24 再会の宴sideルイス
24 再会の宴sideルイス
ホーリーナイト神聖国国王ルイスはエルフ国で軟禁状態であった。
エルフ国はハイエルフ達の楽園であり、上位魔族の血を継ぐとはいえ、人間であるルイスは不遇だった。
フリーダの不興を買ったのだ。
その理由は『何故、それ程の力を持つのに隠していたのか』と。
そう。
ルイスは只の国王ではなかった。
変身能力を持つ稀有な能力者だった。
しかも聖なるドラゴンに変身出来る。
それを知ったフリーダはルイスを戦力として当てにしようとした。
だが、ルイスは頑なに拒んだ。
フリーダは激高。
ルイスとフリーダは人族とエルフ国の国境の大橋で激突。
聖なるドラゴンに変身したルイスの力は凄まじかった。
最強魔法ショックウェーブバーストのぶつかり合いの末、フリーダがその戦いを制した。
それ故、ルイスは地下牢に軟禁されていたのだが、それが解かれた。
聖なる宴に姉であるミアが現れた。
馬鹿な、と思ったが、やはりミアが剣神となった。
幼き日より、ルイスは自分が超越者だと思っていた。
聖なるドラゴンに変身でき、最強魔法を行使出来る。
そして人望厚い王族として生を受けた。
「姉上か……剣神となったようですが、何故この地に?」
「ルイス……フリーダ様の不興を買ったようだな。
挙句の果てに決闘に負けるとは。父上が知ったら何とお嘆きになるか」
二人の王族はバチバチと火花を散らしていた。
宴の席には大勢のエルフ族の各首長たちが招かれ、二人の再会を見守っていた。
ルイスに至っては今にも聖なるドラゴンに変身しかけている。
ミアは木剣ではなく真剣を抜こうとタイミングを測っている。
「二人とも、その辺にしておけ。明日。大魔王コールドの軍勢も仕掛けるようだ。
我ら、エルフも仕掛ける。大魔王コールド殿は氷神形態ではなく、究極体で臨むと読む。
まさか究極体を運用するとは、分体である氷神でいる事で最強の力をコントロールしている御仁がな」
やはり、フリーダは読みの天才であった。
かつて氷神形態の大魔王に敗れたことがある父、トム。
彼は既に天界を創造し、神となった。
今、この瞬間も随時状況を把握しているのであろう。
「フリーダ、かつて父、トムは氷神形態の大魔王に敗れた。
お前の意図は分かった。決闘に敗れた身、僕は高みの見物と行こう。
聖なるドラゴンに変身して遥か高みから、混沌の争いを見ている」
ルイスは端正な顔立ちを歪ませて、高みの見物を決め込んだ。
別に人間の事が好きではない。
かといって傲慢なハイエルフにも愛想が尽きた。
だけど、フリーダとの間には子供が出来た。
その子の行く末を見守ろうとした。
「中でも大魔王軍の中、突出している戦力は魔将アレクサンダー。
そして、魔将『破壊剣』のリーヴァイ。大魔王配下の大駒達だ。
我が軍も剣王ダリアに招集をかける。ほら、ダリアが此方に就いたぞ」
目線でフリーダは味方をしろと合図をした。
そういえば姉であるミアは剣王ダリアを慕っていたという。
「私は誰の下にも就かない。大魔王コールドに興味がある。
コールドを相手取って勝ちたい! 父が勝てなかった大魔王に絶対に勝つ」
やはり、姉であるミアにも王族としての矜持があったようだ。
しかし、不自然なことがある。大魔王コールドの軍勢十万はエルフ国の国門付近に集まっている。
人間の軍勢十万も魔王軍に呼応してエルフ国国門に集結……連合軍だ。
「フリーダ、この戦、詰んでいるかもしれない」
「何と!? 人間共と魔族が手を組んだだと? 誤算だ」
フリーダは酷く狼狽している。そこでフリーダは顎に手をやり、思案する顔をした。
――フリーダめ、馬鹿な奴だ。傲慢なエルフ共は魔族とて大嫌いなのだ。
ルイスは大魔王の深層心理を魔眼で覗いた。
やはり、人間よりもエルフにムカついているようだ。
只でさえ、数の多い人間と精強な魔族が手を組んでいた。
これを興したのはルイスとミアの母、ローズだ。
ローズはハイエルフをあまり良く思っていない。
ましてや、実子であるルイスが軟禁されたと知れば尚のことだ。
「フリーダ。連合軍の盟主は僕の母、ローズ。ホーリーナイト神聖国の軍は強いぞ」
まさか、ローズが連合軍の盟主とは。直接的な武力は無いが、統率力がある女性である。
実際にホーリーナイト神聖国の王位継承権を持っていたのはローズだ。
偉大な父であるトムでさえ入り婿なのである。
大魔王軍の武力にローズの統率力が合わされば軍団は更に強固なものとなる。




