深夜の訪問者
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アルフのダンジョンにて、アークデーモンは監視ルームからダンジョンの様子を見ていた。
「こんな時間にお客様ですか」
外ではとっくに日は沈んでおり、その人以外にダンジョンを訪れる者はいない。
「警戒しておきましょう」
アークデーモンは演習場1にてそいつを待った。
「お前が管理者か?」
「いえ。私はマスターより一時的に管理を任されているものでございます。して、このような時間に何用でしょうか。まさか、模擬戦とは言いませんよね」
「まあ、そうだな。面白そうだとは思うが、遠慮しておこう」
「では何をしにいらしたのですか?」
「……討伐だよ」
「なんと。冗談でしたら笑えませんね」
「冗談なんか言うわけないだろ。俺の名はソロス。ギルド本部より討伐を任された者だ」
「そうですか……。では、最大戦力をもってあなたを排除しましょう」
アークデーモンの合図により魔法陣から魔物が現れる。
「スライムにスケルトン、ガーゴイル、ヤングトレント、ウルフいっぱい居るな」
「皆のもの! あの男を排除しなさい!」
「こんな雑魚ども、数を揃えても仕方ないぞ!」
男は大槌を振りかぶり、魔物を吹っ飛ばす。
「ガゴ……」
「トレ……ン」
ひとりでこのダンジョンに来るだけありますね。……強い。
「まだまだいくぞ! 【巨大化】!」
男は魔法を使うと、身体と武器が巨大になり5メートルほどの大男になった。
「おらぁ!」
大男は大槌を振り下ろすと、地面に大きなクレーターができる。
「スケ……」
「スラ……」
「ウォン……」
これは出し惜しみしている場合ではありませんね。
再びアークデーモンは合図を送り、魔法陣から魔物が出てくる。
「おいおい……。出来たばっかのダンジョンじゃなかったか。……これは俺にもちょっときついぞ」
現れたのはオーク、トレント、ゴーレム、エルダートレント、エイシェントトレント、キラーアントクイーンだ。
「キラーアントクイーン。大変な時に申し訳ないですが、力を貸してください」
「仕方がありませんね。子供達のためにも勝たなくてはいけませんから」
「感謝いたします。私も参戦しましょうか」
アークデーモンはそういうと【人化】を解き、本来の姿になる。
「マジかよ……。お前、アークデーモンだったのか。それはさすがに俺だけじゃ無理だ……。一旦引くか」
「逃さんぞ!【地殻変動】!」
「これしき!【空歩】【瞬歩】」
男は魔法により、空中を素早い動きで走っていく。
流石に追いつけないですか……。一応スモールデビルを付けておきましょう
「ここまで来れば大丈夫か……」
ソロスはすでに、アルフの町近くに逃げていた。
魔法を連続で使い続けたため、かなりの疲労が溜まっている。
「それにしてもあの数は無理だ……」
ソロスはギルド職員だが元冒険者でもある。冒険者レベル7もあるため、かなりの力を持っている。魔物のランクでいえばSSRと同じくらいの強さだ。
だから、ダンジョン内で魔物ランクSSR1体とであればいい勝負が出来る。しかし複数体には対抗出来ないのだ。
バサバサ……。
「なんだ? ……まあ、早く戻ろう」
ソロスは足早にギルドへ戻り、ミッドに話をする。
「そんなに強いのですか……」
「ああ。ダンジョンの階級を見直す必要がある」
ダンジョンの階級は下級・中級・上級が基本とされているが、それより上位のダンジョンも確認されている。
「ソロス様は本部に戻られるのですか?」
「そうだな。報告のためにも、戻らねばならないだろう。ダンジョンの動きには注意しておくんだぞ」
「わかりました」
「スモールバットには気が付いていないようですね」
アークデーモンは水晶の部屋に来ていた。水晶を見ると、いつもと違う色をしていた。
「なんでしょうか」
水晶に手をかざすと、通信履歴が残っていた。
通信履歴
ベッタダンジョンからの不在着信あり。返信しますか?
はい。
ーー通信要請中……。
ーー通信要請中……。
ーー通信承諾。
「おっ! やっと繋がった。アークデーモンか?」
「なんと! マスターですか?」
「そうそう。それでダンジョンの方は大丈夫か?」
「それが……」
アークデーモンは、先程起こったことについて説明をした。
「そんなことが……。守ってあげられなくてごめんな」
「いえいえ! 私の采配ミスでございます。管理を任された身でありながら、このような結果になってしまいました。申し訳ありません」
「……全滅しなかっただけマシとしよう」
通話越しにマスターが悲しんでいるのがわかる。
「ありがとうございます。ただいま、襲ってきた男にスモールデビルを付けております」
「……そうか。次に何をしてくるかわかるか?」
「ギルド本部に戻り、強い冒険者や本部職員を連れてくるかと思われます」
「再び襲ってくると……。やはり戻った方がいいか?」
「いえ、すぐには襲ってこないと思われますので大丈夫かと。何か動きがあればマスターにお知らせいたします」
「そうしてくれると助かる。じゃあ引き続きダンジョン管理を任せる」
「かしこまりました」
そこでマスターとの通信が切れた。
マスターに頼ってはいけない。
何か対策を考えなくては……。
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