表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/140

ケイティスとサラ5

ぜひブックマーク登録をお願いいたします!

 ザズはというと、ケイティスとガズの戦いを見て敵わないと思い街へと逃げ出していた。

「あいつ、強すぎる! ガズには悪いが俺は逃げさせてもらう! また次の場所を見つけよう!」


 満身創痍でいつ倒れてもおかしくないケイティスは、ヒュドラと対峙していた。ガズと戦っていた際の爆発音に反応したのだろう。

「くそ…。早くサラに会わないと…」

 毒霧もかなりの量を吸い込んでいるため、一刻も早くサラに無効化してもらわないといけなかった。

「急いでこいつを倒す…」

「ギュウオォー!」

 

 まずヒュドラは【猛毒液】で辺り一帯を猛毒の海にする。ケイティスは【空歩】を使うことで回避する。その後もヒュドラの猛毒な牙で何度も噛みつかれそうになるが、紙一重でかわしていく。

「これからは・・・俺の番だ。・・・【爆発付与】」

 ケイティスはいつも以上に爆発を付与し、当たれば大爆発が起きるようになった。その剣で【飛斬】の構えをとる。

「はあ…。はあ…。これで・・・終わりにする」

 ヒュドラも対抗するために9つの口で【猛毒砲】の準備を行う。

「ギュウオォー!」

「はあぁ!」

 そして両者、渾身の力が込められた技同士がぶつかると巨大な爆発が起き、ヒュドラの作成した猛毒が飛び散る。爆発に巻き込まれたヒュドラの9つの頭は全て吹き飛び、倒れた。

「よし…。やっと、倒せた…」

 しかし、ケイティスも無傷とはいかなかった。自身で付与した爆発の衝撃波とヒュドラの猛毒を浴びたことでいよいよ体力の限界となった。そのため、歩くことはままならず体は猛毒液に浸かり、目も見えなくなった。

「サ…ラ…」



「ケイティス! どこに行ったの!」

 その頃、サラは必死にケイティスのことを探していた。


 かなりの時間、離れちゃったから体中に毒が回っているはず。早く見つけないと、ケイティスが危ない。爆発の音が聞こえたからこっちの方にいると思うんだけど…。


 しばらく探していると、爆発で森の中にぽっかりと木々が消えている開けた場所に出た。そこには、頭を失ったヒュドラの死体と、猛毒の液に浸かって動かなくなったケイティスの姿があった。

「ケイティス!」

 急いで駆け寄り【聖域】の中に入れるが、ケイティスは全く反応がなく脈もなかった。・・・死んでいたのだ。

 

 そんな! 私が見つけるのが遅くなったばっかりに!・・・いや、まだ出来ることはある。まずは、この森を抜けて毒のない場所に行こう。


 サラはケイティスを担ぎ、森を抜けた。途中で何度か魔物達が襲ってきたが、基本的には毒の攻撃ばかりなので無視して突破した。


 ここなら大丈夫そうね。・・・必ずあなたを助けるから。

 

 サラはケイティスの体を横たわらせ、膝をつき祈祷を始める。

「我が身を生贄にケイティスを蘇らせてください。・・・【生死反転術〈リバイブ〉】」

 【生死反転術】は使用すると、スキル発動者を生贄に死者を蘇生させるというもの。そのため、これを使用したということはサラは自身を生贄にケイティスを生き返らせようとしているのだ。

 スキルを使うとケイティスとサラの体が光を放ち始める。その間もサラは祈祷を続け、ケイティスの復活を祈っている。その祈りの中で、伝えたいことをケイティスに向けて念じる。


 ケイティス…。あなたにはもっと生きていてほしい。だってあなたの夢はまだ叶っていないじゃない…。本物の英雄になるっていう夢を隣で見ていたかったけど、それは無理そう…。

 昨日、ポーラが何でパーティーを抜けたのか聞いてきたよね…。本当は私にだけ教えてくれていたのよ…。それは好きな人を私とは争えないから…。実はポーラも私もケイティスのことが好きなの。でも、ケイティスが私に好意があるってみんなわかっていたからポーラは諦めてパーティーを抜けたのよ…。だからって私はケイティスに気持ちは伝えなかった…。ポーラに申し訳ないからね。私、ケイティスと同じくらいポーラのことも好きだったのよ…。でも、私はあなたの隣にはいられない。

 ケイティス…。あなたはこんな所で死なないで。私じゃない、ポーラみたいな人と結婚して幸せになってね。英雄になって夢を叶えてね。私はずっとあなたのことを見ているから…。

 最後にひとつだけ、わがまま言っていいかな…。


「ケイティス…。大好きだったわ…」


 そのままサラはケイティスに優しくキスをした。



 すると、ケイティスの体がが反応し始めた。

「ん…」

 ケイティスは意識を取り戻し、ゆっくりと目を開けると、隣には大好きなサラが倒れていた。

「サ、サラ! 大丈夫か!? サラ!」

 ケイティスは完全に回復したわけではないが、愛する人を抱え急いで街に戻った。


 サラ死亡のニュースは世界中に衝撃を与えた。サラはファンクラブが作られるほどの人気があったため、その悲しみは大きなものとなった。

 訃報と同時にケイティス率いるパーティーの解散もニュースとなった。ケイティスはサラへの責任を感じ、冒険者を引退。他2人のメンバーも田舎に移り住むこととなった。

読んでいただきありがとうございます!

★★★★★といいね!、ブックマーク登録をお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ