21 昨日の友は今日の友sideアレク
21 昨日の敵は今日の友sideアレク
アレクは神の使徒と名乗る若造に興味が沸いた。
自分の最大戦力の技と言える魔導王の流星を互角に制したのだ。
そして神の使徒の証である魔導眼……忌々しい。
自分以外に魔導眼を持つ者とは。
それに我が息子……トムが神様になっており、自分には孫が二人いるとは真に誇らしい。
更に孫娘に至っては魔導眼を開眼し、中立国として有名な独自の成り立ちを持つ剣神国にて剣神様になっていると言う。
長年、トムの前ではアレクは子を想う思慮深い親を演じてきた。
それも魔導眼がいつ開眼するか分からない事への危惧であり、開眼した息子を手に掛けようとした。
それは子を想う親の想いからであった。
そんなアレクは思うところがあって、数キロ先の町の酒場でイアンと酒を酌み交わした。
昨日の敵は今日の友ではないが、途方もない潜在能力に興味を引き、色々情報を探った。
酒場はかつてオスカーと飲んでいた安酒ではない。
神聖国を代表するきちんとした料理も出る。
店内は大いに賑わっており、天井の木組みが目新しいタイプだ。
アレクとイアンは店内の隅の方の席へと座った。
ちなみにアレクのダイヤモンドの外殻はアレクの肉体の服の上に包まれていた。
勝負が終わったアレクは残ったダイヤモンドの外殻を取り払い、元の細身の体へと戻った。
「……すみません。
アレクさんが大魔王コールドから頂いたダイヤモンドの外殻が……」
席に着くと開口一番にイアンは謝罪の意を述べた。
戦いの最中の生意気さはどこへやら。
「謝罪は良い……ダイヤモンドの外殻は紛れもなく最強であった。
イアン。お前の力が上回っていただけの話だ」
アレクは寂しそうな顔をして呟いた。
「アレクさん。大魔王コールドの最高幹部である貴方は今後どうするのですか?」
イアンの言葉にアレクは戸惑った。
自分が魔王軍の最高幹部であることが割れてしまったからだ。
息子のトムが神様になり、孫息子が大国の王。
そして孫娘が剣神で不穏な動きを見せているという。
「トム……すまない。駄目な父さんで、ごめんな。
俺はカトリーナを手に掛けてはいない。病気で亡くなる所で一芝居を打ったのだ。
幼いお前には邪悪な心が芽生え始めていた。
だから大魔王コールド様は氷神形態でフクロウ村まで出向いたのだ。
お前が立派になった姿を見て俺は満足だ。
だが、次に改心させるのはお前の娘だ。
剣神ミアは魔導眼の究極瞳術である究極魔導眼を開眼している。
恐らくこの世で五本の指に入る程の実力がある。流石は俺の孫娘だ。
しかし、ミアは人斬りだ。力に溺れ、実力者を切り裂く旅に出ているという」
アレクは全てを語った。
幼いトムには邪悪な心が芽生えていた。
トムを改心させるために皆は動いていたのだ。
幼馴染のライラも生きている。
皆の努力が実り、ようやくトムが改心したと思ったら、その娘……ミアが魔導に堕ちた。
「父さん……僕を改心させるために動いていたのですね。
ライラも生きている。大賢者アーロンさんも。全員、生きていたのか……良かった」
トムは実体を現して大粒の涙を流した。
それを見た周囲の皆は笑いあった。




