表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

136/161

第百三十六話


「はあああああああ!!!!!!」


「ふおおおおおおおお!!!!!」


 僕とアメデのスキルがぶつかり合う。お互いのスキル威力は拮抗していた。


「アメデ! 僕はお前を絶対に許さない! よくも姫野さんを!」


「ハハハハハ、許さないだと! 馬鹿な事を言う、私の子を……魔王を産ませてやったのだ。感謝されこそすれ、恨まれる筋合いなどない」


「ふざけるなぁ!!!」


 僕はアメデの言葉に怒りが頂点に達した。その瞬間、僕の体が大きな光が包み込む。


「な、なに! 何だ、この力は! わ、私のスキルが押されてるだと」


 光に包まれた瞬間、僕の体から力が漲って来るのを感じた。


「うおおおおお!! 甘く見たな! アメデ! 勇者の力を!」


 僕のスキルがアメデのスキルを粉々に破壊していく。


「わ、私のス、スキルが壊されていく」


「終わりだアメデ!」


「ぐおおおおおお!!! 黒羽! き、貴様!!!」


 僕のスキルがアメデの体に激突する。すると、アメデの体が徐々に燃え広がっていく。


「ば、馬鹿な、私は……私は魔神だぞ、最強の力を手に入れたはずだ。なのに、なぜだ!!!」


「滅びろ! アメデ! 永遠に!」


 アメデの全身が炎に包まれてく。


「ぐわわわわわわわわわ!!!!!! ちくしょう!!!! 私は、私は…… 最強のま、魔神だぁぁぁ!!! があああああああ!!!!!」


 アメデは断末魔の叫び声を上げながら燃えて黒焦げになる。そしてアメデが死んだと同時に周りの亜空間も消えていった。


 僕はアメデが本当に死んだかを確認しに近寄り、丸焦げになってピクリとも動かないアメデを見て彼が死んだことを確信した。


「ア、アメデ、お前は最強の魔神だが、僕の怒りは魔神の力をも超えたんだ、ぐっ、ううう」


 アメデにやられた傷の傷の痛みが増し、僕は片膝をついてしまう。


「は、早く、傷を治さなければ」


「ぐはぁ!」


 気力を振り絞り何とか立ち上がるが腹部に痛みを感じ、思わず口元を手で抑えると口から大量の血が吹き出してしまった。


「ぐ、ぐぐぐ、くそ…… お、思って以上にダメージがでかい……」


 僕は回復魔法を唱えようとしたが、ダメージが酷く魔法を唱えることができない。


 そしてさらに口から出る大量の血が収まらず僕はその場に倒れてしまった。


「ま、まずい。は、早く回復魔法を唱えなければ、し、死んでしまう……」


 気力を振り絞り僕は回復魔法を唱えようとする、だが、僕の体は全く動くことができなかった。


 ここまでダメージが深いとは…… だ、だめだ、このままでは死んでしまう。


 しかし、体は全く動かない、それどころか意識もだんだんと薄れてきた。


 ダ、ダメか…… くそ! ここまで来たのに、僕は死んでしまうのか?


 ご、ごめん、姫野さん…… 僕は君を救う事ができなかった……


 僕の意識は完全に消えようとしていた。が、その時、微かだが人の声が聞こえた。


 だ、だれ?

 

 僕は耳をすました。だが、気のせいだったのか何も聞こえない。


 幻聴まで聞こえるようになってきたか…… もう、ダメか……


 僕はひどいに眠気に抗っていたが、気力がなくなり、急激な眠気に抗うことをやめようとした。


 が、その時、今度は、ハッキリと声が聞こえた。


「龍斗、大丈夫? しっかりして! 今、回復薬を振りかけるから」


 声の主はクレアさんだった。


「ク、クレアさんか、た、助かった」


 ギリギリの所でクレアさんが駆けつけてくれた。僕は彼女の回復薬のお陰で傷がみるみると消えていくのがわかった。


「あ、ありがとう。危ない所だった」

 

「よかった。龍斗にここまで傷を負わせるなんて、相手はアメデ?」


「ああ、奴は魔族や人間を超え魔神へと進化していた。危なかったが何とか倒す事ができたよ」


 僕はそう言いながら黒焦げになったアメデを指差した。


「ま、魔神って、それって魔王の種族よね?」


「ああ、そしてアメデの子供を姫野さんは宿してしまったようだ。魔神の子供は同じ魔神となって生まれる」


「そ、そんな……」


「もう、手遅れかもしれないが、急ごう。姫野さんの元へ」


「ええ」


 クレアさんが頷いた。僕たちは先を急ごうと通路を走り出そうとした。すると、マリー王女の声が聞こえた。


 僕とクレアさんが振り向くとマリー王女とルイさんが駆け寄ってきた。


「王女にルイさん、無事だったか。よかった」


 僕がホッとしているとマリー王女は力強く頷いた。


「当たり前だ。お前こそ無事でよかった」


「ありがとう」


「で、戦況はどうなっている?」


 僕はマリー王女とルイさんに敬意を説明した。僕の話を聞いた二人は驚いた顔をしている。


「それはまずい事になった。黒羽、先を急ごう!」


「ええ」


 僕はクレアさん、マリー王女、ルイさんと一緒に姫野さんを探しに走り出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ