22 魔導剣神ミアsideミア
22 魔導剣神ミアsideミア
ミアは剣神国から旅立った。ミアは16歳になっていた。
身長は思ったより伸びず、弟のルイスに抜かれているに違いないと思った。
だが、自分には魔眼がある。
それも最強の魔眼……『究極魔導眼』。
例えようのない全能感が全身を支配する。
魔導剣神を名乗り、世界最強の剣の使い手として名声を欲しいままにしていた。
だが、剣神国で傅かれる生活は性に合ってはいない。
だから剣神国を単身で抜け出した。
ミアは冒険者を見かけたら、木剣で完全に無力化させて自らの鍛錬とした。
真剣を使うまでもない。
自分に敵う存在は一人も存在しないのだから。
姉と慕う剣王ダリアの出身国エルフ国を目指していた。
「ミア様……」
ミアに付き従っているのは幼い時から仕えている侍女ララ一人である。
彼女も剣の達人である。
父であるトムは弟、ルイスに国譲りし神となった。
「ララ……私は全てを支配したい。
地上も魔界も父が創造した天界すらも我が手に……!」
ミアは右手を翳し、掴むポーズをする。
それを見たララは恍惚としている。
剣神国はミアの支配国。
エルフ国を説き伏せて手中に収めるのだ。
実力の一端を見せ、完全降伏させる。
究極魔導眼を持つ自分ならば成し遂げられると自負していた。
ミアの究極魔導眼の能力は右目は対象となる相手の深層心理を覗くことが出来る。
故にミアには嘘が通じない。
何者もミアに隠し事など出来はしないのだ。
次に左目に宿った能力。
それは自らが作った精神世界に対象となる人物の分身体をコピーして招くことが出来る。
だから、真っ先に尊敬するエルフ族が誇る剣王ダリアの分身体を精神世界に招いて愛でているのだ。
しかし、ミアの究極魔導眼の二つの能力はどちらも戦闘向きの能力ではない。
最強を目指すミアは少々不満げだったが、二つの能力は戦闘向きではないものの強大な力だ。
決して悪用してはならないとダリアに注意された。
ミアとて魔導に染まった訳ではない。
無血で諸国を落とし、理想の世界を築き上げる。
その為ならば実力の一端を垣間見せる事に抵抗はない。
そんなミアであったが、16歳の小娘が、荒れ放題の荒野を歩いていると危険が伴う。
エルフ国の国門にあと少しで辿り着くというところで賊の集団がミアと侍女ララを取り囲んだ。
――後少しでエルフ国に辿り着くというのに……。
ミアは内心で舌打ちをした。
「魔導真剣!」
バチバチと鳴り響き、異次元空間から黒色の魔剣が生成され、ミアの左手に収まる。
「何だ!? 小娘! 俺はライガー! エルフ族と獣人族の混血の賊軍の大将だ!」
屈強な体格の獣人族の集団だった。
人数は五百人。
中でも総大将はエルフ族の血を継いでいると豪語する。
賊軍は一斉にミアに襲い掛かった。
ミアが金持ちのお嬢様だということを当てにしているらしい。
最近は情勢が各国で悪く、賊軍が闊歩し、景気が悪いのだ。
飢えや貧困が蔓延し、瘦せ衰えた物乞いさえも路上で生活しているのだ。
「ライトニング!」
ミアは高らかに唱える。
空から光のエネルギーがミアの魔剣に充填されていく。
ミアは光のエネルギーを纏った魔剣を振りかざした。
「ライトニングブレイカー!」
ミアの必殺剣である。
賊軍の大将、ライガーは真っ二つに切り裂かれて、一瞬のうちに絶命した。
「ミア様、今のは正に剣神様の一撃でした」
賊の軍勢は総大将が一撃でやられたのを見て、武器を捨てて蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
「逃がすものか! 邪悪なる不死鳥!」
右手から放たれた黒炎は賊を一気に焼き尽くした。
ミアは賊が捕虜にしていた人間を救いだし、人々から感謝された。
正に救国の剣神様だと。
ミアの活躍は吟遊詩人たちにより語り告げられていくのだ。




