ダンジョンへ
「かなり早くクエスト終わっちゃったわね」
ハル、ルミ、ユキの3人は朝からクエストに行っていたが、昼下がりには終え冒険者ギルドでこれから何するかを話し合っていた。
「まだ、時間もあるしダンジョンに行くか」
「そうしましょう。疲れもそこまでないですからね」
ということで3人はダンジョンに向かった。
「人が多いですね」
「でも、部屋が増えてるみたいだからあまり待たなくてすみそうね」
「今日はどんな相手かな?」
ダンジョンには4人組パーティーと5人組パーティーが控え室におり、演習場は使用中のようだ。
「順番が来るまで待ちましょう」
ハル達は武器の手入れや動きの確認などをしていると、演習場2が空いたようだ。
「よっしゃ! いくか!」
「頑張りましょうね」
「ええ!」
中に入ると、あの不思議な雰囲気の人はおらず対戦相手思われる魔物のみがいた。
「今日の相手はゴブリン3体とゴブリンアーチャー2体ね」
「ちょっと前なら勝てなかっただろうけど、今なら勝てるはずだ」
「気を引き締めていきましょう」
模擬戦闘、開始!
まずはハルが【挑発】で魔物の注意を引き、ゴブリンがハルに向かっていく。
「ゴブ!!」
「俺がこいつらを相手するから、ゴブリンアーチャーを頼む!」
「わかった!」
「ハルさん、弓が飛んできます。注意してください!」
「おう!」
ルミが難なくゴブリンアーチャーを戦闘不能にしたあと、ゴブリンも戦闘不能にした。
「前よりも上手く動けたんじゃないか?」
「そんな気がするわ」
「ハルさんが【挑発】で注目を集めてくれるのがいいですね」
3人で軽い反省を行なっていると、魔法陣が現れた。
「なんだ?」
そこからは、前にも見たことのある不思議な雰囲気の人が現れた。
「お疲れ様でした。よく連携出来ていましたね」
「ありがとうございます」
「もっと強くなるには遠距離の攻撃手段があるといいかと思います」
「やっぱそうよね」
「冒険者レベルを上げた方がいいか」
冒険者は冒険者レベルを1つ上げることで、スキルを1つ獲得する事ができるのだ。
「明日からはクエストとか魔物討伐とか中心にやっていきましょう」
「それではまたのご利用お待ちしております」
そういって、不思議な雰囲気の人は帰っていった。
「僕らも帰ろうか」
「そうね」
日は沈んでおり、外はすでに真っ暗になっていた。
「早く帰りましょうか」
しばらく町に向けて帰っていると、こんな時間にもかかわらずダンジョンに向かって柄の悪そうな集団が歩いて来た。
「いまからダンジョンに入るのかしら?」
「人数も多いな。30人くらいいそうだな」
その集団の先頭を歩く大柄な男が、こちらに目を向け話しかけて来た。
「新しく出来たダンジョンってのはこっちか?」
「そうですけど……。今から向かうんですか?」
「何か問題でもあるのか?」
「いえ、ありませんが……」
「なら、大丈夫だな。野郎ども、行くぞ」
そういってダンジョンに向かっていった。
「さっきのフェイルっていう冒険者じゃなかったか?」
「グレた冒険者集団のトップをやってるって人?」
「そうだ」
「何かするつもりなのかしら」
「一応ギルドに報告した方がいいと思います」
「そうしようか」
ハル達は町に着くと、すぐにギルドに向かった。ギルド内には冒険者はおらず、受け付けにガタイのいいおじさんが一人いるだけだった。
「すみません」
「何だ? クエスト報告か?」
「いや、少し気になる事がありまして」
ハル達はダンジョンへ向かう集団のことを話した。
「……なるほど。何も問題が起きなければいいが。とりあえず報告感謝する。わしはギルマスのミッド。何か分かれば教えよう」
「ギルマス!? そんなすごい人がここにいるなんて!」
「まあ、この時間は働くやつがいないからな」
「そうだったんですね」
「遅い時間だから、夜道に気をつけて帰れよ」
「ありがとうございます」
3人はミッドにお礼をいい、ギルドを出た。
「初めてギルマスを見たな」
「こんな時間にギルドに行かないもの」
「それにしてもダンジョンの方は大丈夫でしょうか」
フェイル達はダンジョンに到着していた。
「ダンジョンはここか」
「そうみたいっすね」
「行くぞ」
……ここから俺は勇者になってやる。
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