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第六十九話


「わ、わかった、は、話す、話すよ」


「フン! 最初から素直にそうしておけばいいのよ」


「い、いや、むしろ王女である貴方にはぜひ聞いてもらいたい話なんだ」


「ん? どう言うこと?」


 僕は口の中にある血を唾と一緒に吐くと話を始めた。


---------------------------



「なるほどな…… 人身売買かぁ…… 確かにその噂は聞いた事があったが、本当か?」


 マリー王女は目を細め、疑いの目で僕を見ている。


「ほ、本当だ。もちろん、あんたや他の王族がこの事件に関わってるとは思わない。だが、おそらくこの国の貴族が人身売買に手を染めている来るというのは確実だ」


「なるほどなぁ…… で、どうだった? ルイ?」


 突如、マリー王女が人の名を呼ぶと彼女の隣からサァっと黒髪の女性が現れ王女に報告をする。


「はい、すぐにカスドルのギルドで確認に行きました。確かに黒羽龍斗はカスドルで冒険者の仕事をしておりました。ランクはDです」


「Dランクの冒険者か…… 一番下のランクじゃないか。そんな程度の者が私を暗殺しに来るわけがないか……」


 そんな程度で悪かったなぁ。僕はマリー王女の言い方にカチンときたがまた殴られたりでもしたら敵わないので必死に表情を押し殺した。


「ルイ、悪いけどもうひとつ用を頼みたい。こいつが言った山賊の村が本当に焼け野原になっているのか確認してきて欲しい」


「はい、かしこまりました。私はその山賊の村には行ったことがないので『魔法の翼』を使うことはできません。少し時間がかかりますがよろしいでしょうか?」


「ああ、構わない。しかし、急いでくれ」


 ルイと呼ばれた女性は何も言わずスッと消えるようにその場からいなくなる。


そして一時間ほど時間が過ぎるとルイが再びこの部屋に戻ってきた。


「マリー様、確かに黒羽龍斗の言う通り、山賊の村は全て焼き払われていました」


「ほう、そうか‥‥ ご苦労。下がって良い」


「はい」


 それだけ言うとルイはまたも消えるようにその場からいなくなった。


「と言うことで、今のところはお前の言う事を信じてやっても良いかな」


「ほ、本当か!」


「ああ、もちろん100%とは言わないがな。だが、その縄を解いて怪我を治してやる」


「た、助かった」


 王女からロープを解いてもらうと傷回復薬リカバリーポーションを貰う。そしてそれを全部飲み干すと傷がみるみる回復する。


僕は傷が治って一息すると王女に質問した。


「で、人身売買の件はどうするんだ。国がなんとかししてくれるのか?」


僕の質問に王女は少し困った表情で答えた。


「いや、もし本当にわが国の貴族がそんな犯罪に関わっていたら大ごとだ。正直、本腰を入れて調査など出来ないだろう」


「フン、そんな事だろうと思ったぜ。とにかくこれで俺は帰っていいんだろ?」


「ああ、悪かった、私は第一王女であるせいでいろんな奴から命を狙われている。だからお前が私の命を狙っている殺し屋だと勘違いしてしまった」


 正直、散々殴られた事は内心は腸が煮えくり返りそうなくらい腹が立つが、僕はそれをグッと抑え彼女を許すことにした。


「大丈夫だ。あなたにも色々事情があるのだろからね。そうだ。最後にちょっと教えてもらいたいことがあるんだが」


「なんだ?」


「あんた、なぜインビジブルマントで透明になった俺がわかったんだ?」


 僕の質問にマリー王女は得意げな顔で僕を見て答えた。


「それは私は意識を集中することによって人の気の流れを感じることが出来る特技を持っているからよ。私はね常に誰かに命を狙われている、だがらいつでもどこでも意識を集中して人の気配を探っているの。これは職業が武闘家の時に身につけた特技よ」


 ほう、そうか確か僕の前世でも武闘家の仲間がそんな事ができていたな。でも、武闘家なら誰にでも出来る事じゃない。こりゃ相当な才能がある王女様のようだ。


「なるほどありがとう。それじゃあ僕は帰らせてもらうよ」


 王女に挨拶をし僕は部屋から出ようとする。しかし、それを王女が引き止めた。


「ちょっと待って! あなたこれからどうやって敵を探すの?」


 王女の問いに僕は色々と考えたが何も思い浮かばなかった。


「う〜ん、とりあえず何も思いつかないから一旦、宿に帰って作戦を立て直すよ」


 そう答えて再度、僕は部屋を出ようとした。が、また王女が引き止めた。


「ちょっと待ちなさい! それならいい方法があるわ」


「いい方法? なんだそれは?」


 僕はくるりと振り返り興味深く王女に問いかける。


「いい方法、それはね。私があなたの仲間パーティに加わるのよ。それで一緒に貴方たちを狙う奴らを探してあげる」


 にわかには信じられない王女の申し出に目が飛び出しそうなくらい驚き僕は思わず叫んだ。


「なんだとーーー!」  


 

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