町の調査
町は思ったより発展していた。流石に前世の日本ほどではないが、最低限のインフラは発達しているようだ。
やっぱ情報を集めるには、冒険者になるのが一番だよな。
ガイアはダンジョン管理をアークデーモンに任せて、冒険者ギルドに来ていた。
中はクエストの報告や魔物素材の買取をする受付と、クエストが貼られている掲示板がある。
早朝だが、多くの冒険者が掲示板に集まっていた。
「一回、新しく出来たダンジョンに行ってみるか?」
「魔物と模擬戦ができるって話だしな」
何人かはダンジョンに興味を持っているようだな。とりあえず冒険者登録しよう。
受付に行くと、綺麗なおねいさんが対応してくれた。
「こんにちは。依頼ですか?」
「いえ。冒険者になりたいのですが」
「かしこまりました。お名前は何でしょう」
「ガイアです」
「……。はい、ではこちらのプレートに手を置いてください」
受付嬢に指示をされ、石板のようなものに手を触れる。
しばらくするとカードが出来たようで、渡された。
「こちらが冒険者の身分証となります。無くすと再発行に手数料がかかりますので注意してください」
「分かりました」
「では、冒険者についての説明させていただきます。基本的には町人に依頼されるクエストをこなしていただきますが、それとは別に魔物討伐があります」
「魔物討伐は具体的にどうすればいいんでしょうか」
「全ての魔物には魔石といわれるものがあります。これを寄付していただきたいです。強い魔物であればあるほど良いです。もちろん他の素材でも、お金に変える事ができますので受付までお持ちください」
なるほどな。だから冒険者はダンジョンに入って魔物の討伐をするのか。
「また、依頼の達成や魔石の寄付を繰り返すことで冒険者レベルを上げる事ができます。おおよその基準ですがレベル3までは見習い、レベル5までが一人前です。それ以上は人数が極端に減るため、達人や師範などと呼ばれます。レベルを上げるとスキルを獲得できたり身体が強くなったりしますので、なるべく高レベルとなるよう頑張ってください」
受付嬢にお礼をして、ギルドを後にした。
冒険者のことについて理解できたな。あとはダンジョンについて、ある程度認知されているからこれから来る冒険者も増えそうだ。
引き続き頑張ろう。
そう思いながらダンジョンに帰っていった。
ギルド近くの酒場にて、昼間から酒を飲んでいる冒険者集団がいた。
「フェイルさん。最近できたダンジョン知ってますかい?」
「魔物なのに殺しちゃいけないってとこだろ」
「そうですそうです。でも、そこに出てくる魔物はそこまで強くないらしいんすよー」
「それで?」
「だから、俺らで魔物を全部倒せばレベル上げできるんじゃないですかい?」
この人らは冒険者デビューした時、期待の新星としてちやほやされていた。しかしレベル5から一向に上げる事が出来なくなり、グレてしまった集団だった。
「どうせ奥には強いやつがいるんだろう」
「いやいや、出来たばかりのダンジョンらしいんで強さなんて、たかが知れてるっすよ」
「ほう」
「対して調査した冒険者もいないって聞きましたから、宝も眠っているかもしれないっすよ」
「……」
グレた10人ほどの冒険者集団を束ねるフェイルは、勇者に憧れていた。
全ての魔物を討伐し、誰からも慕われた伝説の冒険者。
しかし現実は甘くなく、勇者になることはできなかった。そうして、グレていったのだった。
しかし、仲間に聞いた美味しい情報。グレた男でも、再び心に火をつけることが出来たのだ。
「……やるか」
「おっ! さすがフェイルさんっす!」
フェイルは勢いよく立ち上がり、酒場にいる仲間に声をあらげて宣言する。
「野郎ども! 近々、新しく出来たダンジョンに行く! 準備しろ!」
「「「「うおおーー!」」」」
「必ずのし上がってやる……」
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