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第百十八話


「ハハハハ、いやいや、これは楽しい楽しい。うむ、大変良い試合を見せてもらった。余は大変満足だ。今まで見たどの試合よりも興奮したぞ」


 ゴランダ帝国の国王ウリアン・ユーギンが僕の試合を褒めている。


 フン、喜んでいるのも今の内だぞ。次は貴様の番だからな。お前が姫野さんに何をしたのかは具体的な事はわからない、しかし、魔王を復活させようとして彼女の体を弄んだことは絶対に許さない。その報いは必ず受けてもらうぞ。

 

 僕は心の中でそう固く誓った。


「お褒めに預かり大変光栄でございます、ウリアン国王」


 僕は憎しみを完全に隠し、ウリアンに礼を言いながらお辞儀をする。

 

 正直、今にもウリアンに襲いかかり憎しみの限りをぶつけてしまいたいという衝動に狩られているが、ここで馬鹿なことをして、全てを台無しにしては元も子もない。


 僕は自分の心を落ち着かせるために下唇をグッと噛んだ。


「うむ、確か古井とか言ったな。良い試合だったぞ。明日の祝賀会、存分に楽しんでいってくれ。それではハルカ、行こうか」


 ウリアンが姫野さんに声をかけると姫野さんは笑顔で頷いた。そして二人は円形闘技場コロッセオを後にする。


 二人が去ると実況者が締めの言葉を述べた。


「それでは第57回ゴランダ帝国武術大会の優勝者は古井巧に決まりました。え〜、本日の大会も皆様のおかげで大変な盛り上がりを見せました。それでは次の大会でお会いしましょう。皆様、今日はお集まりいただきありがとうございました」


「おおおおおお」


 パチパチ パチパチ


「面白かったぞぉ!!」


「古井!! 次も出ろよ!」


「次もお前が優勝だぞ!! 古井!!」


 僕は観客に手を振りながら控え室へと戻ろうとすると、僕を呼び止める声が聞こえた。


「古井くん」


 僕は振り返り声のした方を見ると、先ほど戦った朝霧が微笑みながらこちらに歩いてくる。そして彼は僕の目の前に立つと右手をスッと差し出し握手を求めてきた。


「古井くん、良い試合だったね。ありがとう。今日の戦いはとても勉強になったよ」


 僕は朝霧の右手をしっかり握り握手をした。


「こちらこそ、大変勉強になったよ。また、機会があればまたよろしく頼むね」


「ああ、次こそは私が勝つよ」


「フフ、それはどうかな」


 僕がそう言いながらニヤリと笑うと朝霧も同じようにニヤリと笑った。


「それはそうと、君は僕の職業を『神聖十字騎士』だと見抜いたね。よくわかったね。なんでわかったのかな?」


 朝霧が不思議そうな顔で尋ねた。僕はクスリと笑って答えた。


「それは君がある人の戦い方に似ていたからだ。だからまず、騎士系の職業だろうと思ったよ。で、その強さと素早さなら騎士系の最上位職業じゃないとおかしいからね。だからわかったんだ」


「ある人? 僕が君の知っている人と戦い方が似てるって言うのかい。それは誰だい?」


「フフ、わかってるくせに」


 僕は少し意地悪そうな顔で朝霧を見る。朝霧はキョトンとした顔で僕を見ている。


「そうやってわからないふりして白を切るつもりかい? なら教えてあげよう。君と似ている戦い方をする人物、それは水口ルイさんだ。君は彼女と同門なはずだ、そうだろ?」


 僕の言葉に朝霧は驚愕した表情をしていた。

現在、転職活動中の為、忙しく六月中は更新が若干滞る事があります。ご了承をください。すみませーん(涙)

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