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今日は非公式な外出だから、馬車はついていない。俺達3人は徒歩で町までくりだしていた。
お屋敷を出て、しばらく歩いた先の、眼下に広がるレインズフィールドの町を歩いているが……町人の人々は一様に姉上に手を振ったり、挨拶をしたりしている。どうやら、かなり慕われているようだ。
「まぁかわいい!新しい従者さんかしら?」
「え!?え、えーと……」
……一方の俺は変装のせいかたまにこんな感じで声をかけられる。ただ、俺は無断で抜け出しているわけで、実家にバレるわけにはいかないし、正直に正体を話すわけにもいかないのだけれど……。
「この子は母方の親戚の娘ですわ。ちょっとした縁で、今日は町を案内しているの」
「まぁ……それは失礼しました」
姉上がさらりと口から出まかせを言いその場をやり過ごしている。うーん、これが社交で得たスキルという奴なのだろうか。あれ、そういやリアは……?
俺はキョロキョロと辺りを見回して、リアの姿を探してみた……が、いない。まさか、はぐれたのか?
「ねえ、リアが……」
「リアム?あの子ならー……あそこね」
「あそこ?」
俺が姉上に尋ねると、姉上は振り返って後ろの方を指さした……ん、その方向には人だかりが出来ている。そして、その人混みからは一段と黄色い声が響き渡っている。
目を凝らして見てみると……多分10代くらいと思われる少女たちの中心に見慣れた姿がすまし顔をしている……。
「あの子、モテるのよね」
「……ぐ、ぐぬぬ」
あんのバカ野郎、あんなところで女の子たちに囲まれていい気になりやがって……!
たしかに?リアは文学少年ではあるが、細マッチョな感じでスタイルはいいし顔立ちは整っていて、レインズ伯家の中でも随分なイケメンだが?
……決して、決して羨ましいわけではないが、今日の目的は空き家の調査だろうが。鼻の下伸ばしてんじゃねぇぞ、くそが!
「……。」
「あら?シャーリー?」
俺は姉上の手を一旦離すと、無言でずかずかとその輪の中に入っていって、リアの服の裾を思い切り掴んで、静かな怒りの炎と共に奴の顔を満面の笑みで睨みつけた。
「……いくよ。お・に・い・さ・ま?」
「え!?え、あ、あぁー……うん、分かったよ」
俺はリアの服を思いっきり引っ張りながら、姉上の元まで戻ると、ふんと服の裾を投げ放して、また姉上の横に立った。先程の場所に取り残された少女たちは一様にぽかんとした様子でこちらを見つめているが、そちらは悪いが無視だ。
……決してモテるのが羨ましかったわけではない。全てはリアが悪い。
「……あ、あー……助かったよ、シャーリー?」
「ふん。このすけこましが」
「す、すけ……?」
はん、精々モテ期を楽しむがいいが、俺の目の届く範囲でいちゃつくのは絶対に許さんぞ。
……何度も言うが、決して、断じて、これっぽっちも羨ましかったわけではないが、全くもって腹立たしい……。
「あ、姉上?シャーリーは……」
「……リアム。女の子の約束をほったらかして他の女の子の相手なんて最低よ?」
「え、えぇ……?」




