表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/50

29 神速の勇者ライラsideライラ

 29 神速の勇者ライラsideライラ



 勇者ライラは魔導アース世界における希望の象徴たる勇者である。

 世界の均衡を崩すものが迫る時に現れる選ばれし者だ。

 勇者ライラは幼き時をイーグル王国フクロウ村で過ごした。

 そして氷の大魔王である氷神に敗れた。

 その時の挫折は彼女を大きく成長させた。

 幼馴染であるトムはホーリーナイト神聖国国王を経て、天界を創造し神となった。

 ライラも必死に努力し、研鑽を積み大きな力を付けた。

 腕試しにアレクと模擬戦を行えば、軽く一ひねりだった。

 今のライラは世界の秩序をただすものとしての力を身に着けている。

 ライラは大将軍の天幕でローズに出撃命令が己に下された。


「大魔王コールド殿の軍勢は敗れた。ここで勇者であられるライラ様に出陣を命じたい」


 ローズの深緑の瞳は厳かなものであった。

 その眼はライラの実力を高く評価する事が十二分に伺えた。

 ライラはその場で平伏し、了承した。


「私にお任せあれ……フリーダなどの過去の遺物は必要ない。

 先に敗れたアレクサンダー殿の弔いも兼ねて、フリーダの首を献上いたします」


 そう啖呵を切ると天幕を出ようとするが、


「お待ちを……この私も出陣します」


 過去に煮え湯を飲まされた大魔王の分体である氷神であった。

 やはり、究極体では自我を保てないからか、氷神形態で臨んでいた。


「氷神形態……大魔王殿はこの私の露祓いをお願いします」


「無論です。この氷神は一度、貴女に勝っている。遅れは取りません」


 こうして勇者ライラと氷神直下の軍四万が出陣した。

 この中には大魔王の嫡子であるレスターも同行した。初陣である。

 魔族は数が少ない。

 四万の軍もほぼほぼアイスジェネラルと同じような量産型であった。

 ライラと大魔王軍四万はエルフ国門を前に配置に就いた。



 陣容


 勇者ライラ

 氷神 四万

 レスター 五千


 この陣容で臨む大魔王軍の攻撃は激しかった。

 しかし、ハイエルフは全員がAランク。

 大魔王の息子レスターでさえBランクなのに。


「氷神殿、この私とタッグを組めばフリーダを討ち取れる!」


「ええ。過去の怨恨は無しにして二人係で仕留めるべきです」


 ライラと氷神は飛翔スキルで空を飛び、国門の上で佇むフリーダを叩こうとした。


「また、私を狙う不届き者がいたとは……かまいたち!」


 フリーダのフィニッシュに使う技、かまいたちは練度が高い必殺の威力を誇る。

 だが、フリーダを狙う二人は只の凡愚ではない。

 最強レベルの二人である。


「そんな小技、私には通用しない。地砕きパンチ!」


 氷神の必殺の一撃。

 細い腕から放たれる地面を砕くかのような一撃はフリーダの顔面を砕いた。


「馬鹿な!? この超越者である私がダメージを……流石は氷神殿だ」


「良いぞ! 氷神殿はやはり強い……! フリーダにダメージを」


「まだです。フリーダには再生スキルがある。この程度のダメージは通用しません」


 氷神はフリーダに手痛い一撃を食らわせても冷静だった。

 フリーダの顔面は自己再生で元の美しい顔面に元通り戻った。


「氷神殿はこの世界を除く全ての平行世界を征服している存在……神たる私の天敵!」


 美しい顔面に手をやりながらフリーダは説明する。

 やはり、悠久の時を生きているフリーダは世界の真理を知っている。

 そこまで氷神が凄い存在とは思わなかった。

 氷神と組めばフリーダ打倒の糸口も見えてくる。


「それにしても再生スキルが厄介だ」


「いや、再生スキルも莫大な魔力を消耗する。必ず攻略できる」


 氷神は理路整然に説明した。

 成程……再生スキルも万能ではないという事か。


「この私の奥義を! 今代の勇者である私の攻撃! 神速の剣戟!」


 この瞬間、ライラの姿が一瞬で消えて、その速度は音速を超えて超速……神速の域に達した。

 神速の剣戟はフリーダの半身を切り刻むことに成功。

 フリーダは悶絶。


「勝てる! 勝てます! 勇者ライラ殿と母上がタッグを組めばフリーダなど」


 国門の下で指揮を執るレスターは二人の奮戦に高揚し、軍全体の士気も上昇した。

 遂に手痛い一撃を浴びせた二人の強者は、フリーダを追い詰める。

 フリーダはまたしても再生スキルを使わなければならなかった。

 これまでの戦いで示したフリーダ特有の異様な躱す動きも通用しない。

 それほどまでにハイレベルな戦いだった。

 怠惰なフリーダ姫ではランクを落としていた。

 密偵から仕入れた情報では、近年のフリーダは修行を怠り、怠惰な生活を送っているとの情報があった。


「畜生! 畜生! 畜生! 全世界最強の神たる私がこんなゴミ共に!

 許さんぞ! もうこうなったら、国門などどうでもいい!

 ダリア! ハイエルフ軍を非難させろ! 国門ごと連合軍をゴミにしてやる!

 消えてなくなれ! 最強究極魔法ショックウェーブバースト!」


 フリーダの全身から光のエネルギーが集中する。

 天地が鳴動し、大地が崩壊する魔法力を内包していた。


「この世界ごと崩壊させる気か! 姉上! 非難をしなければ」


 ダリアは直下のハイエルフ軍を避難誘導する。


「ならば、此方もショックウェーブバーストを放たなければなりませんね」


「致し方ないか……」


「「ショックウェーブバースト!」」


 三人のショックウェーブバーストがぶつかり合う。

 国門が崩壊し、大地が砕け、天地雷鳴の如く、世界崩壊の危機であった。


「馬鹿な―ッ! 高貴なる私が、こんな下賤な輩に!」


 やはり、ランクを落としたフリーダよりも最前線で戦い抜いた勇者ライラと氷神の足元にも及ばなかった。

 ぶつかり合いはライラ達が制し、フリーダは空高く打ち上げられ無様な最期を遂げた。


「やったか?」


「まだだ! ハイエルフには高い生存能力がある。生き残るが暫くは再起不能だ」


 その言葉通り、フリーダは天から降ってきて、地面に着弾した。

 しかし、フリーダには最早、生命力が乏しく、何もできない。捕虜となるのであった。


「敵将! フリーダ! 討ち取ったり!」


「「「おおッ! フリーダを捕虜とした。この戦、我らの勝利だ」」」


 フリーダを捕虜とした連合軍は国門を制圧。

 ハイエルフ達の多くは逃げ惑い、ダリアに至っては命を失い、正に阿鼻叫喚の地獄絵図であった。

 ハイエルフ達の楽園に残るのは彼らの女王であるクリスタルとその取り巻き共しかいない。

 後は連合軍の切り取り放題となるのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ