早弁よ、大志を抱け!!
話は過去へ遡る。
ここは王国の中でも富裕層が住む特区であり、それなりに地位のある商人や騎士などが暮らしていた。その中の一家庭の生活を覗くと、甘やかされて育ったであろう少し『大きい子供』がダラダラと怠惰な生活を送っていた。ある日、そんな息子の将来を心配して、優しく笑顔で話そうとする不器用な父親の姿があった。父親は息子が不機嫌にならないように慎重に気を付けて語りかける。
パパ
「好きなことはあるかい? そういうのを見つけて何か職を見つけようよ! ハッフルなら絶対成功する。だってパパの息子なんだから!!」
マッマ
「もう、あなた! ハッフルは既に成功を収めているわよ!可哀そうなことを言わないで!! ハッフル気にしなくていいわよ......パパとママがずっとあなたの面倒を見るわ!!」
早弁
(ちくしょおおおおおおお!!! 今日もから親から罵声を浴びせられたお......ぼくちんが本気出したら、この星を征服するくらい楽勝だお!!)
そう、心の声で呟き、涙をぬぐっている、働き盛りのいい年した青年が大きな部屋でダラダラしていた。
彼の趣味は女性のフィギュア集めと、強い自分を妄想することである。起きている時間は一日6時間くらいで、あとは食っては、寝てを繰り返す。起きていてもベットでゴソゴソ音を立てながらお気に入りのフィギュアをペロペロしている。そして、息づかいが荒い。
そして、彼の特徴として深夜によく活動する。右手にフィギュアを持ち、左手にスナックを持つ。それが彼の信じる理想の姿である。かれこれ、そんな生活を20年以上している。親以外の人としゃべったことが、ほとんどない。泣き虫で、強がりで興奮するとよく発狂する。
そんな彼の人生が変わったのは、夜に一人で外へ出歩いた時だ。王国兵士にモンスターだと勘違いされたのであった。
その時はお姫様抱っこをして、大型のフィギュアを抱えていた。そのフィギュアからは変な臭いのする液体が染みついており、身体はベトベトにされていたからだ。彼にとっては、真夜中にデートをしていたつもりらしいが、はたから見たら変質者の何者でもなかった。ちなみに、そのフィギュアの名前はサヤというらしい。東洋から取り入れたものだった。そのフィギュアは良くできており、細部まで人間にそっくりだった。そんなサヤちゃんを兵士が没収したことから事件が起こった。
早弁
「なんでだおおおおおお!!!腐れ脳筋んんんんん!!はなせおおおおお!!」
兵士
「おい!誰かそいつを取り押さえろ!!手に負えん!!」
早弁
「サヤたあああぁぁぁんんんんんんん!!!!! うおおおおおおおおおんん!!!」
早弁は絶望して涙を流した。鼻水が垂れ流れる。兵士がドン引きする。騒々しいためか窓を開いて騒ぎを確認する住民もいたが、多くは早弁に軽蔑した視線を向けていた。
そして、早弁はここで決意する。
早弁
(ちくしょう。ぼくちんのサヤたんが攫われたお...必ず愛しのプリンセスを救いに行くお!!)
それからの早弁は、行動力にありふれた。毎日朝から晩まで兵士の詰所へ侵入しては、追い返される生活を送り始めた。そんな、早弁を見て両親は泣いて喜んだ。職を見つけに行っているのだと勘違いしたらしい。侵入はどんどんエスカレートしていき、宿舎へ行き始めてたのだ。
そんな早弁にストレスを感じだした兵士は暴行をすることもあった。早弁は暴行を受けたら決まって、あるセリフを言った。「パピーにもぶたれたことはないのに!!」、「マッマに言いつけてやる!!」っと、これらが兵士に向かって言った代表的な言葉だ。
早弁はボコボコにされて家に帰ると両親が心配そうに話しかけるが、「兵士のところへ行ってきて、戦ってきたお、あと少しで勝てたんだお」と言っていた。親は兵士になるために毎日稽古をつけて貰っていると勘違いしたらしく、それからは、毎日お弁当などを持たせるようになった。東洋の言葉に『腹が減っては、戦はできぬ』という諺があるらしく、用意された弁当は直ぐに、その場で平らげて、毎日毎日食べては侵入して、叩き出され、さらには兵士へ決闘を申し入れるなどをしていた。
そんな、ある日彼の耳に参謀という言葉が入った。『参謀』という王に仕える戦術や内政のスペシャリスト。どうやら、『参謀』は例外を除き王国のほとんどの職種に対して実質的な指揮権があると聞いたのだ。
早弁は、愛しのサヤを攫った王国が憎くてたまらなかった。兵士だろうと参謀だろうと王であろうと。本気出したらギタギタのけちょんけちょんにしてやるお!とさえ思っていた。しかし、小さい脳みそを働かせて、考えた。参謀になったら取り返せるのでは...?
早弁は妄想する。王国へスパイとして潜入してサヤたんを助けることができたら、かっこいなぁぁ...
サヤ
(ハッフル...あんなに憎んでいた王国に...スパイをしてまで、私を助けに来てくれたのね! ありとう嬉しいわ、大好きよ!! 抱いて!!)
ほっぺたに、チュッ! とキスされる妄想をしていた。
早弁
「待っててお! サヤたん!! 僕ちんが助けにいくお!!」
しかし、その年の試験は既に終わっていた。しかし、早弁は諦めない。強い意志を持って、来年度の試験を受験するために早弁はトレーニングと勉強を開始した。学校などは彼の性格上、通えないのだが......彼は毎日兵士たちと戦い、家は裕福で魔道書や書物は直ぐに手に入れることができた。ある意味ものすごく珍しい人間であったのだ。
―1年後―
マッマ
「ほら、ハッフル、お弁当! 試験、頑張るのよ!! ママ、応援しているわ!! あなたなら絶対に合格できるわ!!」
パッパ
「ハッフル...成長したな...パパは嬉しいよ......とってもとっても...!!」
パパは泣いていた。ハッフルも両親にここまで、応援されたのは初めてだった。早弁も涙が流れる。
早弁
「うん、絶対に合格するお!! サヤたんを救って必ず戻ってくるお!! いってくるお!!」
少しだけたくましくなった背中を両親が見送る。彼が見えなくなっても、ずっと...ずっと...
こうして、彼の王国との壮大な戦いが始まるのだった.........まぁ、フィギュアを取り戻すだけだが。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。
今回は早弁の過去です。彼は僕の個人的に好きなキャラです。
試験編続きまだ書きます!




