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第9話 謎の神性?『カーディナル』

 ―――落下していく。まるで流星のように彼ら二人は様々な映像が映し出される中、ひたすら落ちていく。


 そう、これは彼女の心の中そのものである。


 周囲に映っているのは、これまで彼女が経験してきた記憶そのものが映像化されているのである。


 だが、彼らはそれには目もくれずひたすら心の最下層部を目指す。


 禁術である精神投射を行った彼らは、心の防衛本能にも邪魔されずにスムーズへと下層へとすり抜けていく。




 本来、他者がそのまま心の中に入ろうとしたら、防衛機構が働いてそれを阻害する。


 誰しも心の中に土足で他人に入ってこられたくないものだ。


 それは防衛本能から来る防衛機構である。


 そして、この精神世界において、所有者である本人はまさしく神にも等しい。


 神にも等しい存在の心の防衛機構をすり抜けるために、精神投射を行うものはあれやこれやと必死の努力を行う。




『私の名前?……そうですね。適当に『カーディナル』とでも呼んでおけばいいわ。所詮、私にとって名前なんて何の意味もないんですから問題なしです。』




『なぜこんなことをする?そんなの決まってるじゃない。「面白そう」だからですね!私は人間のあがく姿を特等席のがぶりつきで見たいだけ。そのためなら少しは力を貸すけど、私に頼るのはやめなさい。頼っても何も力は与えないですよ?』




 そうにやにやと笑う深紅の女性『カーディナル』を見て、彼は疑問に思う。


 彼女は、本当に大地母神の化身なのか?


 大地母神といえば、温和で穏やか、優しい性格であることであるのが普通だ。


 その反対である荒ぶる側面で降臨する事もあるだろうが、それでもこんな風に人間を冷笑して玩具として扱う神ではない……はずだ。


 では、この目の前の存在は一体何なのか?ただ言われるまま大人しく従っているだけでいいのか?と彼の背中に冷や汗が伝う。




 だが、この状態では、何を企んでいるにせよ彼女に頼らなくてはならない。


 そうしているうちに、彼らは心の底、深層心理へとたどり着く。


 患者の深層心理の底、そこは一面悍ましい怪物の姿、『狂魔』に覆いつくされて彼らがさまよう空間へと変貌していた。


 それは、この心の支配者である患者が『狂魔』への強い恐怖に包まれているということに他ならない。


 深層心理がここまで汚染されているということは、彼女自身の精神崩壊も近いということの証明である。


 このどこかにいる患者の『本体』を探し出して保護し、治療しなければならない。


そう、この俺が救う。誰かを救えるのだ。それならば喜んで危険に飛び込もう。


 その決意の中、心の底に到着した彼は、無数の『狂魔』グールたちと対面していた。




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