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===16===

 

 そのお店は、この小物店のはす向かいにある店で、看板には鍋と剣という良く分からない組み合わせの意匠が描かれている。だが、軒から見える店の中を見た時ピンときた。


 あの統一感のない感じ、恐らくは古物商だ。


「あの店……ですか?」

「そ!ガラクタだらけかもしんないけど、もしかしたら、と思って!」


 そう、いわゆる綺麗目なお店には置いていないものというのは往々にして古物商やリサイクルショップにあるものだ。

 前世でも正直お金が無かったから、リサイクルショップを覗いては定価よりも数段安いものを買いあさっていたものだが、稀にお宝とも呼べるものが無造作に置かれている事もあった。

 だから今回も、もしかしたら!というわけである。


 カークのマントに隠れながらそろそろと抜け出した先、通りを抜けてすぐにそのお店についた。中は誰も居ないようで、物がごった返しているのに、何処かガランとしていて、いかにも「ここは売れないお店です!」というオーラが漂っている。

 …………にしたって本当に売れ行き悪そうである。なぜこんなどこぞのボリューム満点激安ジャングルを本物のジャングルにしたような店にしてしまったのだろうか……。これだと、客も何を買ったらよいか分からないだろう。なんだったら値札もついてないぞ。


「あ、の。お嬢様?本当にここでいいんです?」

「いい……ハズ!多分!」


 予想以上の闇鍋具合にちょっと気圧されたが、まだ探検もしていないのだ。俺はつかつかと店に足を踏み入れると、ようやく人の気配が奥の方から感じられた。

 その気配は俺に気が付いてか、ヅカヅカと威圧的な足音を立てながら俺の方へと進みだし、その人はようやく顔を見せた。

 こんな店だ、頑固な禿おやじでも出てくるのかと思ったら……出てきたのは50代くらいの女性。背が高く、白髪交じりの髪を後ろで一つに束ねている。耳の形が特徴的なカラカル種のようだ。


「……お嬢さん、こんな店になんか用かい」


 う、うぉう。とても黒ずんだ声と、冷ややかな視線である。どうやら冷やかしに来たのだと思われたようだ。


「ちょっと探してるものがあって。おばちゃん、魔法関連の本とかって置いてない?」


 しかし、ここで尻尾撒いて退散したら本当に冷やかしになってしまう。俺は平然を装って店主のおばさんに話しかけた。俺の回答を聞いたおばさんは何か関心したように俺の方を見つめなおして「ふむ」と一言言うと、考え込むように腕を組んだ。


「魔法はわからんが……本か。本関連は……あー、待ってろ」


 おばさんは俺にそう言い残すと、店の奥へと引っ込んでいった。ふぅ、どうにか切り抜けられた。後ろに隠したボワボワの尻尾を見られなくてよかったぜ。おばさんが「待ってろ」と言ったからには本も置いてあるらしい。


 これはもしかして……ビンゴ、だったりするだろうか。


 いや、そんなご都合な展開があるだろうか……うぅむ。あの、冷ややかな目のせいもあるかもしれないけど、なんだか緊張してきた。


 そこからしばらく。奥の方から何かを倒したような音だとか、何かを引きずるような音だとか、こう、ホラーゲームとかでありがちな向こうで何やっているかは分からないけれど何か不穏な音がする……みたいな恐怖体験をしつつ、ボワボワ尻尾を隠しながら待っていると、頭に少しだけ埃を付けたおばさんが戻ってきた。

 手にはいかにも古そうな箱を抱えている。どうやら探してきてくれたようだ。


「多分この中だよ。後は自分で探しな」


 おばさんはそういうと、そのあたりにあった土台であろう台にどかっと腰かけると、腕組をしながらこちらを睨みつけた。

 う、うぅん。頑固おやじならぬ、頑固おばさんである。ともかく、もしかしたら、魔法書があるかもしれないし、折角だから開けてみよう。

 俺は「代わりに私が」と言っているカークを「自分でやるからいい」と言って、その場に留め置くと、その箱を開けた。

 中には、古びた本が何冊かと、小物や日用品が雑多に入っていた。本は芸術品のソレではないようで、手に取ってめくってみると……あー……。


「おばちゃん、これ本じゃなくて日記……」

「あん?日記?」


 中に入っていたのは無骨な字で書かれた日記……。この世界にも日記を書くという文化はあったようで、少しめくってみた感じ日々あった事が細かく記載されている。えぇと、日付は……うおっ、100年以上前……随分な年代物である。

 内容を軽く見るに、どうやら、この人はベルスダンという町の町長だったようだ。他に入っていた本もめくってみたが、やはり日記らしい。しっかりと日付順に積み重なっていた。

 うーん、しかし、これってどうゆう由来の物なのだろうか……盗品だったりすると、ちょっとこの店自体が怪しくなる。


「おばちゃん……これ、盗品だったりはしないよね?」

「賊からの取引は応じていないよ」

「そ、そう。ならいいけど」


 俺はそう言いながら、その日記をしまおうとしたとき、ふと、日記のあるページが目に入った。


 そのページには、大きな丸印の中に「後で売り戻す」と目立つように書いてあり、何かしらがあった事を思わせる。内容は……。


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[一言] 売り戻す?なにをかな?
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