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第四十七話

 

 草に覆われ、木が一本も立っていない夜の草原を和服を着た美しい黒髪の女性が息を切らせながら懸命に走っていた。


「はぁはぁ。参ったわね。もう逃げきれない万事休すね」


 女性は走り疲れたのかその場に片膝をついて息を整えている。どうやら何者から逃げているようだ。よく見ると額と右肩から血を流している。そして女性は息が整うと突如、目の前の空間を人差し指でポンと押す。するとステータス画面が表示された。


 名前:リカルダ・セルベト Lv20 種族:人間(女) 職業:妖術師 役割ロール:アタッカー


 HP:25/300

 MP:65/250

 力:3P

 魔力:20P

 敏捷:1P

 耐久力:4P

 器用さ:0P

 魔法:魔粘糸Lv3:9P 魔刃糸Lv2:6P アイスランスLv3:9P  

    アジェリンターLv2:6P エンターアジェリエンターLv1:3P

    プロテクトLv2:6P エンタープロテクトLv1:3P

    ストレングスアップLv2:6P

 装備:和装武衣:15P


 所有ポイント:0P

 Ex:2004


「クッ! あと、一撃でも喰らったらお終いね」


 女性はリカルダだった。彼女のステータス画面の文字はオレンジ色で表示されている。この色で表示されるということはリカルダは今、瀕死状態ということだ。


 リカルダは急いで傷回復薬リカバリーポーションを取り出し飲み干そうとした。だがその時、男の声が聞こえた。


「そこまでだ。リカルダ、もう逃げられないぞ」


 リカルダが振り向くと彼女と同じぐらい長い髪の毛をした男性が後ろに手を重ねて組みながらゆっくりと歩いて来る。

 男性は切れ長の目でとても美しい容姿をしていた。しかし、その目は恐ろしいほど冷たかった。リカルダは男の目を見てゾッとした。


「ジャン…… ジャン・ドラットル。さすがは暗殺請負人、並の強さじゃないわね」


 リカルダは力を振り絞り立ち上がる。


「いや、いやリカルダ。君こそなかなかしぶとい。私相手にここまで逃げ切れるとは」


「それにしてもよく私が死んでないとわかったわね」


 リカルダの言葉にジャンは下を向きながらフッと笑った。


「なんとなくだが君だけは生きていると思っていたよ。正直、全くの勘だけどね。しかし、やはり当たったようだ」


 そう言いながらジャンはリカルダに近づいていく。リカルダは後ろに下がると同時に魔法を詠唱する。


「フフ、無駄だよ」


 ジャンは腰に手をやり組んだままジッとしている。


氷槍アイスランス!」


 リカルダが水魔法を発動すると大きな氷柱がジャンに向かって弾丸のようなスピードで飛んで行く。


「フッ、だから無駄なんだよ。何度も馬鹿みたいに」


 ジャンはリカルダが放った氷柱が向かって来ても余裕の表情をしている。そして突然、飛ぶ上がると体をスピンさせながら後ろ回し蹴りをだし氷柱に踵をぶち当てる。


 バリーン!


 ジャンが後ろ回し蹴りを放つとリカルダの氷柱はガラスが割れるように粉々になった。


「残念だが、お前の魔法は私には効かない。観念するんだな」


 そう言いながらジャンは不敵に笑うとリカルダの方へと向かって歩き出す。



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