第51話
「全員、目立たない場所まで付いて来てもらおうか。逃げようとしたり、暴れたりしたら……大怪我をするか、死ぬことになるからね?」
そう脅してから、全員を馬車から降ろす。
幸い、抵抗する意思を示した者はいなかった。
僕は、4人の女性を、比較的目立たない場所まで連れて行く。
建物と建物の間だ。普段なら、多少の人通りはある場所だろうが、今は多くの人が避難しているようである。
ベルさんも、僕達と一緒に来た。
彼女は、先ほど激しく震えていた女性を、今も睨み続けている。
少なくとも、その使用人だけは殺すと決めているようだ。
「ベルさん、魔物が近付いてきたら、お願いします。それと、人間が来たら、動けないようにしてしまってください」
僕がそう言うと、ベルさんは、笑顔を浮かべて頷いた。
殺すことを止められた時には不満そうだったが、僕が彼女達にお仕置きをすることには、賛成してくれているようだ。
「それじゃあ……手始めに、全員裸になってもらおうか」
僕がそう告げると、使用人の女性達は、抗議めいた悲鳴を上げた。
「私は何をされても構いません。ですから、私に仕える者達のことは見逃してください」
金髪の女性が、進み出て言った。
「それは駄目だよ。タームという少年が、君のお婆さんに酷いことをされていたのは、彼女達だって知っていたはずだよね? だったら、何もせずに見逃すわけにはいかないな」
「この子達に責任はありません」
「それは関係ないよ。君達にどれくらいのお仕置きが必要かは、僕達が決めることだ。こっちは急いでる。早く脱がないと、力尽くで脱がすよ?」
「……やむを得ませんね。貴方に従いましょう」
そう言って、金髪の女性は、身に着けている物を脱ぎ始めた。
「お嬢様……!」
使用人の1人が、慌てた様子で叫び、止めようとする。
青い下着しか身に着けていない姿で、金髪の女性は、使用人達の方を見た。
「貴方達も脱ぎなさい。彼らは、かつてダート人が使ったと言われる魔法を使いました。私達が抵抗しても、敵う相手ではありません」
そう言って、金髪の女性は、下着も躊躇なく脱ぎ捨てる。
「……!」
金髪の女性の、生まれたままの姿が、満月の明かりに照らし出された。
とても美しい。
白い肌。細く、余分なものが付いていない四肢や腰。そして、豊かな胸の膨らみ。
この、理想的というべき、芸術的な身体は……ベルさんと互角ではないだろうか?
いや……彼女には、ベルさんよりも明確に優れている点がある。
それは、彼女の方が若いことだ。
ベルさんは、僕よりも5~6歳ほど年上だろう。
だが、彼女は、僕とほとんど年齢が違わないはずだ。
ベルさんが成熟した印象なのに対して、彼女は早熟な印象を受ける。
まさか、オットームに、これほどの女性がいるとは……!
金髪の女性は、僕のことを無言で見つめた。
身体を隠す素振りはない。こちらが何をしても、受け入れるつもりなのだろう。
僕は、彼女に近付き、身体に触れる。
こちらがどこを触っても、彼女は表情も変えずに、こちらをひたすら見つめていた。
僕は、この女性だけで満足できる。
彼女に欲望を受け止めてもらえるなら、他の女性に何かをする必要は無い。
そう思えたが、僕はすぐに思い直した。
それでは、ベルさんが納得しないのだ。何とか、この場を収めねばならない。
女性を抱き寄せ、彼女の耳元に口を寄せて告げる。
「使用人の女の子達は、全員死なせたくない。だから、僕が何をしても、受け入れてほしい」
そう言って女性から離れる。彼女は、こちらを窺うように見つめた。
使用人の女性達も、全員が裸になっていた。
僕が見回すと、小さく悲鳴を上げ、その視線から逃れるように身体を捻る。
やはり、彼女達の肉体的な魅力は、金髪の女性やベルさんには遠く及ばない。
それでも、美人が揃っているし、オットームとしては発育が良い方だろう。
僕達が、魔物に襲撃されている街にいなければ、なぶって楽しみたいところだが……他の欲望を優先するために、ここは自重すべき場面である。
「本当は色々したいところだけど、今は時間が無いから、特別に2人は見逃してあげよう」
僕がそう言うと、ベルさんは不満そうな顔をした。
「ただ裸にしただけで見逃してあげるの? ずいぶんと甘いのね?」
「じゃあ、オットーム式のお仕置きを加えよう」
そう言って、僕は、2人の使用人のお尻を平手で叩いた。
「きゃっ!」
「いやっ!」
二人は甲高い悲鳴を上げて倒れた。
魔法で威力を上げた一撃である。少し腫れるかもしれないし、しばらくは痺れるような痛みがあるだろう。
僕は、さらなる仕打ちを恐れている様子の2人を見下ろしながら告げた。
「君達は、早く服を着るんだ。魔物に気を付けながら避難してね? それと、人質になっているお嬢様のことを考えるなら、僕達のことは誰にも話しちゃ駄目だよ? 追手が来たら、足手まといになるお嬢様のことは、殺すしかなくなるからね?」
僕の言葉に、2人は黙って頷き、衣服を身に着けて駆け出す。
物足りなさそうな表情のベルさんも、彼女達のことを黙って見送った。




