表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/161

第七話


 僕と姫野さんは冒険者ギルドで冒険者登録をした後、精霊の神殿に行き職業の選択を行う。姫野さんは魔法使いの職業を選択した。

 

 姫野さんが言うには異世界に来たら絶対、魔法を使いたいとのことだった。


 そして僕達はカスドルから少し離れた草原にやってきた。この草原にはスライムがよく出るため、冒険者初心者はまずはここでレベル上げをするのが一般的だ。


「姫野さん、いいかい? とりあえず無理はしないでね。危ないと思ったら僕がすぐ助けに入るからね」


 少し緊張した面持ちの姫野さんがコクコクと可愛く頷く。


「先生! よろしくお願いします!」


 そう言いながら姫野さんが敬礼をする。その可愛らしい敬礼に僕の心は完全にノックアウトされた。


 そして僕がメロメロになっていると、どこからともなくスライムが一匹こちらの方へ向かってきた。


 向かってくるスライムはゲームに出てくるような愛らしい姿ではなく不定形のアメーバ状の形をしていて半透明の体の真ん中に大きな目が一つ付いている。


「キャ! キタキタキタ」


 少しパニックってる姫野さんを僕は落ち着かせる。


「大丈夫だよ。姫野さん。落ち着いてあのスライムはグリーンスライムと言ってスライムの中でも一番弱いスライムだ。あれなら攻撃されても対したダメージは受けないよ。さっ。さっき教えた魔法で攻撃してみて」


「うん、わかった」


 僕の言葉に安心したのか姫野さんは魔法の詠唱を始めた。


「いけ!烈火弾レイジングブレッド


 姫野さんが魔法を発動すると野球のボールほどの大きさの火の玉が飛び出し、放物線を描きながらスライムに飛んで行った。


 ヒューン ドン!


 姫野さんが放った魔法は見事スライムに直撃した。スライムはボウボウと燃え蒸発する。


「やった! 倒した!」


 僕は満足した顔で頷いた。


「うん、いいね。上出来だ」


 姫野さんが笑顔でこちらを見ている。


「ふふ、ありがとう。先生のお陰です」


 僕は少し照れ臭そうに鼻の頭を掻いた。


「いやいや、とんでもない」


「だけど、昨日見た黒羽くんの烈火弾レイジングブレッドはもっと大きい火の玉でスピードも、もっと速かったような気がするけど……」


「うん、烈火弾レイジングブレッドに限らず、同じ魔法でも人によって魔法の威力が魔力の差によって違うんだよ」


「そうなんだ。ふ〜ん」


 姫野さんが感心した顔で頷く。


「魔法には大体三段階のレベルがあって単体攻撃の火魔法は下位の烈火弾レイジングブレッド、中位の烈炎弾レイジングフラム、上位の烈焔弾レイジングフレイムとあるんだけど、そこからさらにレベル1

、2、3と分かれているんだ。姫野さんの烈火弾レイジングブレッドはまだレベル1で、僕の烈火弾レイジングブレッドはレベル3なんだよ」


「へー、結構、複雑〜」


 姫野さんが可愛く口をとんがらせる。


「フフ、まあ、まだ始まったばかり。これから色々覚えて実践していこう」


「うん」


 姫野さんが笑顔で返事をする。それからスライム退治を何度か繰り返すと姫野さんの疲れた様子ではぁはぁと肩で息をする。


「姫野さん、今日はとりあえずここまでにして宿屋に帰ろう。明日はギルドに行って依頼を受けるからね」


「うん」


 少し草原で休憩してた僕達は帰ろうと馬が停めてある場所に向かう。と突然、後ろから女性が声をかけてきた。


「ねえねえ。貴方達、冒険者?」


 僕達が後ろを振り向くと着物を来た妖艶な雰囲気の美しい女性が微笑みながらこちらを見ていた。

 

「はい。そうですけど」


 姫野さんが答えると。妖艶な女性はフフと笑った。


「そう、冒険者なの。それはよかった」


「ん? 良かった? 何がです?」


 僕が不思議そうに尋ねると女性はまたもフフと笑う。


「私、貴方達と戦いにきたの。それで弱かったらつまらないなぁって思ったのよ」


 そう言うと女性は魔法を詠唱し始めた。


 それを見た僕は姫野さんに向かって叫んだ。


「姫野さん! 危ない!」


 


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ