第一章 0【始まりはパパッと】
時代の流れというのは時に美しく時に残酷に映る。
俺の思い出の塊であるゲームソフトは、世間では古臭く懐かしいと呼ばれるモノになってしまった。
そんな感傷的な気持ちに一人酔っていると、一人暮らしの寂しい空間にインターホンの音が鳴り響く。適当に会釈をし荷物を受け取る。ついに俺はこの流れに乗る時が来た。
「BNT‐新世界‐」+「VRセット」
BNT-新世界‐(以下BNT)は第二の人生と呼ばれるほど自由度が高く、あらゆる事ができるようになっている。職業選びから何から何まで自由。戦闘メインに行動するのもよし、専門分野を極めてプレイヤーに装備品や武器を売るのも良し!(配信者のプレイ映像を見て得た知識だから詳しくは知らん。だって説明書は読まない性格だからね。)
「ほんの少し前までは『VRは危険だ~』とか『脳に影響が~』とか言ってたのによぉ」
誰もいないことを良いことに無駄なことをぽつぽつとつぶやく。なんて無駄なことなんでしょう。うふふふふ。目前に楽しみがあるとテンションがどうしてもおかしくなってしまう。
「じゃ、俺今からこのゲームハマるから…お前らとはあまり会えないかもしれない。…今までありがとな…。」
俺が愛したゲームとお別れを済まし、ヘッドセットを装着。今のはすげぇな重さとか全く感じないんだなと感想を抱けるほど年齢は重ねてないが、そんなことをうっすら考えながら瞼を開ける。
恋窪八尖 17歳 参るッ!
「OPEN THE WORLD」