第五十二話
「おらよっと!」
デュラハーンの剣をかいくぐり僕は胴を斬りつけた。ガッキーン!と金属がぶつかり合う音が聞こえるとヨロヨロとデュラハーンが後ろに下がる。
「いててて」
デュラハーンの硬さに攻撃した僕の手が痺れた。そのあまりの痛さに僕が両手をブンブンと振っていると今度は後ろからもう一体のデュラハーンが剣で攻撃して来た。
「おら!」
僕はデュラハーンが剣を振り下ろすよりも先に後ろ回し蹴りを食らわす。と、やはりデュラハーンはヨロヨロと後ろに下がる。するとまたも後ろのデュラハーンが剣で攻撃してきた。僕はその剣を自分の剣で受けた。
ドン!
剣と剣がぶつかり合うと、どうやらデュラハーンの攻撃力が一枚上手なようで僕はその力強さに片膝をついた。
「うおっ! 重っ!」
デュラハーンの剣の圧力に僕は片膝をついたまま身動きが取れない。僕は必死に起き上がろうとする。だが、その時、先ほど後ろ回し蹴りを食らわせたもう一体が剣を水平に構え僕を突き殺そうと突進して来た。
まずい! そう思った瞬間、クレアさんの矢が突進して来たデュラハーンの手首に当たる。
またもガッキーン!と金属音がなるとデュラハーンの手から剣が離れる。僕は間一髪串刺しになるのを回避した。しかし、このままでは動けない。必死に抵抗しているとバン!と大きな音がなった。
その音は姫野さんの火魔法が僕を抑え込んでいるデュラハーンに直撃した音だった。
火魔法が直撃したデュラハーンは勢いよく吹っ飛ぶ。僕は剣の圧力から解放されすぐさま後ろのデュラハーンに斬りかかった。
そしてまたも大きな金属音がなるとデュラハーンの胸にヒビが入る。
「よし! 二人ともこの調子だ! サポートよろしく!」
そう言うと僕は再度、デュラハーンに斬りかかる。そしてもう一体にも連続して斬りかかると少しずつ二体のデュラハーンの鎧にヒビが入り始める。
その攻撃を何度も繰り返すと二体の動きが鈍くなっていく。
「よし、効いてるな! トドメだ!」
僕が剣に意識を集中し目を閉じるパァと剣が光りだす。
「いけ!バーニングブレスト!」
僕が目をカッと開くと同時にスキルを発動すると剣から光の刃が飛び出していく。そしてその刃が二体のデュラハーンの胴体を真っ二つにした。
「よし!やったぞ!」
真っ二つにされたデュラハーンはチリになって消えていく。するとチリの中から宝箱が二つ出て来た。
僕が宝箱を開けると一つはインビジブルマントで、もう一つが鋼の剣だった。
「お! ラッキー!」
鋼の剣を持つとズシリと重さを感じた。
「お〜お〜、やったな。龍斗」
神父たちが僕の元へとやって来た。
「ああ。まさか鋼の剣までゲットできるとはこれは固定のアイテムじゃなく確率で出現するアイテムだろうね。鋼の剣はこのノートに書いてなかった」
ちょうど僕の持っている銅の剣の切れ味が悪くなっていた所だったんだ。いや〜ラッキー、ラッキー。僕はインビジブルマントをバッグに入れると鋼の剣を帯刀した。
「よし、先に進むぞ。苦戦すると思っていたデュラハーンが結構楽に倒せたから、もしかしたら次の階も行けるかもしれないぞ」
「ええ、なんかいい調子ですよね」
クレアさんが笑顔で答えた。僕はクレアさんのその素敵な笑顔に思わずドキッとした。
「う、うん。そうですね」
僕は思わず姫野さんを見る。彼女はクレアさんと喜びを分かち合っていた。僕はホッと胸をなで下ろす。
イカン、イカン。気をしっかり持て龍斗。首を左右に振りながら自分にそう言い聞かせると次の階へと進んでいく。その姿を見て三人とも不思議そうな顔で僕を見ていた。その視線に気づいていたが僕はそれを気づかないふりをする。
そしてダンジョンを順調に進んでいると、神父が話しかけて来た。
「五階も他の階と似たような作りだな。ところで龍斗、この地下ダンジョンは何階まであるんだ」
「どうやら五十階まであるようだ」
質問に答えると神父が驚いた顔をした。
「マジかよ!」
「五十階ですか。私の生まれたこの村にそんな地下ダンジョンがあるなんてびっくりです」
クレアさんも驚いていた。
「このダンジョンには各階層毎にアイテムが置いてあるだろ? 全部ゲットしてそれを売ったら大金持ちじゃねーの?」
ベネディクト神父が教会の神父とは思えないセリフをはいた。
「いや、いや、このダンジョンは降りれば降りるほど魔物が強くなる。五十階なんてとてもじゃないけどいくつ命があっても足りないよ。今の僕らじゃあここら辺の階層で限界だよ」
「そっか、やっぱそんなうまい話なんてあるわけねーよなぁ」
神父がガッカリそうな顔で天井を見る。
「さ、気を引き締めよう。そろそろこの階層の敵がいる広間に出るぞ」
僕がそういうと皆の顔に緊張が走った。そして大きな扉の前に到着した。
「開けるぞ」
そういいながら僕が扉を開くと中はやはり大きな広間だった。そして扉を閉めると奥の方から唸り声が聞こえた。どうやらこの階の魔物がお出ましのようだ。僕は正眼に剣を構える。
「来るぞ!」
皆が奥の暗闇に注目すると翼が生えた二本足の翼竜が宙に浮きながら二匹こちらに向かって来た。それをを見た僕は驚き叫んだ。
「なに!ワイバーンだと!」




