【第3話】 ノエルからのお誘い
数日後、アルトは巻物を購入しにノエルの魔道書店に来ていた。
そのついでにアルトはノエルに前回の依頼の話をした。
アルト
「......ということがあったんだけど、こんな感じでパーティーに揉め事があるなら、辞めようかな?」
元々、冒険者ギルドの受付でバイトをしていたときに、誘いがたくさんあったから受けたので、前回の依頼のように悪い雰囲気になるくらいなら、受付に戻るか一人で活動したいと思っていた。
ノエル
「私も冒険者として活動しているけど、冒険者の中には粗野な人とか、パーティの輪を乱す人はいるのよね......。私も昔、嫌な目にあったことがあるわ」
パーティーを組む上で重要となるのが人間関係である。人間関係が悪かったために、モンスターにやられて死んでいった冒険者も多いのだ。
アルト
「やっぱし、ソロで依頼を受けるか......」
アルトが呟くと、ノエルは少し考え始めた。目をつぶって腕を組み、ブツブツ独り言を言う。店をグルグルと歩いてから、ノエルは唐突に提案をしてきたのだ。
ノエル
「知り合いとなら......。私と二人なら問題が起きないんじゃないかしら?」
アルト
「というと......?」
ノエル
「よかったら、次回は私とパーティーを組まない?」
突然の誘いにアルトは驚いた。
アルト
「え? いや、別にいいけど、でも君お店はどうするの?」
ノエル
「お店は大丈夫よ。そんなに人が来ることもないし......それに、本当は師匠が......」
最後に何かを言おうとしたところで、ノエルは首を振る。
ノエル
「いや、何でもないわ。 とにかく! 私とパーティー組みましょう?」
ノエルはアルトに顔を近づけて誘う。アルトは戸惑いながらも返事をする。
アルト
「あ、ああ......わかった」
ノエル
「やった! ありがとう。じゃあ、明日冒険者ギルドで待ち合わせましょう!」
途中から半ば強引に誘われた気もするアルトであったが、別に他人と組むわけではないため、気持ちは楽ではあったのだ。
~翌日~
ノエル
「あ! おはよう!」
アルト
「おはよう、早いね、朝強いの?」
ノエル
「まぁね、それに楽しみだったの!」
彼女の手元には依頼書があった。
ノエル
「これを受けたくて、前からメンバー探してたんだ」
そう言うと、ノエルは依頼書をアルトに見せる。
―――――――――――――
難易度 ☆☆
討伐
クレイゴーレム5体
報酬
1金貨&40銀貨
追加報酬
クレイゴーレムの核一つ回収につき、20銀貨
依頼者から
やっちまったぜ。クレイゴーレムが暴れているんだけど、誰か止めてくんね? マジでヤベーの
―――――――――――――
アルト
「これ、2人だけでの討伐は難しくないか? それに、俺まだ初級だし......」
ノエル
「心配ないわ! "マジック・ソード"を使える術者なら、何とかなるわ! それに最初は私だけで討伐に出ようかと考えてた依頼なの。ただアルトがいれば、ゴーレムの核を傷つけずに回収できると思ってね」
アルト
「わかった。ただ、あまり期待しないでくれ」
ノエル
「ふふ、ありがとう。じゃあ、依頼者のところへ行こう!」
――とある山岳地帯――
アルト達は岩山へたどり着くと、遠くから男が手を振っている。
依頼者
「あ、来た来た! こっちだぜー!!」
ちゃらんぽらんな見た目の男だが、一応、丁寧に依頼者へ話しかける。
アルト
「私たちはクレイゴーレム討伐の依頼を引受けた者ですが、貴方がご依頼主でお間違いないでしょうか?」
依頼者
「そそ」
思った通り、とても軽そうな男である。
依頼者
「あんた達、俺と歳近そうだし、もっとラフに話そうぜ!」
リラックス、リラックス! っとアルトの背を叩く。
アルト
「......ああ、わかったよ」
アルトとノエルは頷いた。
依頼者はそれから、クレイゴーレムを持ち出したことや、急に暴れだして、手がつけられなくなったことを話した。
依頼者
「いや、親父のクレイゴーレムだったんだけど、あいつらを制御できるようになれば俺最強じゃん? って思ったわけなんよ」
依頼者
「んで、んで、ゴーレム同士で戦わせてたら、急に、こう......バーンってなたんだよ!! ヤバくね?」
アルトもノエルも頭を抱える。
ノエル
「なんだか、随分と軽薄な人ね......」
アルト
「聞いてたら全部、自業自得じゃないか......」
依頼者は二人の反応を見て少し焦る。
依頼者
「これ、やっぱ、俺のせい的な? マジやべー......」
アルト
「......」
ノエル
「......」
沈黙が長い間続くと、依頼者はあわあわしだした。
依頼者
「ちょっ、待てよ! 何で黙っちゃうの? いや、悪かったって、でも、俺どうすることもできないし......だから、頼むよ!!」
アルト
「まぁ、今さら依頼を取り消しするのもなんだし......」
ノエル
「うん、そうね......。明らかに彼のせいではあるけど......」
ゴーレムを放置せずにギルドに依頼しただけだが、一応彼なりの誠意を感じたため、アルトたちは渋々承諾をした。依頼者はやったぜ! っと喜ぶとベラベラと口が動き始める。
依頼者
「流石が!! あざっすー!! てかマジで途中で帰るかと思ったし、ビビったわー。あのクレイゴーレムの素材が一部、糞から出来てるって言ったら、昨日の奴らなんて帰っちゃうんだぜ? 俺土下座して頼んでんのに!! ひどい話だよなー」
それを聞いたアルトたちは、依頼を承諾したことに後悔し始めた。
アルト
「......もう、黙っててくれ......。俺も何だか帰りたくなる......」
それを聞いた依頼者は急に姿勢を正して、90度で一礼する。
そして、膝立ちをしてから、あちらです! と案内し始めた。
依頼者
「シャッス! 案内すんで、ちゃちゃっと殺ってやってください!!」
こうして、岩山を登り始めるのであった。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




