14 イーグル王国
14 イーグル王国
カイルを加えたトム一行は総勢六人と少人数だ。
ホーリーナイト神聖国の軍勢を動かせば何十万人と動員できるが、小国とはいえ真正面からぶつかりたくはない。
それゆえに一騎当千の実力者と言った少数精鋭でイーグル王国に赴くことになった。
瞬間移動で王国の王都に到着。
瞬間移動は非常に便利なスキルだ。
正面突破。王城付近は大魔王の僕であるアイスソルジャーやその上位のアイスジェネラルがうろついていた。
だが、問答無用。先陣を切る聖国の守護神……禍々しきオーラを溢れ出させる戦神が瞬殺した。
そのまま王城に入り、敵兵を薙ぎ払い。
カイルの先導であっと言う間に謁見の間に辿り着いた。
「カイルよ……他国の精鋭を呼び寄せて余から王位を得たいのか?」
玉座に座る男……ルーカスは口ひげを蓄えて威厳たっぷりに言った。
この男がカイルの兄で第一王子……偉そうな男だった。
だが、この男の周囲には世界中から集めた護衛が何人も控えている。
「兄上……もうこれまでです。ホーリーナイト神聖国の国王様の一騎当千の手練れが付いているのですから」
カイルはあくまで強気だ。
「ふん! カイルよ、此方には『破壊剣』のリーヴァイ殿がいる。リーヴァイ、こ奴らを斬れ!」
ルーカスが命じると長い刀身の魔剣を手にした魔族の男が前に進み出て構える。
トムは鼻で笑った。
此方には戦神や聖女ミラベルと言った一騎当千の手練れが控えているからだ。
「ゆけ! 聖女ミラベル! リーヴァイを斬れ!」
「御意! この聖女ミラベルが相手いたします! 聖なる一閃!」
「破壊剣!」
ミラベルとリーヴァイはほぼ同時に光の速さで動いた。
ミラベルは槍を手にし、聖騎士団が良く使う聖なる一閃でリーヴァイの心臓を狙う。
魔眼を使うトムだけには見えていた。
光の速さでの攻防を……。
一瞬だった。
聖女ミラベルが破壊剣を受けて体が砕け散り、光となって霧散した。
恐るべき強さだ。
歴代最強と謳われた聖女が、大魔王戦役を待たずして命を失ったからだ。
「今度は私が……」
最強の聖騎士との呼び声が高い、クリスティンが光の速さで動くが破壊剣を受けてまたしても霧散した。
「次は我が行かせてもらいます」
剣神クリフォードが、神速の踏み込みから神速の剣戟を放つが、破壊剣を受け、二人と同様に光となって霧散。
此方側の戦力が大幅に削られてしまった。
戦神も神妙な顔をして唖然とする。
「僕が出る!」
トムは三人が命を失った事に動揺を感じたが、攻略法の糸口を見つけた。
「邪悪なる不死鳥!」
まずは小手調べに良く使う邪悪なる不死鳥で相手の破壊剣を誘う。
「破壊剣!」
トムの体が砕け散る寸前、トムは自己再生のスキルで強引に元の健康体に回復した。
「!?」
これにはリーヴァイも驚きを隠せない。
彼は破壊剣の力で格上に勝利をもぎ取ってきたのだから。
「終わりだ……『ダークネスブラスト』!」
「ぎゃあああー!」
闇の爆発が巻き起こり、リーヴァイは耐え切れず、その場に崩れ落ちる。
ここからはトムと戦神の独壇場であった。
次々と敵を屠り、最後にはルーカスも降伏。
一気にイーグル王国の内乱を治めたトムの手腕に両国は歓喜に沸いた。
カイルが王となり、イーグル王国はホーリーナイト神聖国の属国になり下がった。
それが引き金となり、トムの魔眼の力が内外に知れ渡り、全ての国がホーリーナイト神聖国の傘下に収まった。
魔王軍もトムに忖度し、同盟を締結。
トムは事実上世界の支配者となった。




