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第四話


「あん、なんだこのガキ。おい、テメーなめてんのか」


 男達は怒声を上げ馬から降りてきた。


「まあね。たいした実力はなさそうだ。今の僕でも十分倒せる」


 僕がそう言ってニヤリと笑うと男達はぎらぎらと底光りする眼で睨みつけてきた。


 ほう、なかなかの迫力だ…… これはちょっと油断しないほうがいいな。真ん中の頬に大きな傷がある男がリーダーだな。そして右にいる小太りの背の低い男と左にいる細身のノッポの男は…… 同じぐらいの強さかな。まあ、戦ってみないとわからないが。


「ごめん、姫野さん。少し離れてて」


 彼女は頷くと僕から離れ大きな木の後ろに隠れた。


「さあ、いつでもいいよ」


 男達を挑発するが三人ともかかってはこない。どうやら僕を警戒しているようだ。三人は同時に右の方へ移動すると腰に帯刀している弓なりの刀を抜く。


 こいつらに魔法を使える奴はいるかな? 僕の方はコボルトに火魔法を使ったのと姫野さんに回復魔法をかけたから魔力はあまり残ってない。あと一回、火魔法を撃てば底をつくな。魔法は切り札に取っておくか。まあ、使うまでもなさそうだけど。


 そしてしばらく睨み合いが続いた。


 まだ、掛かってこないのか面倒くさいなぁ。仕方ない、僕から行くか。まずは戦いのセオリー通り一番強い奴から叩くか。


 僕が真ん中にいる頬の傷男に向かって走ると男は厳しい顔で身構えた。


「あらよっと」


 剣を水平方向に振ると傷男は一旦、後ろに下がり攻撃を躱すがすぐに飛び込んで攻撃してきた。


「死ね!」


 傷男は思いっきり振りかぶった刀を振り下ろす。僕はそれを紙一重で躱すと刀は地面に突き刺ささった。


 グサッ!


 僕が傷男の刀を足で抑える。


「うお! ぬ、抜けねー。くそ、テメー足を離せ」


「ガキャーなめやがって!」


 ノッポが僕の右横にから袈裟斬りで攻撃してきた。僕が突然、刀から足を退けると傷男は勢いよく後ろに倒れた。そしてノッポの刀を剣で受けるとそのまま円を描くようにくるりと回転させる。


「おおっ」


 ノッポの刀が宙に舞うと僕はすぐさまノッポの鳩尾に正拳突きを放つ。


「ぐえぇ」


 自分の鳩尾を抑えながら倒れる気絶するノッポ、そして僕が後ろを振り向くと小太りが刀で突いてきた。僕はその刀を回転しながら躱すと後ろ回し蹴りを小太りの脇腹にヒットさせる。


 ヨロヨロと後ろによろける小太り、僕は体を横回転させながら小太りの頭部に蹴りを食らわす。小太りは体を硬直させながら後ろに倒れそのまま気絶した。

 

 ノッポと小太りが気絶するのを確認すると僕は傷男の方を見る。


「さあ、残りはお前だけだ」


 傷男は腰を抜かしたのか上半身を起こしたまま起き上がらずに怯えた表情で僕を見ている。


「どうやら勝負はついたようだね」


「お、お前は何者だ……」


 傷男は震えながら尋ねた。


「あんたに名乗る必要はない。これ以上戦うなら相手になるけど、やらないならこのまま帰りな」


 僕が近づくと傷男は悲鳴を上げ自分の馬に乗るとそのまま逃げていった。


「おいおい、仲間は置き去りかよ」


 傷男はノッポと小太りを置いていってしまった。


「黒羽くん、終わった」


 大きな木の影から姫野さんが出てきた。


「うん、終わったよ」


「黒羽くんって強いんだね、ビックリした。なんか魔法も使えるみたいだけど、どうして使えるの?」


「姫野さん、あの傷男が仲間を連れて戻ってくるかもしれない。依頼者に報告してから一緒に僕が借りている宿屋に行こう。そこで事情を話すよ」


「うん!わかったわ」


 僕は自分の馬に乗ると姫野さんを後ろに乗せると彼女の豊満なバストが僕の背中に当たる。


「じゃ、じゃあ、行くよ。ゆっくり行くけど落ちないように気をつけてね」


「うん」


 恥ずかしさに僕は顔を真っ赤にする。姫野さんは僕の照れているのに気づいてないようで更に胸を押し付け僕の体をギュッと抱きしめた。


 僕は心臓をバクバクさせながら馬を走らせた。


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