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女子会、本能寺!  作者: 千侑
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桶狭間店の戦い1

エー禄3年。

「これはまずいわ」

繰り返し溜息をつくのは、織田信華26歳である。


簡単に言えば、経営難である。織田家のピンチなのだ。長年、尾張で服屋を営む織田家が潰れてしまう。服など作っただけ売れる時代ではない。経営は続いていても、赤字でないだけという状態だ。ならば自分の代で店を畳む、というわけにもいかなかった。

そもそも織田家自体、自分の代でようやく一つに纏まったのである。家系図によると良惠から始まった織田家には、多くの分家があった。一族といっても決して団結しているわけでなく、意見は対立しがちだった。信華の母の死後、内部抗争が勃発したが、親戚兄弟でさえ反対勢力はすべて潰した。あの保守的な一族は自分の理想を貫く障害になりかねない。まずは内側から徹底的に掃除し、自分の配下で埋め尽くした。これが一段落し、ようやく経営に本腰を入れようとしていたのだ。現在の経営状況は、一言で言えば最悪であった。


この問題に輪をかけるような出来事が起きた。今朝のことである。

「『イマガワ』が桶狭間店をつくる?!」

インターネットニュースを覗いた途端、思わず信華は叫んでいた。

『イマガワ』といえば、スルガを拠点とする大手アパレルメーカーである。ファッションセンターイ〜マ〜ガ〜ワ〜♪とのCMでも馴染み深い。先代から急激に勢力を伸ばしてきたイマガワは、今川義魅の代でカイの武田やサガミの後北条と提携、業務拡大をしている。前々から三河・尾張への進出で揉めていた。しかも先の内紛中に部下の山口氏が今川側に転職し、織田家の鳴海・笠寺・尾張東南の大高・沓掛店の情報が流れてしまっていた。今後これらの場所がイマガワの店舗に変わるとなると、織田家の商業港や伊勢湾海域の物流が滞り、顧客の喪失につながる恐れがある。この出店は、絶対に阻止しなければならない。



「ん、ニュースコメントがついてるわね」

画面をスクロールしていくと、複数のコメントが匿名で連なっていた。『織田やばくない?』『どうするんかな?』『織田服好きなんだけどな』そうだ、織田家はここで終わるわけにはいかない。信華は息を吸って、コメントを読み進めていく。『素人考えだと、奇抜なデザインとか売り出したら?通販は?高級ブランドへのシフトは?』確かにこういう路線もアリだが、今は一つずつ吟味している場合ではない。では、どうするべきか。『消費者と生産者の需要と供給が市場価格を決定する。経済消費を促すには価格面を下げるか品質を上げるか消費者のニーズに応えるべし』ふむ…マジレス。とにかく考えなくては。『尾張のおわりw』…このコメント書いたやつ出てこい!!


インターネットの向こう側で、イマガワが嘲笑っている、そんな気がした。

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