるのは当然……自分も大いに嫉妬していたからだとフリーダは自嘲する。
現在の状況を全て確認したフリーダは町を目指した。
町に降り立ったフリーダは出来るだけ猫を被るように努力をして、料理屋に入った。
神力を限界ぎりぎりまで抑えるように努めなければならない。
出来るだけ小娘に見えるように……。
しかも、解せぬことにお腹が減った。
――お腹が減った……このハイエルフの王女たるフリーダ様がお腹が減っただと!?
生まれて初めての体験だ。何たる屈辱……忌々しい神皇女め! 八つ裂きにしてくれる。
フリーダは苛立っていた。
料理屋の主人は顔を赤らめてフリーダを見つめていた。
「おい、お前。何故、魔導眼を持っている?」
長身の美麗な長い髪を後ろで結んだ紅き双眸の青年だった。
「貴方は?」
キョトンとした目をして、フリーダはその青年を見つめた。
「俺の名前は水神スイ。俺も魔導眼を持っている」
青年の双眸は確かに魔導眼だ。
この状況で他の魔導眼持ちと相対するとは大きな誤算だった。
実力を隠さなければならない。
「スイ様と仰るのですね。私はフリーダと言います。只の旅人の娘です」
フリーダは出来るだけ慎みを持った言い回しで言葉を選んだ。
スイは訝しるように魔導眼を光らせるが、フリーダも魔導眼を持っている為に心が読めない。
「質問にこたえてくれないか、何故魔導眼を持っている?」
スイはモジモジするフリーダを警戒心を持って見ている。
「この眼は……ええと、あの、魔導族の血を引いているのです」
「そうは見えないが、君は可愛いからそこまで追求するのはなしにしよう」
「私の種族はハイエルフです」
フリーダはちょっと自分をひけらかしたくなって、種族の誇りをアピールした。
「ハイエルフだと? そんな貴重過ぎる種族がこんな最弱の大陸にいたとは」
スイは大いに驚いている。
心の内は驚愕しているのであろう事は見て取れる。
フリーダは心の中で鼻を伸ばした。
――人間如きが、生意気な口調で高貴な私に話すとはな……だが、格好良いから許す。
フリーダは素直に水神スイを格好良いと思った。
しかも崇高なる眼である魔導眼を持っている。
――こいつは使える駒だ。意のままにしてくれよう。
フリーダはいつもの計算高さを心の内で発揮してほくそ笑みを浮かべた。
「ハイエルフとはいえ、小娘一人が一人旅は危ない。
俺が、護衛をしてあげよう。女性は守るべき存在だから」
そう言ってスイは優しく微笑んだ。
「あ、ありがとうございます。お言葉に甘えます。よろしくお願いします」
フリーダも偽りの微笑を浮かべた。
――そういえば夫であるルイスも最初は優しかった。
私の息子はどうしているか。マジでローズの奴、ムカつく。
フリーダは複雑な胸中を抱えながら、スイの手を握った。




