目覚め
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結婚式前日の夜。ヴァンパイアの2人とヘルマンは王城の屋根の上で隠れてもらっている。
ガイア、ユキ、ガロアスは使用人に案内されて王女の部屋に到着する。使用人の人がドアを叩き、声をかける。
「エリザベス王女様。護衛のジグフィード家の方々がいらっしゃいましたので、ご案内いたしました。失礼いたします」
中からの返事はなかったが、使用人はドアを開けた。中を見ると椅子に座るエリザベス王女の姿があった。まずガロアスからユキ、ガイアの順で挨拶をする。
「お久しぶりでございます。ガロアス・ジグフィードでございます。今より護衛をさせていただきますのでよろしくお願いします」
「…」
「ジグフィード家長女のユキ・ジグフィードでございます」
「…」
いくら精神病とはいえ、こんなにも無反応なことあるか? ここの世界では普通のことなんだろうか。
ガイアはエリザベスの様子を怪訝に思いながらも挨拶をする。
「はじめまして。ユキ・ジグフィード様と共に冒険をしております、ガイアです。よろしくお願いします」
「…」
やはり何かおかしいな。こっちのことも全く見ていない。ただ息をしているだけに見える。
「やはり、ご病気というのは本当なのだな」
「初めてお会いしましたが、ここまで反応がないなんて…」
ユキでもそう思うって事は、普通じゃないって事だよな? 本当にこれで結婚するのか?【鑑定】してみれば何か分かるかもしれないな。
・・・【鑑定】。
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種族:ヒューマン(王族)
名前:エリザベス・グレース
スキル:【無敵領域】
状態異常:呪い
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「やっぱり!」
突然ガイアが大きな声を出したので、ユキとガロアスは驚いた。
「いきなりどうしたんですか? ガイアくん」
「そうだぞ。王女様の前だというのに」
「それどころじゃありませんよ! エリザベス王女様は呪い状態にあります!」
「なんだと!? それは本当か!」
「間違いありません。精神病と言われているのはこれが原因とみて間違い無いかと…」
「そんな…。一体どうして…」
「とにかく呪い状態を解きましょう」
「私がやってみましょう。・・・【解呪】」
ユキが【解呪】をかけ始めると、エリザベスは少し苦しそうな顔をする。
「うぅ…」
「エリザベス王女様は大丈夫なのか?」
「大丈夫なはずです。健常者に【解呪】を使っても何の効果もありませんが、王女様には効いているようなので」
「頑張ってくれ、ユキ」
しばらくすると、エリザベスは力が抜けたように倒れてしまった。
「少しベッドで休ませよう」
ガイアがエリザベスを担ぎ、ベッドまで運び寝かせた。
「無事、呪い状態は解けているようですので大丈夫だと思います」
「よし」
「それにしても、どうして呪い状態になっていたんでしょうか。それに、精神病と診断されたらまず【解呪】などのスキルが使われると思うのですが…」
「人為的なものを感じるな…」
「そういえば、ルロイ・ローブタール様にお会いしたのですが…」
ローブタール家の爵位が高いこともあるが、ルロイのことはほとんどの人が知っている。
「ほう。昔は王女様ととても仲が良く、今は家を捨てて冒険者をやっている奴だな」
「はい。その時に話していたのは、勇者に対して嫌な感じがすると…」
「勇者だと! 結婚相手じゃないか!」
「怪しい段階なのでまだわかりませんが、調べる必要はありますね」
「王女様にも詳しく聞く必要がありそうですね」
「王様への報告はいかがいたしますか」
「夜も遅いから明日、ワレから伝える。今はまだ王以外誰にも教えないほうがいいだろう」
その日の夜は何事もなく、過ぎていった。ガイア、ユキ、ガロアスはローテーションを組んで護衛をしていた。
早朝、ガイアが起きて護衛をしていると、エリザベスが目を覚ました。
「・・・ん」
「あ、起きましたか、エリザベス王女様」
「私は…。うぅ…」
エリザベスは頭を抱えうずくまってしまった。
「大丈夫ですか?」
「ごめんなさい。・・・記憶が曖昧で」
エリザベスが言うには、呪い状態にあった時の記憶は薄らあるとのこと。そして、今日が結婚式だと言うこともわかっていた。
「勇者との結婚なんか絶対に嫌よ」
「どうしてですか?」
「呪いの原因はあいつだからよ」
「!?」
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