フェイルの罰
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フェイルは小さな頃から力持ちだった。
「おいフェイル! 丸太運び手伝ってくれよ!」
「それなら俺一人で持って行くよ」
「重いぞ?」
「へーきへーき」
そういって1人で持ち運んでいた。
そんなフェイルは、勇者の話が好きだった。
強大なドラゴンが現れれば聖剣で真っ二つに斬り、王女が誘拐されれば1人でアジトに乗り込み助ける。
強い力を持ちながらも優しさを持ち、誰からも慕われる存在である。
今でも健在で、40歳にして全冒険者ギルドの頂点であるグランドマスターになっている。
俺も勇者みたいに、誰からも認められる人になりたかった。
それなのに……。どうしてこうなった……。
フェイルは今、ゴブリンキングに膝をつき頭を下げていた。
なんで魔物なんかに頭を下げなければいけないんだ! クソッ!
「立て。マスターがお呼びだ」
マスター? あの魔物を従える人のことか?
フェイルはゴブリンキングに連れられ、マスターと呼ばれる人の前で膝をついた。
「お前の名はなんだ」
「フェイル……」
「目的はなんだ」
「たくさん魔物を討伐し、冒険者レベルを上げることだった」
「お前らはこのダンジョンで、やってはいけないことをした。だから罰を与える」
罰? わざわざ俺らを捕まえてどうするつもりなんだ。
「罰はこのダンジョンの管理をしてもらう。休日はなく、個別の家も与えない。一生、俺に尽くすことだけ考えろ。いいな」
「……」
「マスターが聞いているんだ。返事をしろ!」
「は、はい!」
俺はこんなところで生きて行くのか……。
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