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第二十九話


 僕が放った「烈火弾レイジングブレッド」が直撃すると、ゴーレムはヨロヨロと後ろに二、三歩下がるが何事もなかったようにまた、こちらに向かってくる。


「うわー 大して効いてねぇ〜」


 どうやら僕の火魔法ではダメージを少ししか与えることができないようだ。僕の攻撃に全く怯んでない。そして僕らの前に立つと右の拳を振りかぶりその拳を地面をなぞるように繰り出した。ゴーレムの豪快なアッパーカットだ。


 僕は左にリカルダは右に飛んでゴーレムのアッパーを避けると空を切った拳から突風が吹いた。


「うおっ!」


「キャ!」


 僕とリカルダはその突風に吹き飛ぶ。そして空振りしてもわかるゴーレムのパンチ力に僕とリカルダの顔は青ざめた。


「リカルダ! 怪我はないか?」


 リカルダに声をかけると彼女は魔法の詠唱をしていた。


「ええ、大丈夫よ。それにしてもこのパンチとんでもない威力ね。今、防御魔法をかけるわ」


 防御の全体魔法をかけようとしているリカルダ。しかし、僕はその詠唱を止めた。


「リカルダ、防御魔法は自分にだけにかけろ。僕にその魔法をかけても、どうせゴーレムの一撃を食らったらそのままお陀仏だ」


 全体魔法と単体魔法では消費するMPが違う。当然、全体魔法の方がMPを消費する。ゴーレムとの戦いは持久戦だ、僕はリカルダにMPを無駄に使って欲しくなかった。


 僕の真意を理解したのかリカルダは黙って頷き単体の防御魔法を自分にかける。


「プロテクト!」


 リカルダの体が一瞬、土色のオーラに包まれる。そして続けざまにリカルダはスピードアップの全体魔法をかける。


「エンターアジェリンター!」


 僕とリカルダの体が一瞬、緑色のオーラに包まれた。


「スピードアップの全体魔法ならいいでしょ? ゴーレムの攻撃は思っていたよりも早いわ」


 リカルダの言葉に僕は頷いた。


 よし、これならゴーレムの早い動きに対応できる。僕は自分の魔法攻撃はあまり意味ないとわかったので剣で戦うことにした。


「サンキュー! リカルダ。僕が剣でゴーレムと戦うから隙を見て魔法で攻撃してくれ」


「わかったわ!」


 僕がゴーレムに向かって走り出すとゴーレムは右のパンチを繰り出した。僕はそれを前方に飛び膝を抱え込んでクルリと体を回転して避けると剣でゴーレムの左脇腹を斬りそのまま通り抜ける。


 剣で斬った箇所からキンという金属がぶつかり合う音が聞こえるとゴーレムの左脇腹が少し欠けた。だが、大したダメージでは無いようでゴーレムは振り返るとまたも右のストレートを放つ。


 僕はその攻撃をバク転して避けると同時に攻撃してきたゴーレムの右腕を剣で斬る。そしてまたもキンと音が鳴りゴーレムの右腕が少し欠ける。


 だがさほど大したダメージではないようでゴーレムは構わず何度も拳を振り上げ攻撃してくる。僕は根気強くその攻撃を避けつつ剣で切り込みゴーレムのHPを削っていく。


 そして僕がゴーレムの間合いの中を素早く動きながら攻撃しているとリカルダがひっそりと魔法を詠唱しているのに気づいた。


 よし!やったれ!リカルダ


 僕はゴーレムがリカルダに背を向けるようにゴーレムの後ろに回り込む。僕の誘導通りにゴーレムが動くとそれをチャンスとみたリカルダが魔法を発動する。


「魔刃糸!」

 

 放たれた無数の魔刃糸がゴーレムの背中に突き刺ささると、ダメージを受けたのかゴーレムは片膝をついた。


「やったか!」


 僕はそれをみて思わず叫んだ。


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