第二十五話
「やばっ! 大メイジが氷柱大槍を放つわよ」
エレンミアが突然叫んだ。僕は大メイジが両手を前に出し何やらブツブツ言っているのを見て、魔法を詠唱しているとわかった。
「みんな、四方に散るんだ!」
僕は叫びならが皆に指示を出したが、遅かった。大メイジは魔法を発動する。
「危ない!遥!」
今度はリカルダが叫ぶ。大メイジが放った氷柱大槍は姫野さんに向かって飛んでいく。
リカルダは咄嗟に右手を前に出すと魔法を発動した。
「魔粘糸!」
リカルダは放った魔粘糸をアメーバ状に広がらせ蜘蛛の巣のような形にした。すると、その蜘蛛の巣に大メイジの氷柱大槍が直撃する。
大きなドリルが回転するような音を立てながら氷柱大槍は蜘蛛の巣に引っ付いて止まっている。だが、そこからグルグルと回転しリカルダの魔粘糸を引きちぎろうとしていた。
「烈炎弾」
このままでは糸が破られる、そう思ったその時、エレンミアがすぐさま火魔法を放つ。大きな火の玉は氷柱大槍に直撃すると物凄い衝撃音と共に氷柱大槍と一緒に蒸発して消えた。
「ふう、危なかったわね。大丈夫、遥ちゃん?」
エレンミアが姫野さんに声をかける。
「はい。大丈夫です。リカルダさん。助かりました」
姫野さんがリカルダにお礼を言うと、リカルダは恥ずかしそうにソッポを向く。
「べ、別にいいわよ。お礼なんて。そ、それよりあんな化け物がいるなら最初から言っておいてよね。エルフのお姉さん」
リカルダがエレンミアに文句を言うとエレンミアは軽い調子で謝罪した。
「ごめん、ごめん」
「で? どうやってあの化け物を倒すの? 策はあるんでしょ」
リカルダがエレンミアに尋ねる。
「う〜ん……そうね。ここはあなたが思うように戦ってみなさい。龍斗を使っていいから」
おいおい、俺を使っていいからって俺は道具じゃねーっつーの
「え! 何言ってるのさエルフのお姉さん。あなたの力がなかったら勝てるわけないでしょ」
リカルダは困惑していた。それに対してエレンミアは自信ありげな顔をしている。
「そんなことない。あなたには素質があるわ。ここで自分の頭で考えて戦ってみなさい」
リカルダは信じられないといった表情で首を左右に降る。そんな不安なリカルダをよそにエレンミアは姫野さんと一緒に奥の方へと行って隠れてしまった。
「ちょっと何考えてるのよ。あのエルフ!」
「おいおい! リカルダ。怒るの後だ。来るぞ!」
そうこうしているうちに大メイジがまたも氷柱大槍を発動する。
「魔粘糸!」
リカルダが先ほど同様、糸をアメーバ状にしそれを盾に氷柱大槍を受ける。
「しょうがないわね。坊や。私と一緒にあいつを倒しましょう」
「オッケー! それにしても魔粘糸を盾にするなんて考えたじゃないか」
僕がリカルダを褒めると彼女は嬉しくなさそうに鼻をフンと鳴らした。
「さっき、私の糸がウィッチクラフトのソォーシールドにくっついたからもしかして出来るかもって思っただけよ。それより、ここからは私が指示を出すからしっかり守ってよ。出ないと死ぬわよ」
どうやらリカルダが僕に褒められても嬉しくないようだ。僕は白けた顔でリカルダに返事をする。
「へいへい。それじゃあ。お願いしますよ。リカルダ先生」
そして僕は剣を抜き大メイジに向かって構えた。




