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12 何不自由ない生活と後顧の憂い

 12 何不自由ない生活と後顧の憂い



 トムの人生は万事順調であった。

天下一の美女と誉れ高い世継ぎ王女ローズとの優雅な生活。

 ローズとの仲を日々深めていく。

ローズは太陽のような女性であった。

 国民に寄り添い、国民からの支持が高い。

流石は王女様か……。

 ローズの声音は全ての者を傅かせるような音色であった。

 とろけるようなローズの声にトムでさえ、心地よくなっていくのだ。

 ローズのカリスマとトムの魔眼の力で国を引っ張っていくのだ。


 国王の座に就いてから七年が経過した。

 しかし、先祖返りした影響なのか、それとも魔眼の影響か。

 トムは上位魔族の血がかなり濃いのかもしれないと、聖女ミラベルに言われた。

 トムの外見は十歳の見た目のままだった。

 ローズは大人びてきた。

そんなローズも美しかった。

 トムは見た目が十歳だが、実年齢は十七歳。

ローズは二十三歳。

 そして喜ばしいことが起きた。

 遂に子が出来たのだ。

トムは目を見開いて、歓喜した。


「ローズ! 良くやった! 僕は嬉しいよ」


「ええ! 嬉しいです。トム様と私の子……」


 ローズも顔を赤らめて嬉しがる。

トムも笑い、戦神や剣神……それに聖女ミラベルにも祝福された。

 だが、最近良くない噂があった。

それはトムの父、アレクの悪事。

 アレクサンダーは強者のエネルギーを奪い、伝説の魔神獣を復活させようとしていると。

 その為に犯罪組織『神隠し』を設立しているようなのだ。

 トムは決心した。これから産まれる子供の為にも後顧の憂いを断って置かなければならない。


「ローズ……今から僕は瞬間移動でアレクサンダーの元へ行き、亡きものとしてくる」


「トム様……御武運を」


「ああ、僕は負けない」


 トムはローズに暫しの間、別れを告げると瞬間移動で、王宮を発った。





 場面が変わった。

場所はイーグル王国の巨大な吊り橋。そこにアレクはいた。

 下は谷底であり、落ちれば死を免れないだろう。

 アレクは魔眼を輝かせていた。

だが、トムも魔眼。敵ではないと悟る。


「トム……お前は変わらないな。お前は魔族の血が濃すぎるのだ。

 魔眼を開眼させた上位魔族はハイエルフと同等に長寿だと聞く。

 だが、俺は魔眼を持つが魔族の血は一滴も入っていない。何故だかわかるか?」


 アレクは挑発してくる。だが、トムは意に返さない。


「父さん……お前は母さんの魔眼を奪って自分に移植した。

 今の僕なら容易にわかる。馬鹿にするな」


 トムは魔眼を爛々と輝かせる。アレクの魔眼と自分の魔眼が重なる。


「そうだ。そのおかげで俺は最強の力を手に入れた。

 王女様と現を抜かしていたお前など、俺の敵ではない。邪悪なる不死鳥!」


 アレクは右手を翳し、黒煙の不死鳥を放つ。トムはそれを鼻で笑った。


「不死鳥の爆炎!」


 アレクの魔法よりも上位の技で返す。アレクは無表情で佇む。


「究極魔法『イリュージョン』!」


 アレクが三人になる。トムは剣を抜く。


「両断の剣戟!」


 トムは鋭く踏み込み、アレクの間合いに入る。アレクの分身を二人切り裂く。


「水流掌『極み』」


 アレクは掌をトムに向けて返し技を放った。

 しかし、そんな小細工はトムには通じなかった。


「地砕きパンチ!」


 大地を砕くかのような威力のパンチをアレクの腹に浴びせた。

 アレクは悶絶して倒れる。

勝利したのはトムであった。


「トム……俺の負けだ。最初から俺が勝てるわけがなかった。

 移植した魔眼に頼っていた俺と、上位魔族の血を引き、実力で開眼させたものとの違いだ。

 トム、見事だ。俺は最低な父親だ。力を追い求め過ぎていた。

 だが、最後の最後で息子の成長を嬉しく思う。お前の子……俺にとっての初孫を見てみたかったな」


 それだけ言うとアレクは息を引き取った。


「父さん……」


 トムは大粒の涙を落した。

 その瞳は更なる輝きを放つ……トムは悟った。

魔眼を極めたことを。

 魔眼……この世の理を全て理解してしまった。

 トムは父の亡骸を谷底に落とした。

 そして再び王宮に戻るとローズの安心した顔を見て緊張の糸が切れたように眠った。

今回はこれまで。

トムも少しづつ成長していきます。

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