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第四話

村へと歩いている道中、ティナはこの世界について色々と教えてくれた。

まず王都イゼクソンがほぼこの世界を統治してるという。

そして冒険者というのは、主に魔者の盗伐や資源の調達などを仕事としている者達のことをいうらしい。その報酬で生計を立てているようだ。

そしてティナはこう続けた。


「最近王都から妙な通告がありまして、その内容は魔王が復活したというものなんです...。ここら辺はあまり魔物は存在していなかったのですが、ここ最近ああいったゴブリンなどの魔物が増えてきまして...。」

「それが魔王の復活の影響だと? 」

「そうです。おじいさまが言うには。」


じいさんには少し話を聞く必要があるかもな。

俺達がこの世界に来たのほぼ同時に、魔王の復活ね…

やはりニアが言っていた通り、悪戯の舞台になっているようだ。

そうこうしているうちに、村にたどり着いた。


「着きました。ここが私の住んでる村、エルク村です。」


村の門には見たことない文字で”エルク村へようこそ”と書いてある。

初めて見る文字なのに読める。これもニアのおかげなのか…

その村は決して大きくなく、簡素な家がちらほらと建っている程度だった。

人口もそれほど多くはなさそうだ。

村を進んでいくと、少し大きな家の前についた。


「ここが私の家です。どうぞ上がってください! 」

「他の家とは少し大きいみたいだが? 」

「えーっと、おじいさまがここの村長なので。」

「なるほど。」


家に入ると大きな声でティナが呼ばれた。


「ティナ! 遅かったから何かあったのかと思ったわ…心配したのよ。ケガはない? 」

「大丈夫だよ! お姉ちゃん。この方々が助けてくれたんですもの。」

「まあ。うちの妹を助けていただきありがとうございます! 」

「いえいえ。」


ティナの姉が頭を下げる。

姉の名前はミールというらしい。

金の長髪でティアに似て可憐である。

三人は軽く自己紹介を済ませ、ここまでの経緯を話した。


「ゴブリンが!? このあたりも物騒になってきたわね。」

「この周辺に魔物はいなかったのか? 」

「ええ、殆どいませんでした。魔物に出くわした報告も年に1、2回あるぐらいで…でもここ最近それが増えてきているんです。」


ティナの話の通りだ。

ミールの話によると、ここ数日ほどでゴブリンなどの魔獣に襲われる村民が増えているとのこと。

そんな話をしていると、奥の部屋から杖を持ち長い髭を蓄えた老人が現れた。


「魔王復活の影響じゃな。」

「ベイルおじいさま! 」

「なあじいさん、魔王の復活ってのは本当なのか? 」

「そうとも。王都からの通告、そしてここ最近のゴブリン騒動。そして王都の北側の山から妙な気配がしておる。」


妙な気配…?

このじいさん、そんなことがわかるのか…?


「おじいさんって何者なんです? 」

「嘗てわしは、王都直属の軍で魔法隊長を務めっておった。」

「王都直属? そりゃすげーな。」

「なーに、いまはこの小さな村の長じゃよ。」


ベイルじいさんが言うには、王都から通告がある数日前から、妙な気配を感じていたようだ。

そしてエルク村に限った話ではなく、あちこちの村や町周辺でちらほらと魔物による被害が増えているようだ。

幸いこの村は王都から遠方の南側に存在しているため、現状強い魔物の出現もなく最小限の被害で済んでいるという。


「つーかじいさんよ、復活ってことは以前にも魔王はいたってことなのか? 」

「そうじゃな…あれは数十年前、王都軍対魔王軍の大戦争が起きたんじゃ。辛くも王都軍は勝利を収め、魔王を封印したんじゃよ。」

「封印が解かれたってことなのか? 」

「おそらくそうじゃろう。魔王軍の残党が長い年月をかけて、封印を解いたのじゃろうな。それに今のこの状況、数十年前魔王が誕生した時に似ておる。あちこちで魔物による被害が増え、王都の北の山からの気配、あの時と同じじゃ。」

「なるほどな…」


元々この世界には魔王がいたのか…

そしておそらくゲームの舞台に選ばれて、魔王が再配置されたと。

この世界ではそれが、魔王の復活という形になっているわけか。

俺らの世界に魔王が存在しなかっただけで、魔王というものは他の世界だと当たり前のように存在するものなのかもしれない。

まあそもそもどれだけの世界があるのかはわからないが…


「一つ気がかりなんじゃが、今回の魔王は前回討伐した魔王よりおそらく強い。気配の邪悪さが増幅しているんじゃ。今の王都軍で対応できるかのぉ…」


ベイルじいさんは心配げに語る。

王都軍…実力は未知数だが、確認はしておいたほうがよさそうだ。

暫くベイルじいさん達と話をしていると、あたりが暗くなってきた。

ティナを助けたお礼として今晩は泊めてもらえることになった。


「夜は魔物の動きも活発になる。今日はここでゆっくり休みなさい。飯も用意してある。」

「ありがとうございます。」


そういえば、異世界についてから食事をとっていなかった。

異世界の食べ物はどういったものなのか。

食卓に並べられたものは、大きいパンに、スープ、おそらく鳥の肉を焼いたものであった。

肝心な味のほうだが、どの料理も悪くなく美味しい。

自分たちが住んでいた世界となんら遜色ない。

そして食事を終えた俺達は、客人用の部屋に案内され休むことにした。


「それにしても今日は色んなことがあったな。」

「確かにそうですね。」

「つーかよ、お前ら強すぎな!? 大和あんな速さの抜刀見たことなかったぞ。白もあのスピードで的確に急所を捉えてずけーな、頼もしい限りだぜ。」

「そうゆうエド、お前も状況判断の速さには目を見張るものがある。」

「そうですよ。二人が仲間で本当によかったです。」


三人は互いに拳をぶつけ合う。


「それで白、エド、これからどうする。」

「とりあえず、あのじいさん魔法使えるみたいだし、使い方教えてもらおうぜ。」

「今後の戦闘のためにも魔法は身につけておきたいですね。魔物もゴブリンだけとは思えないですし。」

「そうだな。明日ベイルじいさんに聞いてみよう。」

「今日は休みましょう。」

「そーだな。」


信頼関係が深まったところで三人は深い眠りについた。


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