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第六十話

 

 今、僕らは地上に上がるため地下ダンジョンの階段を登っている。


「それにしてなんでヴァンパイア・ルガトは『ミストスモーク』で四度も攻撃を避ける事が出来たんだろうなぁ」


 僕が不思議に思っていると前を歩いている神父がこちらを向いて話しかけてきた。


「そう言えばそうだったな。いや、悪いな、龍斗。その謎を聞く前に俺がルガトを倒しちまって」


「あ、まあ、しゃーないよ。『蒼目族』の覚醒にはタイムリミットがあったからな。さっさと倒しておかなかったら謎を解くどころか全員あの世行きだったよ」


 しかし、神父の言うとおり『蒼目族』の覚醒は本当に短い時間しか発動できないんだな。だいたい30秒ぐらいか。いくらステータスを何倍にも上がると言ってもそんな程度だったら、先ほどの一対一での戦いならともかく大人数での戦いではあまり意味がない気がするな。確か魔族との戦いで前線に出された多くの『蒼目族』が亡くなったと聞いたがなんかわかる気がする。


 僕がそんな事を考えて歩いていると、ふとクレアさんがジッと神父を見ている事に気づいた。僕は不思議に思いクレアさんに声をかける。


「クレアさん、どうしたんですか?」


「あ、いや、ちょっと神父さんに聞きたい事があって……」


「ん? 俺に聞きたい事?」


 神父がクレアさんに視線を向ける。


「はい、私たちモンジュの村人は『蒼目族』だとの事ですが、神父様もモンジュの村でお生まれになったのですか?」


「……」


 クレアさんの質問に神父はあまり答えたくなさそうな表情をしている。


「すみません、立ち入ったことを聞いて」


 その表情でクレアさんはあまり聞いてはいけないことだと悟ったようだ。


「い、いや、大したことじゃないだが…… まあ、クレアさんも今日初めて自分が『蒼目族』と知ったんだから色々聞きたい事があるだろう。わかった。とりあえずは俺が知ってる事は話そう」


「ありがとうございます」


「と、言っても実は俺はモンジュ村で生まれたかどうかは正直、わからねーんだ。実は俺は捨て子でな。俺がまだ赤ん坊だった時に教会の前に捨てられていたらしい。それを俺の前任者の神父が拾って育ててくれたんだ」


「そ、そうだったんですか……」


「ああ、だが、俺が教会でエクソシスト の修行している最中、確かレベルが15の時だったな。強い魔物と戦ってやられそうになった時、いきなり自分の目が蒼く光って全ステータスが急上昇したんだ。俺はその魔物をあっという間に倒したよ。でもなんで自分にそんな力があるのか不思議に思ってな。教会にはいろんな書物がある。俺はそれを毎日読んで調べたよ。そしたら自分が『蒼目族』だって事に気がついたんだ」


 その後、神父は自分の故郷を色々と調べたようだが結局、それはわからなかったようだ。


「だが、俺の両親はきっとモンジュの村の住人だっただろうな。そんで大方、村にいるのが嫌になって逃げ出したか何かしたんだじゃねーの。まあ、そんなことぐらいかな俺の話せる事は」


「わかりました、ありがとうございます。色々話していただいて」


「いや、まあ正直、俺自身ほとんど『蒼目族』はわかってねーんだ。逆に……悪かったな望んだ答えを言えなくて。おそらく聞きたかった事は他に色々あったんだろうが……」


「そんな、とんでもありません」


 神父の過去の話を聞いたせいか少しだけ気まずい雰囲気が流れる。その後、誰一人として口を開く事なく僕たちは地上に出た。


 僕は地上に出ると神父に村人の病気が治ったら自分の両親について聞いてみたらとアドバイスしてみた。しかし神父は軽く笑うだけで何も言わなかった。


「それじゃあ、龍斗。俺は一旦、教会に帰って特効薬を作ってくるわ」


「ああ。頼んだ」


 神父は魔法の羽を使い瞬間移動する。そして一時間ほどたってモンジュの村に戻ってきた神父が特効薬で村人の病気を治していく。


「お父さん!」


 クレアさんが涙を流しながら元気になった村長に抱きついた。これで全ての村人の病気が治すことが出来たようだ。


「よかったね! 黒羽くん」


「ああ。それじゃあ行こうか」


 僕と姫野さんが村長の家屋から出ようとするとクレアさんが僕たちを引き止めた。


「黒羽さん、姫野さん。待って!」


 僕たちは振り返る。


「ありがとうございます。皆さんのおかげで父の病気を治すことができました。そのお礼に受け取ってもらいたいものがあるんです」


「いやいや、いいよ。そんな。僕たちだけじゃなくクレアさんも頑張ったんだからさ!」


 僕は最初、遠慮したが、クレアさんがどうしてもと言うのでお礼を受け取る事にした。クレアさんが部屋の奥にから何やら布に包まれた玉のような物を持ってくる。


 僕はそれを受け取ると布をとって中を見る。すると僕はその中身を見て驚きの声をあげた。


「な、こ、これは!」

読んでいただきありがとうございます。少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。あとブックマークと評価をしていただけると本当に本当にめっちゃめっちゃ嬉しいです!

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