ポーラ
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日が沈みきった後、ガーマ村では宴会が開かれていた。
「まさか、半日でスタンピードが終わるなんてな!」
「犠牲者も出てないらしいぞ」
死を覚悟していた村人は、今回の大勝を知った時それはそれは盛り上がった。その勝利の立役者であるギルマスのシャーリーを筆頭に戦いに参加した冒険者達はまるで英雄かのように扱われた。
「僕らなんてそんな活躍してないですよ…」
「またまたそんなこと言って!」
「いやほんとなんです…」
歩くだけで声をかけられ、褒められ慣れていないハル、ルミ、ユキは恐縮しっぱなしだった。
「お前達のおかげなんだから。さ、食べて食べて!」
「・・・ありがとうございます」
ガイアも注目を浴びるのが嫌になり、ウルフ達と一緒に村のはずれにある椅子に腰掛けていた。
「疲れたな」
「主! お疲れ様!」
「お疲れ様!」
「ありがとな。でもお前達の方が活躍してたな。すごかったぞ!」
「褒められた!」
「わーい!」
ガイアがウルフ達と話していると、黒ローブの魔術師が歩いてきた。
「あなたもここにいたのね」
そういうと、ガイアの隣に腰掛けた。
「注目されるのが得意じゃなくて…。俺はガイアって言います。あなたは?」
「私はポーラ。私も人混みに疲れてしまったわ」
その魔術師は30歳ほどの見た目で、長い黒髪が綺麗な人だった。
「それにしても、すごい魔法でしたね」
「そんなことないわ。そこのシャドウウルフとライトウルフのほうが凄かったもの」
「お姉さんにも褒められた!」
「わーい!」
「ガイアさんがテイムしたの?」
「えっと、そうです」
「すごいわね。テイマーの才能があるのね」
「とんでもないです…」
「本当はテイマーじゃなくてダンジョン管理者なんです」だなんて言えない。
「ところで、どうしてガーマ村に来ていたんですか?」
「人を探しているのよ」
「どんな人なんですか?」
「とても強くて、頼りになる人よ。もともと一緒に冒険をしてた人なんだけどね。まあ、色々あって離れたの。でも、やっぱりサポートしてあげたくなってね」
「お優しいんですね」
「・・・そんなことないわよ」
ポーラはとても悲しそうな顔でそう答えた。
「その方の名前はなんと?」
「ケイティスという男よ。もし会う機会があればポーラが探していると伝えて」
「分かりました」
「・・・結構話し込んでしまったわね。宴会もそろそろお開きみたいだし」
「ほんとですね」
2人は立ち上がり、宴会の中へと戻っていった。
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