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第百七話


【ヴォオオオオオオオ】


 緑の古代竜が豪流波を放った。


 ヴォンと空気が爆発したような音が聞こえると、強烈な衝撃波がクレアを襲う。


「アイオロスバースト!」


 しかしクレアは冷静に無詠唱で最上位の風魔法を放つ。クレアの右手から大量の風が吹き、その風が黄金の全身鎧を着た筋骨隆々の男に変わった。


 クレアが放った風魔法アイオロスバーストが古代竜の豪流波とぶつかり合う。


 ドンと大きな地響きが上がると両者のスキルと魔方が弾ける。


 どうやら豪流波とクレアのアイオロスバーストは互角の威力のようだ。


「さすが、古代竜ね。私の最上位魔法と互角の威力とは」


 そう言いながらクレアはすぐさま自身の弓武器『天之麻迦古弓あめのまかこゆみ』を引いた。


 するとパァっと『天之麻迦古弓あめのまかこゆみ』が光り輝く。


「これでも喰らえ!」


 クレアが矢を放つとまるでレーザービームのような矢が古代竜に向かって飛んでいく。



 ドンと大きな音を立てクレアの矢が古代竜の右肩に当たると古代竜は右肩が爆発したように吹っ飛んだ。


【オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛】


 古代竜は悲鳴を上げる。


 クレアは続けざまに矢を放とうよ弓を構える。しかし、そうはさせまいと古代竜はクルリと回転し尻尾でクレアを攻撃した。


「やばっ!」


 思わぬ反撃に油断したクレアだったが、紙一重で古代竜の尻尾攻撃をバク宙で避ける。


 だが、これで古代竜に攻撃するタイミングを逃した。


 突如、古代竜の右肩は光り輝く。


「いや〜ん、ちょっと! 回復しちゃったの?」


 光が消えると古代竜の吹っ飛んだ右肩が治っていた。どうやら一瞬で回復魔法をかけたようだ。


「さすがに古代竜ともなると素早く魔法をかけれるのね」


 クレアが感心したように呟くと心なしか古代竜はニヤリと笑ったような表情になる。


「あらやだ。なにその勝ち誇ったような顔。爬虫類のくせに表情があるの? ならこれを食らって驚いた表情になってちょうだい」


 クレアは弓を引くと『天之麻迦古弓あめのまかこゆみ』が光り輝く。そしてその光が矢に先に集まっていく。クレアは一瞬、目をつぶると意識を集中するとすぐにカッと目を見開いた。


「行け! 『風神大聖豪派』!」


 クレアはスキルを発動した。クレアの放った光矢が巨大な鬼に変わった。


 それと同時に古代竜も豪流波を放つ。


 両者のスキルがぶつかり合う。


 ドガガガーーーーーン!!!!


 部屋全体が揺れるほどの大きな衝撃音が聞こえると古代竜の豪流波が弾け飛んだ。


 どうやら今度はクレアのスキルの方が威力があるようだ。


 そして矢が古代竜の顔面に刺さるとチュンっと高速で何かにかすった音が聞こえ古代竜の顔面がまるで風船のようにパンと破裂する。


 悲鳴を上げる間も無くあっという間に古代竜は絶命した。


「フン、どうやら驚く暇もなかったようね」


 首なし死体となった古代竜はゆっくりと後ろに倒れる。


 古代竜が倒れるとドドーンと大きな音が鳴った。


「ふぅ」


 クレアがホッとしていて息をつくと龍斗が声をかけてきた。


「クレアさん!」


 クレアが声のした方を見ると龍斗が笑顔で走ってくる。


「龍斗!」


 駆け寄る龍斗にクレアも笑顔で手を振った。


「さすが、クレアさん。もう、古代竜も敵じゃないね」


「まあね。もうこの地下ダンジョンは20回はクリアしてるからね。これでレベルはマックスまで上がったわ。もう怖いもの無しね」


「うん、僕は最初にこの地下ダンジョンをクリアした時にゲットした【勇者のオーブ】で職業が勇者になれた。そして、僕も今回でレベルはマックスだ」


「すごいわね。本当にこのダンジョンに勇者になるために必要な【勇者のオーブ】があったんだね」


「うん、神が教えてくれた通りだった。そしてこのダンジョンにアイテムを置いたのは前世の僕自身だそうだ…… 覚えてないが、だが、おかげで効率よく強くなることができた」


「そうね。龍斗がこの村に来て半年か…… この地下ダンジョンのアイテムも全てゲットしたしレベルもカンストしたし。もう、このダンジョンですることはないよね」


「ああ、もう地上に出よう」


 僕らは地下ダンジョンから地上に出る。


「フゥゥ」


 地上に出るとクレアさんが大きく深呼吸する。


「ああ、気持ちいい」


 そんなクレアさんと龍斗は和かな表情で見ている。と、その時、誰かが龍斗の名を呼んだ。


「黒羽さ〜ん」


 声のした方を見るとルイが手を振りながらこちらに向かってきた。

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