オメガの管理者
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ダンジョンの運営方法は基本的に以前と変わっていない。魔物は倒させず、水晶を破壊することも禁止だ。
変わったこととしては、より実践的になったということ。ダンジョンの深部に宝箱を用意し、冒険者にはそこを目指してもらう。
この案内はオリジンヴァンパイアに任せている。ベッタダンジョン、ガーマダンジョン、オメガダンジョンは冒険者ギルドが管理しているという体に、なっているのだ。
だから、以前よりも安心してきてもらえるようになったはずだ。
王都ダラム。日が沈みはじめ、仕事を終えた人たちが夜の街に向かいはじめていた。
「クイスト様、ダンジョンの案内は各ギルドへ周知させました」
「そうか。わかった」
クイストこと、オリジンヴァンパイアは現在ギルド本部にあるグランドマスターの部屋にいた。
秘書の代わりを務めているヴァンパイアロードから報告を受けていたのだ。
「一つ、質問をよろしいでしょうか」
「なんだ?」
「ギルドでの命令が通じるのは冒険者のみです。もし、冒険者でないものがダンジョンを攻略しようとしたらどうなるのですか」
冒険者ギルドで決まっていることに違反した場合は、罰金や冒険者資格剥奪、強制労働などのペナルティが与えられる。
「そうだな・・・。権力を使って指名手配でもいいんだけどね」
「流石に反感が出る恐れがあります」
「だから、こっそり始末するしかないかな。まあ、強くなるには冒険者レベルを上げるのが一番効率的だから、冒険者じゃない強い奴なんかいないと思うけどね」
同時刻。ガイア達はオメガダンジョンに到着していた。
休まずにきたため、アークワイバーンでも流石に疲れが見えた。
「アークワイバーン、お疲れ様。ありがとな」
「こんな長時間飛べるなんて凄すぎるんじゃ」
「・・・光栄で御座います。しばらくはヘルマン様の中で御休みを頂きます」
「しばらくゆっくりしててくれ」
ヘルマンが【魔物収納】を使って、アークワイバーンをしまった。
ガイアとヘルマンは、オメガダンジョンの中を進み最奥へ到着した。
ここはグレットと戦った場所のため、部屋の中はかなり荒れている。足場は抉られていたりひび割れたりしているのだ。
「ここはダンジョン施設の〈鬼ヶ島〉で綺麗になる。オーガ達も喜んでくれるはずだ」
「ところで、その施設はどんな効果があるんじゃ?」
「オーガ系統の魔物の身体能力向上だ」
「ほう。ただでさえ身体能力の高いオーガ達にピッタリな施設じゃな」
「ああ。早速解放しようか」
ガイアは〈鬼ヶ島〉の部屋を作った。
部屋の周囲は水で囲まれており、中央に巨大な島がある。島には大きな山があり、山頂では稲妻が走っている。
『カード解放』
「すごい量の煙だな」
メガデッキということもあるが、オーガ系統は一個体が大きいためいつも以上の黒い煙が発生していた。
「・・・小僧が俺様を呼んだのか」
そいつは3メートルもの巨体。体は白く、目は金色。両手には、自分と同じ大きさの白く輝く棒を持っている。
ブラックオーガとレッドオーガよりも体は小さいのだが、内包されている力は段違い。
「そう。ガイアだ。よろしくな、オーガデストロイ」
「あぁ、よろしく」
「オーガデストロイにはここのダンジョンを任せたいんだ」
「楽しそうだ。好きにやっていいんだよなぁ?」
「基本的にはね。でも、冒険者を殺すようなことはしないでくれ」
「はぁ? 何でだよ!?」
オーガデストロイは破壊を楽しむ種族だ。それなのに人を破壊できないというのは、我慢できないのだろう。
「これは守ってくれ。他のダンジョンでも決まっていることだ」
「・・・ちっ。じゃあ代わりに殺していい奴はいないのかぁ?」
「えっと・・・いるにはいる」
「そうかぁ! 小僧、そいつの事教えろよ!」
「実はそいつの事は何もわからないんだよ」
ガイアはアルフダンジョンを襲ってきた何者かを想像していた。しかしそいつらの情報はまだ何も持っていないので教えられないのだ。
「これからわしが情報を集めるから待っててくれ」
「なんだよ・・・。早く情報を持ってこいよ」
「もちろんじゃ」
とりあえずダンジョン管理のことは渋々了承してもらえた。そこでガイアは、オーガデストロイに名前をつける。
「オーガデストロイの名前はアレースだ。ダンジョンのこと、任せた」
「俺様は破壊さえできればいい。だから早く戦わせろよ?」
「分かったよ」
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