探索部隊、出陣
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オメガダンジョンのことは、オーガデストロイのアレースに任せてた。
ヘルマンにはアルフダンジョン近くから探索してもらうため、アークワイバーンに乗り向かっていた。
「わしはどこら辺を探せばいいかの?」
「基本的にはベッタダンジョンとは反対側を中心に探してほしい」
アルフは海に囲まれたグレース王国の一番南にある。そこの北西にあるのがベッタである。
ベッタにはウーラノスがいるので、アルフから見て北東方向へ探すことを指示した。
「あ、そろそろ着きそうだね」
「意外と早かったの」
「アークワイバーンが頑張ってくれたおかげさ」
「とんでも御座いません。主様と行動できて光栄です」
「いい奴じゃな。・・・ん? アルフダンジョンの前に誰かおらんか?」
ヘルマンが指差した方を向くと、そこにはガタイの良いおじさんが立っていた。
「誰だろう? どっかで見かけた気もするけど・・・」
ガイアはどこで見たことがあるのか思い出すために、何となくおじさんを見続けていた。
「うーん・・・あ! あの人、ギルドマスターかも知れない!」
「なんじゃと!?」
ガイアがギルドに訪れた時、見かけたことがあったのだ。少ししか見ていなかったので、思い出すのに時間がかかるのも無理はなかった。
「そんな人が、どうしてここにいるんだろう?」
「なんじゃろうか。聞いてみても良いんじゃないかのぉ」
「そうだな」
アークワイバーンをアルフダンジョンの近くに下ろし、話しかけることにした。
ガイアが魔物を連れていることに関して、【テイム】のスキルを使っていることにしているので問題はない。
ガイアの姿に気がついたギルドマスターのミッドは、目が飛び出そうなほど驚いていた。
「連れているのは、お前の魔物なのか!?」
「そうですよ。はじめまして。ガイアといいます」
「アルフのギルマス、ミッドだ。君のことは何度か見かけたことがあったが・・・」
ミッドはアークワイバーンを見上げて、少し萎縮していた。
「ところでミッドさんはどうしてここに?」
「アルフダンジョンの調査だ。いつの間にかダンジョンを攻略されていたが、誰の仕業か分からないから調べてる」
「ダンジョンが攻略されることはしばしばあると思いますけど、どうしてギルマス自ら出向いているんですか?」
「撃滅部隊の話は知ってるか?」
「もちろんです」
「あのメンバーの中に俺の先輩がいたんだよ」
「!?」
「先輩の仇を取ろうと思ってたのに、知らない間に攻略されてた。誰がやったのか気になるに決まっているだろう」
「・・・なるほど」
撃滅部隊は冒険者ギルド内でもトップクラスの実力者揃い。その部隊が勝てないほどのダンジョンを攻略できる者に会いたいと思っていたのだ。
「ガイアくんはどうしてここに?」
「えっと・・・人探しです」
ここで正直に俺の魔物達を探しているとは言えない。ミッドにとっての仇相手なのだから。
「そうか。見つかると良いな」
「ありがとうございます」
ガイアは、ミッドに俺を言ってその場から立ち去った。
ガイア達は、アルフダンジョンから5分ほど歩いた。
「ここまで来たらいいかな」
「そうじゃな。それにしても、まさかギルドマスターまでアルフダンジョンの調査をしているとは、驚きじゃな」
「そうだな。アルフダンジョンの調査はオリジンヴァンパイアの指示だったとか?」
「それより、あの男は自分で勝手に調べている雰囲気があったのぉ。指示だったら冒険者を使うんじゃなかろうか」
「確かに」
「・・・」
ガイア達は話に夢中になっており、木陰からミッドが盗み聞きしていることに気がついていなかった。
「まあ、ヘルマンも調査の方を頼んだよ」
「分かっておる。必ずや師匠達を見つけるぞ! マスターはこれからどうするんじゃ?」
「王都に戻ってオリジンヴァンパイアと話してこようかと思ってる。命名もしておきたいし、ギルドのことも聞いておきたい」
「そうか」
ガイアは『カード解放』を行った。黒い煙が発生し、中からデュラハン達が現れる。
「・・・!?」
それを陰から見ていたミッドはとても驚いたが、バレないように息を潜めていた。
「じゃあヘルマン。冒険者に気をつけて行くんだぞ」
「もちろんじゃ。マスターもダンジョンのことは任せましたぞ」
「ああ」
二人は握手を交わし、そこで別れることになった。
ヘルマンはデュラハンの背に乗り、颯爽とかけて行った。ガイアもアークワイバーンに乗り王都へと旅立った。
残ったミッドは頭の整理が追いついていなかった。
ガイアがギルドの上層部と繋がっているかのような会話の内容。ダンジョンを任せる、ということの意味。黒の煙の中から魔物が何体も生まれたこと。どれも、今までの常識では理解できないことだったのだ。
「・・・少し調べた方が良さそうだ」
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