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第十四話


 大きな塔の広い屋上でゴーレムと3人の人間が戦っている。

 

「エレンミア、ゴーレムが来るぞ!」


「わかってる!」


 エレンミアが魔法を発動する。


「くらえ!烈炎弾レイジングフラム


 ボウ!


 エレンミアが放った火の玉が弾丸のように勢いよく飛んでいくとゴーレムの右肩に直撃した。


 グオオオオオ 


 ゴーレムの右肩はボロボロと崩れ落ちる。だが、ゴーレムは構わず突進する。


「どりゃあああ。いくぞ!アーマーブレイク!」


 頭には赤い兜、そして肩と胸と膝に赤い甲冑をつけた女戦士が気合いを入れながら飛び上がりゴーレムに両刃の剣で斬りかかる。


 ドーン!


 女戦士のスキルがゴーレムの胸を斬り裂いた。ゴーレムはヨロヨロと後ろに下がる。それをチャンスと見た女戦士が叫んだ。


「サリウス! スキルで防御力が下がったわ! 今がチャンスよ!」


「任せろ!」


 サリウスと呼ばれた男は両刃の剣を青眼に構えると意識を集中する。そして目をカッと見開くと叫んだ。


「バーニングブレスト!」


 その場でサリウスが剣を水平に振ると剣から光の刃が飛び出しゴーレムを胴から真っ二つに斬り裂いた。


 グオオオオオオ


 真っ二つになったゴーレムは悲鳴をあげると大きな音を立てて地面に落下した。そしてパラパラと細かい砂になり、風に飛ばされて消えて無くなった。


「やったわね。サリウス」


 エレンミアと女戦士がサリウスの元に笑顔でやってくる。


「ああ、やっと石の塔、攻略成功だ!」


 サリウスはゴーレムが落とした宝箱を開ける。


「やったぞ。手に入った!」


 サリウスは手に入れたアイテムを天に掲げるとアイテムの隙間から陽の光が漏れる。サリウスは眩しそうに目を細めた。




「え、ここに残るだって! どうして!」


 女戦士がエレンミアの両肩を掴み涙目で叫んでいる。


「ごめん、ミリア…… でも、理由はわかってるでしょ?」


 エレンミアの言葉にミリアは声を詰まらせる。


「で、でも……」


「もう、私はこれ以上レベルは上がらないわ。ここまでが限界みたい。ここから先、私があなた達の旅に同行したら足手まといになるのは目に見えてる」


「だけど、せっかく知り合えたのに……」


 ミリアは納得できないといった表情で渋る。エレンミアは笑顔でミリアを見つめた。


「何言ってるの、これが永遠の別れになるわけじゃないのよ」


「エレンミア……」


 ミリアの涙は止まらなかった。


「ミリア、涙を拭いて。私はこのカリウスで昔からの夢だった道具屋を始めるわ。頑張ってその道具屋を大きくしてきっと貴方達の旅に役立つ道具を揃えるから絶対に寄ってね!」


「うん」


 そう言いながらミリアは涙を拭いた。そしてサリウスがエレンミアに別れの挨拶をする。


「エレンミア、きっと道具屋を大きくする夢を叶えてくれ。そしたら必ず俺たちはお前の道具屋のお得意さんになるからな」


 サリウスはそう言うと右手を差し出した。エレンミアは涙を浮かべながらその右手をしっかりと握る。


「うん! 約束だからね! 絶対だよ。そしてお前達も必ず魔王ラウルを倒してくれ」


「ああ、わかった」


「さっさと倒せよ。いくらエルフが長寿だからってそんなに待てないかならな。私は待つのが嫌いなんだから」


 サリウスは力強く頷くとミリアと一緒にその場を後にした。




 それから数百年後……



「で、結局、その後、一回か二回立ち寄っただけであんま私のところで道具……買わなかったよなぁ〜」


 僕は困った顔でこめかみをぽりぽりと書いた。ここはエレンミアの道具屋の社長室みたいな所だ。僕はエレンミアと二人で話をするためここに連れてきてもらった。


「も、申し訳ない。ってか、俺がサリウスだった時はあんまりここの道具屋、品揃え悪くて…… 」


 そう言った後、僕は失言をしてしまった事に気づいて慌てて口を閉じた。


「まあ、あの時は道具屋始めたばかりだったからね」


 エレンミアは目を細めながら言う。どうも不満げなようだ。


「ま、いいよ。それが悔しくて頑張ってここまで道具屋を大きくしたんだからね。今となっては感謝してるよ」


 僕は苦笑いしているとエレンミアは話を続けた。


「まあ、それは置いといて話を聞こうか。なんであんた若返ってるのよ。それに髪も金髪から黒髪になってるじゃない。ちゃんと説明して」


「ああ、ちゃんと説明する。だが、その前にリカルダは大丈夫か?」


「リカルダ……? ああ、あの妖術師か。大丈夫よ、私の店にある眠り草でグッスリ寝てるわ」


 僕の前世についてはリカルダには聞かれたくない。なのでエレンミアに頼んで別室で寝てもらっている。


「それなら安心した。それじゃあ、事情を説明しよう」


 僕は周りを少し気にしながらエミリアに事情を話し始めた。

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