苦戦
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キャロルは【身体強化】【風付与】【分身】を使う。【強制解放】されたキャロルの分身は100人にも及んだ。その全員がオリジンヴァンパイアに向かって攻撃を仕掛ける。
「数が多すぎる…」
さらにキャロルは【瞬歩】【空歩】も使うことで、オリジンヴァンパイアの逃げ場を無くしながら双剣で攻撃をし続ける。
「俺がいるのも忘れなんよ」
「!?」
オリジンヴァンパイアはキャロルの対処で一杯になっており、背後に【瞬間移動】で現れたグレットに切られてしまった。その際に右腕が切断されたため、【自己再生】されるまで右側からの攻撃に対処し辛くなっていた。
「キャロル! 追撃の手を緩めるなよ」
オリジンヴァンパイアの右側から執拗に攻撃をされ、少しずつ傷が増えていった。オリジンヴァンパイアはスタンピードから戦いが続いているため、疲労も溜まっており回復が遅くなっていた。
「くっ…」
フリシアは【氷礫】のスキルを使用し、巨大な氷の塊を生み出した。それを、ジャイアントキングゾンビ目掛けて発射する。
「受け止めるんじゃ!」
ヘルマンの指示で両腕を前に出し、氷礫を受け止める。しかし、【強制解放】されたフリシアのスキルに対抗できず、ジャイアントキングゾンビの体の大半を巨大な氷礫に潰されてしまった。
「ああ…。ジャイアントキングゾンビが…」
ジャイアントキングゾンビを倒したフリシアはオリジンヴァンパイアに目を向ける。
オリジンヴァンパイアはキャロルの猛攻に対応できなくなっていたため、一度引くことにした。
「【蝙蝠化】」
小さな蝙蝠になることで、キャロルからの攻撃をかわせるようになった。しかし、離れたところから見ていたフリシアはオリジンヴァンパイア目掛けてスキルを放つ。
【氷界】
「まずい…!」
オリジンヴァンパイアはキャロルからの攻撃をかわしていたため、フリシアの攻撃に気がつくのが遅れてしまった。
「オリジンヴァンパイア!」
フリシアによって作られた氷の世界はオリジンヴァンパイアの蝙蝠全てを凍らせてしまった。もちろん戦っていたキャロルの分身も一緒に氷漬けとなっていた。
離れたところで見ていたガイアとヘルマンも、これには焦りを隠せなかった。
「マスター殿! ジャイアントキングゾンビだけでなくオリジンヴァンパイアまでもやられてしまいましたぞ!」
「そんな…。ごめんね、みんな。かなり無理をさせちゃったから…」
ガイアは自分の仲間がやられてしまったことに責任を感じ、とても落ち込んでいた。
「マスター殿」
「くそっ! もっと考えてから行動すれば…」
「マスター殿!」
「こんな俺がマスターでごめんな…」
ヘルマンがガイアに声をかけるが、ショックが大きすぎて耳に届いていなかった。
「あぁ…。ごめんな…」
「失礼! マスター殿!」
「いたっ!」
ヘルマンは声の届かないガイアの頭を強く叩いた。
「マスター殿!」
「?」
「マスター殿がそのような形では、慕う者達が悲しみますぞ」
「でも…」
「でも、ではない! この戦いはまだ終わってないんじゃ」
「…」
「勝つために、今自分ができることを考えるんじゃ!」
「俺に、出来ること…」
「そうじゃ。マスターにしか出来ないことがあるじゃろ」
「俺には…」
ここでガイアはオメガダンジョンの管理が出来ること、ポイントを獲得したこと、レベルアップしたことを思い出す。
「・・・何か閃いたようじゃな」
「ああ! ありがとう、ヘルマン!」
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