33 ルイン教sideミア
33 ルイン教sideミア
ミアは愕然としていた。
あり得ないほどに目の前の勇者イアンは相当な練度を誇った勇者だ。
とても完成度の高いパーフェクトなイケメン貴公子。
あのフリーダとクリスタルを一瞬にして蹴散らした戦闘能力。
「私が今代の勇者ライラだ。まさか自分よりも強い勇者が存在したとは……」
「ミアです。あのフリーダ様を倒すとは何て御方ですか?」
勇者イアンは此方を値踏みしている。
次第に顎に手をやり、頭を傾げている。
「神力百万……これが超人の域に達した人間の数値です」
その瞬間、勇者イアンの纏い持つ雰囲気が変わった。
覇者の闘気……伝説に聞く、勇者にしか使えないと言われる。
これが使える人間がいたとは。
「勇者ライラさんはもう使えますよね?」
「ええ。使えますよ。覇者の闘気!」
勇者ライラは全身から身に纏ったオーラが迸る。
いつの間に、と言う顔をするミアであるが、ここは調子に乗らないようにしようとしている。
「どうやらミアさんは使えないようですね。
それが当然です。覇者の闘気は勇者しか使えないのですから」
覇者の闘気でマウントを取られてミアはしり込みする。
勇者しか使えないのか何てズルいんだとミアは頬を膨らませる。
「それではテストします。ミアさん、全力で剣で打ち込んでください。
それを私が全力で無力化します」
突然、勇者イアンは覇者の闘気を莫大に膨らませて水流剣の構えを取った。
「剣神である私を舐めるな! 行きますよ。『ライトニング』!」
鞘から剣を抜き天高く構える。
空から稲光が走り、魔剣に神速の如き速さで伝達する。
「『ライトニングブレイカー』!」
「水流剣『極み』!」
光を纏った剣戟と勇者イアンの水流剣が、ぶつかり合った。
その結果、見事に互いの技が打ち消しあった。
勇者イアンはフーと息を吐いて肩を鳴らして楽にしていた。
「見事です。ミアさん合格です。
本題に入りましょう。我々はこれから神皇女が治める神皇国に攻め込みます。
早めにあの二人を消せて正解です。
しかも、これから更なる強大な相手と戦うことになります。
自然を操る超常的な能力者ばかりの頭のおかしな軍団と戦うのですから。
中でも水神スイ……あれは水を操る力を持ち、勿論、物理的攻撃無効と言うのは当たり前です。そんなおかしな集団と戦うのですから。
しかもスイの奴、貴方と同じ究極魔導眼持っているという頭がおかしいですよ」
勇者イアンは捲し立てるように言った。
この勇者の言う事は全て頭がおかしかった。
たった三人で攻めるのかと、ミアはとても信じられなかった。
「荒唐無稽な話かと思いますが、世界各地でルイン教が蔓延しています。
ルイン教とは神皇国が発端となった教義ですが、神皇女の目的は魔導王ルインの復活。
それを阻止するために我々は戦うのです。貴方たちの戦力をあてにしています」
勇者イアンは深刻そうな面持ちで語った。
神皇女一族を滅ぼすためにこれから戦いに行くのかとミアは些か動揺する。
勇者の挑戦ならぬ、正に無謀な挑戦。
「ミアさん、恐ろしい話かもしれません。
でも本当なんです。神皇女は本気で世界制覇を狙っているのです。
神皇女からすれば大魔王コールドですら可愛く見えますよ」
逆に勇者イアンの体が震えていた。
その刹那――何者かが唐突に異次元空間から現れた。
それはミアに良く似たどころかそっくりな美少女であった。




