34 究極の力を持った支配者sideミア
34 究極の力を持った支配者sideミア
スピア平原に降り立ったのは神皇女であることは一目瞭然であった。
青い髪色に青い目を持った青白い細身の少女。
伝説のアイテムである聖なる衣を着ている。
「ミアにそっくりだと!?」
今代の勇者ライラが驚いている。
ライラは余り感情をむき出しにするタイプではないのだが、狼狽えている。
ミアも動揺に動揺を重ねている。
「お前は神皇女! 俺は神トム様の使徒だ!」
いきなり勇者イアンが神皇女に斬りかかる。
それを神皇女が片手で掴み、一気に砕いた。
魔導真剣を片手で砕くなど、あり得ない超人的な力だった。
「お返しだ。青い衝撃!」
青い衝撃が神皇女の右手から放たれ、勇者イアンの体を粉々に砕いた。
全身の骨を砕かれた勇者イアンはその場に崩れてのたうち回る。
「ぎゃああー!」
絶叫してのたうち回るイアンを見てミアは内心で発狂しそうになった。
絶対にこの相手には逆立ちしたって勝てる訳がないと体がぶるぶると震えていた。
隣で見ていたライラもビクついている。
「私は神皇女。魔導王ルインの直系の子孫である。
勇者イアンは私の前に敗れ去ったな。
私を倒す可能性のある者はこの世には存在せん」
柔らかい声音がスピア平原に響いた。
怖気と戦慄を催すプレッシャーが放たれている。
「命ばかりは! 命ばかりは!」
全身の骨を砕かれて再起不能になったイアンは絶叫しながら発狂している。
もうイアンは助からないであろう事は明白であった。
何故ならば全身の骨が砕かれ過ぎているからだ。
骨が粉上に砕かれている部位もあることはミアの魔導眼で見切っていた。
「ほう。やはり、私と同じで魔導眼を持っているなミア。
ミア、私はお前の姉であるよ」
途端に神皇女の青い目が紅みを帯びる。
「本当に姉さんなの?」
その間にもイアンは絶叫し続けている。
ライラはイアンに回復魔法を掛けているが、一向に回復の兆しは見えない。
「ああ、お前の双子の姉だ。私はお前に興味があってな。
ずっとお前を見ていた。
我儘放題の王女様であったお前が、剣神国に旅立って剣神となった。
良く頑張っているな、と思った。
だけど、期待外れだ。勇者イアンを強いと思った時点で期待外れ。
戦力としては私の六大天魔将の中でも弱めだろう。
勇者ライラも期待外れ。だってそうだろう?
この私は天の気まぐれで創り出された究極にして最強にして完全無欠の存在。
世界制覇をした後に天界に攻め込み、我が父トムを地獄に送ってやる。
その為にまずは神トムの使徒である勇者イアンを倒したのだ」
そう捲し立てるように言い放った後に目の前でダンゴムシのように這いつくばっている勇者イアンを踏みつぶした。
「ぎゃああー!」
勇者イアンの野太い叫び声が断末魔となって響き渡った。
「ゴミめ」
ミアは勇者イアンが絶叫して死んだ事に驚きを隠せなかった。
まさか自分に双子の姉がいた事に動揺を隠せない。
「姉さんなの?」
「そうだ。この私の手を取るがいい。
いや、お前はいらない……と見せかけてもっと強くなれ。
見せかけの強さではなく、真の強さを身に付けろ。
お前は魔導眼に頼り切った哀れな姫様にしか過ぎない。
とにかく魔導眼に頼りすぎ。最強の眼に頼るな。
勇者イアンを葬ったのは私のペットであるフリーダ様がやられた腹いせだ。
それぐらい私は部下を大切にしているのだぞ。
フリーダ様は超再生のスキルがあるので、不滅だから良かったものを。
そう。フリーダ様には新たな試練を与えるつもりだ。
最弱の大陸に派遣する。フリーダ様に私の魔導眼コレクションの一つを与える事にする。
くくッ! これでフリーダ様は更に強くなる。
魔導眼を持った王族ハイエルフ等、強いに決まっている。
それにミア、ちょっとお前を怖がらせただけだ。
お前、死んだ生命体がどうなるか知っているか?
そう。勇者イアンも新たな生命体となって転生するのだ。
その方が良いに決まっている。勇者など、外れに決まっている。
その点も加味して、私は敢えて勇者イアンを倒したのだ。
勇者イアンの為を想ったのだ。お前を遠くから見てきたが、酷いと思った。
何故なら、お前にはまだ邪悪な心が巣くっている。
お前は魔導眼と言う最強の力に溺れ、慢心どころか、自分が一番偉い等と思った哀れな王女様」
そこまで捲し立てられてミアは大焦りだった。
自分の生き別れの双子の姉が自分より、遥かに賢い事に驚きを隠せない。
自分がホーリーナイト神聖国の直系の姫君で長女だと思っていたら、違った。
本当の直系は目の前の神皇女だった。
「ミア、お前をもっと成長させるために少し怖い思いをしてもらう。
勇者ライラと言ったか? お前も転生させてやる。
私は勇者が嫌いなのだよ。究極魔法『カタストロフ』」
神皇女は左手を翳すと闇の光弾が放たれ、勇者ライラの心臓を貫き、一閃。
ライラは血を吐いてその場に崩れ、肩で息をしている。
あの勇者ライラが、一度はフリーダ様にも二人係で勝った強者が一撃で敗れた。
いや、敗れたどころか、まるで虫を潰すかのような圧倒的な力の差が顕著に表れた。
「うむ。弱いな。まるで虫のようだな。
だが、全く馬脚を現さない所が、高ポイント。
もっと強い存在に生まれ変わって挑んでくるがいい」
神皇女は虫けらを見るような眼差しで、命の灯火が消えかかっている勇者ライラを見据えていた。
弾かれたようにミアは魔導真剣を抜いて、神皇女に斬りかかった。
「やれやれ。実の姉に真剣で斬りかかってくるのが解せぬな。
その太刀筋、本当に剣の道を究めたのか?」
神皇女はミアの魔導真剣を片手で制して、そのまま弾き飛ばした。
弾き飛ばされたミアはその場に大の字になって倒れた。
「お前には少々がっかりした。
だが、私の可愛い妹には変わりはない。
もっと強くなれ。私は更なる高みへと上る」
ミアは神皇女の去り際の言葉に耳を傾けて、太陽を見た。
魔導族の高い再生能力で体は見る見るうちに回復していくが、心が癒える事は暫くなかったのだ。
書き貯めは以上になります。
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