撃滅部隊の本気
ぜひブックマークをお願いします!
アークデーモンのタルタロスは、降りてきた巨大な男を見上げる。
やはりソロスという男は危険ですね。1対1であれば互角でしょうが、金髪の男性と白髪の女性がいる中では厳しそうです。
「今日こそは討伐してやるからな! おら!」
ソロスは巨大になっている大槌をタルタロスに向けて振り下ろす。タルタロスは急いで避けようとするが、それをギャリオスが狙っていた。
「【雷付与】」
ギャリオスの放った矢がタルタロスの脇腹に刺さる。
「くっ……。こんなもの!」
刺さった矢を無理やり引き抜くと、血が溢れ出す。それをタルタロスは【自己再生】により、すぐに止血した。
「まだまだいくぞ!」
ソロスは休みを与えないために、連続で大槌を振り回す。
「エイシェントトレント! あれを抑えられるか?」
「やってみるぞ!」
枝がソロスに絡みつき、動きを止める。
「なかなかの力だ」
「……助けます」
フリシアはレイピアを構え、枝に向かって【瞬歩】を使っていく。すると、身体よりも遥かに大きい枝が数秒で切られソロスが自由になる。
「やっぱやるなあ。フリシアは」
「ありがとうございます」
「やはりお強いですね、あなた方は。ですが負けるわけにはいきません。【デビル召喚】!」
タルタロスが魔法を使うと、巨大なソロスと同じくらいのビッグデビルが現れた。手にはタルタロスと同じ三叉槍が握られ、ソロスに向かっていく。
「こいつはなかなか……」
二つの力が拮抗するなか、魔物側は次々に魔法を放つ。
「【混沌砲】!」
「【酸液】よ」
「【地殻変動】じゃ!」
それに対して、ギャリオスとフリシアも魔法を放つ。
「【魔法盾】!」
「【氷壁】」
両者の魔法がぶつかり、爆音とともに部屋の中を白煙が埋め尽くす。
そんな中で、ソロスは一人つぶやく。
「……これ以上は死人が出るかもしれないからな。……本気を出そうか」
タルタロスはその言葉に不安を感じる。
「何をするつもりでしょうか」
「……【身体超強化】【武器複製】」
ソロスは魔法により、身体全体が赤黒いオーラで包まれる。そして両手にはそれぞれ大槌が握られていた。
「いくぞ! 魔物ども!」
ソロスはまず、ビッグデビルに2つ大槌をぶつけた。すると、壁まで一直線に飛んでいき絶命した。
「ソロス隊長流石っすね……。俺も負けてらんないな。【流弓群】【雷付与】」
ギャリオスは空中に雷が付与されている無数の矢を一斉に放った。すると、ソロス達以外の撃滅部隊が戦っていたオークやトレントなどに当たり、ほとんどが絶命した。
その様子を見ていたエイシェントトレントは怒りに満ちていた。
「……よくも皆んなをやってくれたな。……許さんぞ」
エイシェントトレントは【狂気化】により、紫オーラが漂っていた。
【狂気化】を使うと攻撃威力増大や痛覚無効などのメリットがある反面、理性を取り戻すまで敵味方関係なく攻撃をしてしまうデメリットもある。
「【狂気化】したところで勝てるかな。【二重衝撃】!」
【二重衝撃】は攻撃を当てた少し後に、同じ威力の衝撃を加えるというもの。ソロスは大槌を2つ持っているため、計4回のダメージを与えることになるのだ。
ソロスはエイシェントトレントの顔を目掛けて2つの大槌をぶつけると、衝撃が身体全体に伝わり一瞬で気絶し倒れた。
それを見て焦ったキラーアントクイーンは、【穴掘り】により逃げようとするが、潜っている途中でフリシアに阻まれる。
「【氷界】」
「……!?」
キラーアントクイーンは進むことも戻ることも出来ずに固まってしまった。
この状況はさすがに不味いです。せっかくマスターに名前を授かり、管理者を任されたというのに……。
タルタロスは諦めかけていた。数の上では圧倒的に有利であったはずなのに、ソロス達の連携を崩すことが出来ず自分以外は戦闘不能になっているためだ。
タルタロスはうつむき、自分の不甲斐なさに落胆しているとソロスが歩いて向かってきた。
「諦めたか、アークデーモンよ。……ならば終わりにしようか」
ソロスは大槌を振りかぶり、最後の一撃を加えようとしていた。
そのとき、ダンジョンの入り口から声が聞こえた。
「……ここの奴らは弱すぎるな。ほとんど死んでんじゃないのか?」
ソロスが振り向くと、そこには茶髪の男が立っていた。180センチほどあり、とても筋肉がある青年だ。
「……誰だ?」
ソロスがその青年に尋ねると、不敵な笑みを浮かべて応えた。
「俺の名はウーラノス。貴様らを殺しにきた」
読んでいただきありがとうございます!
下にある評価★★★★★をしていただけると幸いです!




